「相乗りタクシー」で4割安く? アプリでマッチング実証実験、開始10日間の状況とは

「相乗りタクシー」で4割安く? アプリでマッチング実証実験、開始10日間の状況とは

「相乗りタクシー」は、終電後などの利用が想定されている。写真はイメージ(画像:写真AC)。

国土交通省とタクシー事業者2グループが、スマホアプリを使った「相乗りタクシー」の実証実験を行っています。同方面へ相乗りする人をアプリでマッチングするこのサービス、実際どのように利用され、どれほど安くなるのでしょうか?

アプリでマッチング、運賃は事前確定

 東京23区エリア(武蔵野市、三鷹市含む)でタクシー事業を展開する大和自動車交通グループと日本交通グループ、および国土交通省は共同で、スマートフォンの配車アプリを使った「相乗りタクシー」の実証実験を2018年1月22日(月)から行っています。

 アプリ上で自分の乗降車地を設定すると、同じ方面に向かう人を仲介してくれるというサービスです。利用者どうしが同意し「相乗り」が確定すると、それぞれの乗降車地からルートが算出され、運賃も事前に決まります。なお、支払い方法はアプリで事前に登録したクレジットカード決済のみで、途中下車をした場合や、マッチング後に乗車できない場合なども、事前に確定した額が請求されます。

 実験は、大和自動車交通グループのタクシー649両と、日本交通グループの300両で行われ、前者は「大和自動車交通タクシー配車」、後者は「相乗りタクシー」というスマートフォン用アプリを介してサービスを提供します。なお、相乗りの最大人数は、大和自動車交通グループでは1台につき3人まで、日本交通のタクシーではふたりまでで、このほかアプリの内容など、両者で仕組みが異なります。

「相乗り」によって、タクシー料金はどれほど安くなるのでしょうか。実験開始からおよそ10日間の現状なども含め、大和自動車交通に聞きました。

――どのような仕組みなのでしょうか?

 当社のアプリでは、同じ乗車地から乗る人をマッチングし、それぞれの降車地に応じて全体のルートと、その総走行距離から各々の「相乗り運賃」が算出されます。単純に最も遠い降車地までの料金を人数で割るのではなく、それぞれの降車地を回っていくため、総走行距離に応じて相乗り運賃算定の基準額も毎回異なってきます。

 日本交通さんのアプリは、相乗り相手が必ずしも同じ乗車地から出発するのではなく、途中で乗せていく方式です。対して当社アプリは「この指とまれ」方式と呼んでおり、アプリ上でいくつかの乗り場を提示し、相乗りがマッチングされたお客様方をそこへ迎えに行く形です。

最大4割引きも?

――どれほど安くなるのでしょうか?

 たとえば、深夜料金適用となる22時以降に錦糸町駅(東京都墨田区)付近から出発、浦安駅(千葉県浦安市)と船橋駅(同・船橋市)でひとりずつ降ろし、津田沼駅(同・習志野市)付近まで総距離29kmを走行するコースで説明しましょう。津田沼までの運賃は、単独で利用した場合に9970円となるところ、相乗り運賃では6450円になります。

 これはモデルケースとして算出したものですが、実際に、最大で4割程度安くなった例もあります。極端な話、同じ場所からふたりで相乗りし、同じ目的地まで乗れば半額になるのですが、お話した通り、実際にはマッチングの条件によってルートや相乗り運賃算定の基準額、ひとりあたりの運賃も異なってきます。ただ、それぞれの降車地が近ければ近いほど、ひとりあたりの相乗り運賃も安くなるといえます。

――実験にはどのような目的があるのでしょうか?

 運賃の高さからタクシーを避けていた方などに、格安な運賃を提供し、新たな利用を創出する目的があります。たとえば、終電後に帰宅される場合などを想定しています。

 また、この「相乗りタクシー」は、タクシー事業者のあいだで定められた「ライドシェア対策11項目」のひとつでもあります。「Uber」など世界展開のライドシェアサービスもあり、海外ではタクシーの相乗りが一般的になってきています。2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外からのお客様がタクシーを安く利用できるようにするための布石でもあるのです。

相乗り、車内の雰囲気は「電車みたい」?

――たとえば、アプリを介さず、現金払いで相乗りサービスを提供するといった予定もあるのでしょうか?

 まだ実験ですので、今後さまざまなやり方が出てくるかとは思いますが、アプリなどで事前の同意を得ずに相乗りを行うのは難しいのではないかと考えています。というのも、お客様には「タクシー乗車中は“自分の空間”」という意識があるからです。安くなるとはいえ、乗車中に突然、相乗り相手を乗せるようなことがあれば、「おいおい」となるでしょう。ただ、相乗りが広まれば、その意識が変わってくるのかもしれません。

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 見ず知らずの相乗り相手に気をつかうこともあるかもしれません。そのため、大和自動車交通のアプリでは相乗り相手について性別を考慮できるほか、日本交通では、前部と後部座席にひとりずつ乗せることとしています。

 利用者からはどのような声があるのでしょうか。大和自動車交通は、「まだ正式には集計しきっていないので乗務員から聞いた話ですが」としつつ、次のように話します。

「3人でお乗りになりましたが、みなさん黙々と過ごされ、そのうちのおひとりがふと『電車に乗ってるみたいだな』とつぶやいたのが印象的だったそうです」(大和自動車交通)

 日本交通には、「終電後は時間に余裕があるので、マッチングまで時間がかかったとしても、安くなるのはありがたい」といった声が寄せられているそうです。ただ、「よりマッチングしやすくするには、母数を増やす、つまりご利用をいかに増やすかが重要です」と話します。

 この「相乗りタクシー」実証実験は、2018年3月11日(日)まで続けられます。なお、日本交通の「相乗りタクシー」アプリはiOSのみ対応しています。

【画像】アプリでの相乗りマッチングとは?

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