「住むなら京成沿線」と思わせる10の理由 パンダ、寅さん、成田空港!

「住むなら京成沿線」と思わせる10の理由 パンダ、寅さん、成田空港!

京成上野と成田空港を結ぶ特急「スカイライナー」(2010年11月、恵 知仁撮影)。

京成電鉄は成田空港へのアクセス特急「スカイライナー」を運行しています。沿線には、成田山や『寅さん』シリーズでおなじみの柴又なども。そんな京成電鉄沿線の暮らしを探ってみましょう。

空港特急とローカル列車が同居する路線

 東京から海外へ旅立つ場合、成田空港と羽田空港のどちらが好きですか。筆者(鉄道ライター、杉山淳一)の友人のひとりは「断然、成田空港です」と言います。その理由は「スカイライナーで行けるから」。友人は鉄道ファンではありませんし、山手線の内側に住み、羽田空港が近くて便利と分かっています。でも「空港へ座って行けるし、荷物の置き場に困らない」ため、特急「スカイライナー」で行ける成田空港がお気に入り。家を出てから、家に帰るまでが海外出張や海外旅行と考えれば、確かに始まりと終わりの快適さも大切ですね。

 その「スカイライナー」を運行する京成電鉄は、東京の京成上野駅と千葉の成田空港駅を結ぶ本線と、5つの支線があります。支線はどれも個性的です。押上線は本線の青砥からスカイツリーの下の押上まで。さらに都営浅草線・京急線に直通して羽田空港や横浜方面へ至ります。金町線はローカル色豊かな下町を走ります。千葉線は東京と千葉の都市間輸送や地域輸送に貢献し、千原線はベッドタウンの通勤通学路線、東成田線は本線のオマケのような存在ですが、芝山鉄道と連絡します。

 もうひとつ、異色の存在が成田スカイアクセス(成田空港線)です。看板列車「スカイライナー」が走る路線でありながら、線路は京成電鉄のものではありません。線路の保有者は区間ごとに北総鉄道、千葉ニュータウン鉄道、成田高速鉄道アクセス、成田空港高速鉄道となっています。京成電鉄はこれら4者に線路使用料を支払って、「スカイライナー」などを運行しています。

 列車の種別や系統も多く、乗り間違えると困ります。でも、工夫された案内標識を確認して、目的地をしっかり把握すれば大丈夫。そんな京成電鉄の魅力を、人生の目的地が定まらない筆者の思い込みと独断で紹介します。賛否両論あるかと思います。SNSなどで盛り上がってくださいね。

鉄道路線そのものが使いやすい

【1位】「スカイライナー」と成田スカイアクセス

 京成電鉄を代表する列車といえば、京成上野駅と成田空港駅を結ぶ特急「スカイライナー」です。途中停車駅は日暮里駅と、成田空港の空港第2ビル駅のみ。京成上野駅はJR上野駅から少し離れているため、JR線から乗り換える場合は日暮里駅が便利です。日暮里駅と空港第2ビル駅の間はノンストップで、最速36分で結びます。その速度と運行頻度の高さ、正確性から、都心と成田空港を結ぶ公共交通の代表的な存在です。かつての「成田空港は東京から遠い」のイメージを払拭したといえるでしょう。

「スカイライナー」が現在に至るまでは、苦しい時期もありました。1978(昭和53)年の成田空港開港と同時に運行を開始しましたが、当時の終着駅は現在の東成田駅で、ターミナルビルから離れ、連絡バスに乗り換える必要もありました。成田空港ターミナルビル地下に乗り入れた後も苦戦します。参拝客を見込んで京成成田駅に停車、次に船橋駅にも停車。乗客獲得のために停車駅を増やします。しかし、空港へ行く人から見れば、所要時間が延びて不便です。

 その状況を一変させた転機が、2010(平成22)年の成田空港線、愛称「成田スカイアクセス」の開業と新型「スカイライナー」(新AE形電車)の投入でした。京成高砂駅から北総鉄道に入り、印旛日本医大駅から空港第2ビル駅付近まで新線を建設。ほぼ一直線で結びます。高規格な高架線路によって、「スカイライナー」の最高速度は160km/hになりました。これは新幹線を除いた日本の鉄道の最高速度です。1時間あたり最大3本と運行頻度も高く、指定券もネットで予約できます。頼りになる存在です。

 日暮里〜空港第2ビル間ノンストップの列車は、京成電鉄沿線の人々には乗車機会がありません。しかし、「スカイライナー」が成田空港線に移ったことで、本線のダイヤに余裕が生まれました。上野〜青砥間、押上〜青砥間の沿線の人々は乗車券のみで利用できるアクセス特急があり、青砥〜佐倉間の沿線の人々は快速特急を利用できます。

「スカイライナー」に乗れなくても、海外出張が多い人、海外旅行が好きな人にとって、京成電鉄沿線は便利な路線です。列車内も外国人が多く、国際色が豊かな気がします。外国人に対して丁寧に説明する駅員さんの様子も好ましく感じます。

他社線への乗換駅が多数

【2位】新幹線、JR在来線、地下鉄に連絡するネットワーク

 京成本線の起点は京成上野駅。大通りに面した玄関口と、JR上野駅の南端、不忍口との道のりは約130mです。「離れている」といっても、それほど遠いわけではありません。また、少し離れた東京メトロの上野駅とは地下道で結ばれ、その途中でJR上野駅もあります。雨に濡れずに乗り換え可能です。

 ただし、乗車位置によっては遠く感じることもありますね。そこで、JR山手線、京浜東北線に乗り換える場合は日暮里駅が便利です。JRと京成の乗り換え改札があり、「スカイライナー」も日暮里に停まります。

 JR上野駅は東北の玄関口として親しまれてきました。東北本線(宇都宮線)、高崎線、常磐線や、東北・上越・北陸新幹線などに乗り換えが可能。上野東京ラインの開業によって、東海道本線方面へのアクセスも良くなりました。東京メトロは銀座線と日比谷線に連絡します。押上線は都営浅草線と京急本線・空港線と相互直通運転を実施しており、京成本線と成田空港線の両方から電車が乗り入れます。

 このほか、日暮里駅で日暮里・舎人ライナー、町屋駅で東京メトロ千代田線と都電荒川線、京成金町駅でJR線の金町駅、京成船橋でJRと東武野田線(東武アーバンパークライン)の船橋駅、押上駅で東京メトロ半蔵門線と東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)、京成八幡駅で都営新宿線の本八幡駅など、他社線への乗換駅がたくさんあります。ターミナルに加え、他路線と連絡するという要素で京成電鉄の便利さは、もっと評価されても良いと思われます。

 京成電鉄の路線図を見ると、青砥で路線が合流し、京成高砂で分岐しています。住宅情報サイトでは「京成本線の特急に乗るつもりで成田スカイアクセスに乗り間違えると、かなり遠くへ連れて行かれてしまう」という声もありました。逆方向でも「日暮里に向かうつもりが押上」にとなりそうです。京成電鉄に限った話ではありませんが、乗り間違いに要注意です。

「京成は遅延が少ない」、実際は

【3位】遅延が少なく、回復も早い、座りやすい

 京成電鉄は住宅情報サイトやネットのコミュニティなどで「遅延が少ない」「回復が早い」と好評でした。「京成が止まらない限り、それは自然災害ではない」というジョークも見かけます。利用者の皆さんは、なんとなく「京成は遅延が少ない」と感じているようです。

 実際はどうでしょうか。データを見つけました。2017年12月に発表された国土交通省の資料「東京圏(対象路線45路線の路線別)における1か月(平日20日間)当たりの遅延証明書発行日数状況(平成28年度)」についても、「10」以上の路線が多いなかで京成電鉄は「8.8」。1桁台に収まっています。

 2015年3月に開催された国土交通省の「第7回 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」で配布された「遅延対策ワーキング・グループ 報告資料」です。2014年9月〜12月、平日通勤時間帯に10分以上遅延した回数の比較では、京成本線(支線を含む)は45路線中38位。下から8番目でした。

 列車の遅延は混雑区間が長いほど発生しやすく、相互直通運転では直通先の影響を受けます。遅延回数の少ない路線10位のなかで、7路線は相互直通なし。残り3路線は互いに乗り入れている京成、京急、都営浅草線でした。強い遅延回復力がある相互直通と言えそうです。

 2017年12月に発表された国土交通省の資料では各社の遅延対策も紹介されています。京成電鉄は千葉線・千原線の4両編成を6両編成に増やしているとのこと。乗客を分散させて混雑を緩和し、停車時間の延長を防いでいるといえます。利用者の意見のなかに「日中の電車は座りやすい」が目立ちました。これも車両数を増やした効果だと思われます。

通勤ライナーや工夫されたダイヤで移動がスムーズに

【4位】通勤ライナーでエグゼクティブ気分!

 京成電鉄の象徴「スカイライナー」は沿線の人々にとって乗る機会は少なく、見るだけの存在です。しかし、「スカイライナー」と同じAE形電車を使った通勤ライナーは、沿線の人々のために走る電車です。

 京成電鉄の通勤ライナーは、平日、土休日ともに運行されています。夕方の下りが「イブニングライナー」、朝の上りが「モーニングライナー」です。京成上野〜成田空港間で運行し、一部の列車は京成成田が終着、始発となります。「スカイライナー」とは異なり、ほぼ全区間で京成本線を走ります。停車駅は京成上野側から日暮里、青砥、京成船橋、八千代台、京成佐倉、京成成田、空港第2ビルです。「イブニングライナー」は京成上野発18時から23時まで7本、「モーニングライナー」は京成上野着6時台、7時台に1本ずつ、9時台に2本です。

 車両は「スカイライナー」と同じですから、快適な座席、電源コンセント、多機能トイレなどがあります。大きな荷物スペースも利用できるため、買い物にも便利です。「イブニングライナー」「モーニングライナー」の特急料金は410円。「スカイライナー」は1230円ですから、3分の1の料金です。おトク感がありますね。

 日暮里〜空港第2ビル間の所要時間は65分前後で、「スカイライナー」の2倍程度。東京と成田空港を結ぶ「スカイライナー」の廉価版として使うには、ちょっと遅いかもしれません。しかし、京成本線沿線の人々が快適に成田空港を利用するための列車としても便利です。

【5位】普通列車と速達列車の接続が便利

 京成電鉄の定期列車の種別は、有料特急が「スカイライナー」「モーニングライナー」「イブニングライナー」の3種類。乗車券のみで利用できる列車は、普通、快速、通勤特急、特急、アクセス特急、快速特急の6種類で、合計9種類の列車があります。臨時列車として正月の成田山参詣列車「シティライナー(成田山開運号)」があります。

 普通列車の運行本数は少なめで、20分間隔になってしまう駅もあります。しかし、乗ってしまえば工夫次第でスピーディに移動できます。京成電鉄の本線は普通列車を優等列車が追い越す場面がたくさんあります。これは鉄道ファンにはワクワクする現象です。

 たとえば、上り方向で谷津駅(千葉県習志野市)から町屋駅(東京都荒川区)に向かう場合「普通列車で船橋まで乗り、快速に乗り換えて青砥まで進むと、1本前の普通列車に乗り継げる」というパターン。下り方向で堀切菖蒲園駅(同・葛飾区)から京成大久保駅(千葉県習志野市)まで行く場合は「京成高砂で快速特急に乗り換えて京成津田沼に行き、普通列車に乗り換えてれば、2本前の普通列車に乗り継げる」というパターンもあります。

 普通列車しか停まらない駅へ行く場合、追い越しが少ないと、「高速な列車に乗り継いでも、結局、後からきた同じ普通列車に乗り継ぐ。だから始めから普通列車に乗りっぱなし」となります。しかし京成電鉄は追い越しが多いため、普通列車しか停車しない駅同士を移動する場合も、途中で高速な列車を利用できるパターンが多いようです。

知名度抜群の沿線に、お楽しみがいっぱい

【6位】国民の友、寅さん!!

 京成電鉄には全国的に有名な駅があります。それは金町線の柴又駅(東京都葛飾区)。柴又駅と言えば映画『男はつらいよ』シリーズの舞台。駅前には主人公の寅さんこと車 寅次郎を演じる渥 美清さんの像があります。「旅に出る寅さんが、妹のさくらの方を振り返ったシーン」だそうです。2017年3月には、寅さん像の視線の先に、諏訪さくらの像も建ちました。お互いを気遣う像の様子が映画の世界を後世に伝えます。

 映画『男はつらいよ』シリーズは、全48作と渥 美清さんの追悼編ともいうべき『特別篇』が上映されました。1969(昭和44)年から1995(平成7)年まで、年に1作から最大3作。正月映画の定番でもありました。柴又は寅さんの故郷としてすべての作品に登場します。また、柴又駅や京成電車もほとんどの作品でロケが行われました。つまり、毎年少なくとも1回は、柴又駅付近の風景が全国の劇場に投影されていたわけです。テレビ放送も含めると、もっともメディアに登場した駅、路線かもしれません。

「京成電鉄ってどこを走っているの?」と問われたら、上野、寅さんの柴又、成田空港と言えば、日本人の誰もが理解できると言えるでしょう。寅さんの柴又、下町の文化は京成電鉄沿線住民の誇りです。

【7位】文化とエンターテイメントがたくさん

 京成電鉄沿線は、子ども、大人、家族で楽しめるスポットが盛りだくさんです。成田空港は飛行機が見えるデートスポットでもありますし、成田山新勝寺も参詣、観光スポットとして人気です。参詣では宗吾参道駅付近の東勝寺(千葉県成田市)周辺もオススメ。東勝寺は歌舞伎の義民物の元祖『東山桜荘子』のモデルとなった佐倉惣五郎が祀られた宗吾霊堂としても知られており、宗吾参道の由来となりました。

 レジャースポットとしては船橋競馬場、中山競馬場。自然散策スポットとして印旛沼、谷津干潟。買い物、ショッピングでは鬼越の「ニッケコルトンプラザ」、船橋競馬場前の「ららぽーとTOKYO-BAY」、駅から少し距離がありますが「酒々井プレミアム・アウトレット」があります。そして、東武鉄道系列ではありますが、「東京スカイツリータウン」も京成の押上駅から近い施設です。上野にはジャイアントパンダ「シャンシャン(香香)」が生まれたばかりの恩賜上野動物園をはじめ、国立科学博物館、東京都美術館などがあります。京成電鉄がかつて博物館動物園駅を設けた話はよく知られています。また、京成佐倉駅付近には国立歴史民俗博物館があります。

 谷津駅付近には習志野市谷津バラ園があります。ここはかつて、京成電鉄が運営していた谷津遊園の跡地です。京成電鉄は経営の立て直しのため、谷津遊園を手放し、東京ディズニーランドなどを手掛けるオリエンタルランドに出資。筆頭株主となっています。

住まい選びの穴場はどこ?

【8位】生活コストが低く環境も良い

 住環境は郊外へ行くほど良好なようです。都心側では隅田川、荒川、中川、江戸川のリバーサイドタウン、津田沼まではベイサイドタウン、成田までは中規模の公園が点在し、特に臼井付近は印旛沼があります。京成電鉄は車窓の眺望が良いという声もありました。立体交差化に際して、地下区間より高架を選択した区間が多いからでしょうね。

 不動産情報「suumo」によると、地価も低めです。人気エリアの1位は船橋市で坪あたり41.7万円、3位の市川市が79.6万円。8位の習志野市が51.6万円。駅付近で見ると、津田沼駅周辺は78.3万円、船橋駅周辺は71.5万円で、市の平均よりは高めです。また、本八幡(京成八幡)は99.8万円とかなり高め。

 本八幡(京成八幡)は、国道14号を挟んで大型商業施設がリニューアルオープンしたり、高層マンションが建ったりなど、高所得者に人気のエリアとのこと。東京湾付近、千葉県北西部は商業地を中心に地価が上昇しているそうです。そうなると、商業開発が進むJR沿線駅に対応する京成電鉄の駅周辺が住環境として狙い目かもしれません。

 京成電鉄側は駅周辺の大型施設は少なめです。しかし、都内の下町も郊外の駅も、地域密着型の商店が頑張っています。その象徴と言うべき街が京成大久保駅。駅前の大久保商店街は東邦大学、日本大学のキャンパスにほど近い学生街でもあり、庶民的なお店が多いそうです。習志野市大久保はかつて大日本帝国陸軍騎兵第1旅団の拠点があり、秋山好古旅団長の活躍で有名だそうです。司馬遼太郎『坂の上の雲』にも登場し、往時の様子を残す建物も残っています。

【9位】隣の路線より速くて安い?

 東京都心と千葉県の東京湾側を結ぶ鉄道路線は、京成本線のほかに、JR京葉線、JR総武本線、東京メトロ東西線、都営新宿線があります。沿線の地域に住む人々は、鉄道路線の運賃や速度、サービスに敏感かもしれません。

 京成電鉄については、「加速がいい」「普通列車が乗降後すぐに発車する」など、運行面で評価されているようです。誰もが先を急ぐ時間帯にゆっくり発車したり、乗降が終わっても扉が閉まらなかったりすると、もどかしさを感じます。京成電鉄はそんな小さなストレスが少ないといえそうです。

 ちなみに、普通列車の加速が良いなどキビキビと走る理由は、「スカイライナー」や快速特急、特急などといった優等列車の邪魔にならないようにと、加速度の高い車両を使っているからです。阪神電鉄の加速度が高い電車「ジェットカー」も普通列車用です。

「千葉から東京に出るまで、他の路線より運賃が安い」という声を見かけました。JR山手線の接続駅まで、ライバルと比較してみます。

 京成線の京成千葉〜日暮里間39.9kmは55分でIC運賃は535円。JR総武快速線の千葉〜東京間39.2kmは41分でIC運賃は637円。普通乗車券は京成が安いですが、1か月定期券になると京成は2万200円、JRが1万9060円で逆転します。

 船橋駅を基準にすると、京成線の京成船橋〜日暮里間23.0kmは通勤特急で27分、IC運賃370円、1か月定期券1万4650円。JR総武快速線の船橋〜東京間23.2kmは26分、IC運賃388円、1か月定期券1万1630円。普通運賃は確かに安いです。しかし、定期代になるとJR線に軍配が上がりそう。

 東京メトロ東西線との比較はどうでしょうか。西船橋〜大手町間は快速で23分、IC運賃278円、1か月定期券8760円でした。東西線の人気、大混雑の理由がうかがえます。西船橋駅は京成電鉄の京成西船駅の方が近いです。しかし、京成西船駅は普通列車しか停まりません。京成西船駅を利用する人からは、ダイヤ面で不満があるかもしれません。住まい選びをする場合は特急停車駅が良さそうです。

発展の余地あり? 京成沿線

【10位】ニュータウンの未来

 京成電鉄は成田山への参詣鉄道として1909(明治42)年に京成電気軌道として発足し、電灯電力供給事業とともに展開してきました。そのため不動産事業の参入は遅く、24年後の1933(昭和8)年から始まりました。ただし沿線の開発ではなく、東北・北海道が主体だったようです。

 沿線開発では千葉ニュータウン、おゆみ野・ちはら台、八千代緑が丘の開発に際して、北総開発鉄道(2004年から北総鉄道)、千葉急行電鉄(1998年から京成千原線)、東葉高速鉄道などのアクセス路線に出資。同時期に成田空港への乗り入れを目指して新線を建設しました。しかしここでオイルショックの不景気が到来し、経営再建を経験します。

 千葉県が関与した千葉ニュータウンは住みやすい街として評価されています。しかし、開発計画が目標に届かず中途半端に終わり、予定地は民間に売却されて任意開発となりました。京成電鉄も北総開発鉄道に出資しており、交通事業で苦しい立場となりました。そのせいか、京成電鉄自身による沿線の大規模不動産開発は少ないようです。1993(平成5)年に分譲を開始した公津の杜が代表的案件。その他はマンション開発など個別案件が多いようです。

 それでも都内各地と成田空港の両方にアクセスできる京成電鉄沿線の期待度は高く、他社によるニュータウン開発が進んでいます。

 特に山万が開発したニュータウンのユーカリが丘は、京成電鉄の新駅としてユーカリが丘を設置し、新交通システムで地域を結ぶというスタイルです。シネコン、ショッピングセンター、保育園など、街の大部分に開発会社が関与する、ブランド力の高い街作りが行われています。

 それはまるで、東急電鉄が手掛けた田園都市のミニ版、小林一三が発明した沿線開発モデルの再現でもあります。建設大臣賞、日本都市計画学会賞計画設計賞、日本不動産学会業績賞など、多数の受賞歴があります。

 京成電鉄沿線は商業地域や郊外のニュータウンは発展の余地は多いと思われます。将来、「昔の京成電鉄は空いていて良かった」なんて懐かしむ時代が到来するかもしれません。

【写真】柴又駅から旅に出るフーテンの寅さん

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