東京駅の京葉線ホーム、なぜ遠く離れているのか 乗り換え時間は20分

東京駅の京葉線ホーム、なぜ遠く離れているのか 乗り換え時間は20分

武蔵野線の列車も乗り入れる京葉線の東京駅ホームは鍛冶橋通りの地下。東海道新幹線などのホームが並んでいる場所から南に離れている(2014年3月、草町義和撮影)。

東京駅といえば長いホームがたくさん並び、そこから地域の通勤電車と日本の各地を結ぶ新幹線の列車が多数発着しています。ところが、東京湾に沿って千葉に向かう京葉線は、そこから数百mも離れた通りの地下にホームがあります。なぜ京葉線だけ離れているのでしょうか。

成田新幹線の地下ホーム予定地を「活用」

 日本の首都・東京を代表する「中央駅」として建設された東京駅。西側(丸の内口)には東京駅を象徴する赤レンガの駅舎があり、JRの山手線や東海道本線、そして東海道新幹線などのホームがずらりと並んでいます。

 ところが、これらJR線のホームが多数並んでいる場所には、東京駅に乗り入れているはずのJR線のホームがひとつだけありません。その名は「京葉線」。東京湾に沿って東京都心と千葉方面を結んでいる路線です。

 京葉線のホームは東京〜有楽町間のほぼ中間、山手線や東海道新幹線の線路と交差している道路(鍛冶橋通り)の地下に設けられています。山手線や東海道新幹線のホームがある場所と京葉線ホームを結ぶ地下通路も設置されていて、改札口を出ることなく列車を乗り換えることができます。

 ただし、東京駅の北端から京葉線ホームまでの距離は約600m。これは山手線と京浜東北線の御徒町〜上野間と同じくらいの距離で、同じ駅なのにひと駅分は歩かなければならないのです。乗り換えには少なくとも10分くらいはみておいた方がいいでしょう。『JR時刻表』(交通新聞社)によると、新幹線から京葉線への乗り換え標準時間は20分とされています。

 ちなみに、京葉線地下ホームの上に出るための改札口や階段もあり、鍛冶橋通りには京葉線の改札口に通じる細い階段が顔を出しています。ちゃんと「東京駅」という表示もあり、土地勘のない人がこの表示を見たら「えっ、東京駅ってこんなに小さかったのか」と誤解しそうです。

 京葉線は、東京湾に沿って工業地帯や港湾地帯を通る貨物線として計画されました。そのため、都心へのアクセスなどは考慮されないルートでした。

 しかし、経済構造の変化で工業地帯が住宅地や商業地に変わっていったため、京葉線にも旅客列車を走らせることになりましった。そのため、都心へのアクセスルートを確保する必要が生じ、成田新幹線の東京駅が設けられるはずだった鍛冶橋通りの地下に乗り入れることになったのです。

西への延伸計画にも対応しているが…

 成田新幹線とは、東京〜成田空港間を結ぶはずだった新幹線。建設反対運動や国鉄の経営悪化で1983(昭和58)年には工事が凍結され、東京駅の地下ホームも工事が行われることはありませんでした。結果的に空いた部分を、京葉線の都心ルート整備で使うことになったといえます。

 これで京葉線の地下ホームがほかの路線のホームから離れたところにあるのは分かりました。それではなぜ、成田新幹線のホームはほかのホームから離れた場所に計画されたのでしょうか。

 成田新幹線東京駅の工事を担当した国鉄第一東京工事局の機関誌『東工』によると、「将来の新宿方面への延伸」を考慮して、鍛冶橋通りの地下に決めたといいます。しかし、なぜ鍛冶橋通りの地下だと新宿へ延伸するのに都合がいいのか、それについては触れていません。

 八重洲通りの地下を通って東京駅の下にホームを設置し、そのまま皇居の下などを通って新宿に抜けるルートなら、東京駅での乗り換えの距離も短くできてよさそうに思えますが……工事が難しいと考えられたのか、それとも建設費が鍛冶橋通りより高くなることが想定されのか、あるいは何か全く別の問題があったのでしょうか。

 ちなみに、京葉線の東京駅ホームも、将来の新宿延伸を考慮して建設されました。国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会は2016年4月、東京圏における鉄道整備に関する基本計画「東京圏における今後の都市鉄道のあり方」を取りまとめ、京葉線を新宿経由で中央線の三鷹まで延伸する構想を盛り込みました。

 東京〜新宿〜三鷹間はいまも中央快速線で結ばれていますが、その混雑率は2016年度で187%(中野→新宿)。京葉線の三鷹延伸が実現すればルートが二重になり、混雑の緩和が期待できそうです。

 もっとも、「今後の都市鉄道のあり方」は「収支採算性に課題がある」とも述べています。国や自治体、JR東日本も具体化に向けて動いている様子はみられず、当面は現状維持が続くとみられます。

【地図】京葉線ホームは東京〜有楽町のほぼ中間

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