2018年の鉄道を振り返る 新型特急デビューや地下鉄民営化

2018年の鉄道を振り返る 新型特急デビューや地下鉄民営化

複々線化事業が完了した小田急線。新型特急ロマンスカー70000形「GSE」(左)が営業運転を開始するとともに7000形「LSE」(右)が引退した(2018年2月、草町義和撮影)。

2018年は、小田急が複々線化による抜本的な混雑緩和を図ったほか、新型特急ロマンスカー「GSE」も導入。関西では東京に次ぐ地下鉄の民営化がありました。一方でJR北海道の経営問題や災害、セキュリティなど課題も目立つ年でした。

東の「複々線化」と西の「民営化」

 2018年に最も目立った鉄道事業者は、何といっても小田急電鉄ではないでしょうか。1964(昭和39)年の都市計画決定から半世紀、1985(昭和60)年の着工から30年以上の月日をかけて進めてきた、代々木上原駅(東京都渋谷区)から11.7km先の登戸駅(川崎市多摩区)までの複々線化工事。2018年3月3日に完成し、3月17日には複々線に対応したダイヤ改正が実施されました。

 これにより朝ラッシュ時の本数が改正前の27本から9本増えて36本になり、所要時間も町田〜新宿間で最大12分の短縮を実現。最混雑区間の平均混雑率は192%から151%に減少し、平均遅延時間も2分4秒から半分以下の48秒となりました。一方で快速急行への利用集中が問題となっており、今後のさらなるダイヤ改正が期待されています。

 また、ダイヤ改正と同時に新型ロマンスカー70000形電車「GSE」がデビューし、1980(昭和55)年デビューの7000形電車「LSE」を置き換えることになりました。7000形は10月13日のさよなら運転をもって引退。2021年春には、海老名駅(神奈川県海老名市)のそばにオープンする「ロマンスカーミュージアム」で7000形の先頭車が展示される予定です。

 もうひとつ、大きな節目を迎えたのが日本初の市営地下鉄として1933(昭和8)年に開業した大阪市営地下鉄です。大阪市が株式を100%保有する民営会社「大阪市高速電気軌道」に移管され、4月1日から「Osaka Metro(大阪メトロ)」として生まれ変わりました。地下鉄事業者の民営化は、2004(平成16)年の東京メトロに次いで2例目です。

 大阪メトロは民営化により都市開発事業に参入し、鉄道事業のほかに収益の柱を作りたいとしています。その候補として挙げられているのが、先日決定した「2025年大阪万博」の会場となる大阪の埋立地「舞洲(ゆめしま)」です。

 地下鉄中央線を延伸し、周辺に商業施設を開発する経営計画を発表していますが、もくろみ通りうまくいくかどうか、注目されます。

車内での「不測の事態」どう対応する

 鉄道の将来を考えさせられるニュースも、いくつかありました。

 地方ローカル線は今後も存続できるのでしょうか。JR北海道の経営再建について、国土交通省や北海道、沿線自治体などが話し合う6者協議が4月から始まりました。JR北海道は国と自治体から支援がない場合、全路線の半分近い区間を廃止せざるを得ないとして、北海道の鉄路存続に向けた議論が風雲急を告げることになりました。協議は現在も難航しており、予断を許さない状況です。

 鉄道の安全を確保するためには何が必要なのでしょうか。6月9日に新横浜〜小田原間を走行中の東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で、刃物を持った男が乗客を切りつけ、3人が死傷しました。2015年の新幹線放火事件に続く乗客死傷事件の発生に、新幹線でも手荷物検査を行ったほうがいいのではないかという議論もされるなど、誰もが安全に安心して使える公共交通のあり方が改めて問われる事件となりました。

 そして2018年も、災害が日本列島を相次いで襲いました。いずれも広域に大きな被害をもたらし、鉄道にも深刻な影響を与えています。

 6月18日朝7時58分に大阪府北部で発生した最大震度6弱の地震は、大都市の朝ラッシュ時間帯を直撃しました。関西圏の鉄道が長時間運転を見合わせ、出社難民と帰宅難民が多数発生しています。JR西日本の一部路線は終日運転を見合わせ、設備点検と復旧に時間を要した大阪モノレールは6月22日まで運転を見合わるなど影響が広がりました。

 続いて発生したのが、西日本を中心に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」です。岐阜から鹿児島まで広い範囲で土砂崩れや橋りょうの流出など鉄道施設が被災。いまもなおJR西日本の芸備線の一部区間とJR九州の原田線(筑豊本線)が復旧していません。

 JR西日本の呉線は土砂崩れで3か月以上運行できなくなり、呉から広島への通勤通学輸送が大混乱に陥って、代替交通機関として臨時の高速バスやフェリーが運行されるという事態も発生しました。

被害を最小限に抑えた「計画運休」

 9月には台風21号が近畿地方を襲いました。最大瞬間風速50m/s以上を記録した強風と高潮による被害が深刻で、9月4日には強風で流されたタンカーが関西空港の連絡橋に衝突、橋桁が損傷する事故も発生。9月17日までJR関西空港線と南海空港線が不通となりました。

 このほか、強風による送電線のショートとみられる火災で南海本線 尾崎駅(大阪府阪南市)の駅舎が全焼。また大阪府泉佐野市にあるJR西日本の車両基地で電柱が倒壊し、車両の出入りができなくなるなど、大きな被害が発生しました。

 ただ、施設に大きな被害が出た一方で乗客に被害がなかったことは幸いでした。JR西日本は台風21号が最接近する前日、京阪神の在来線全線を4日午前10時ごろまでにすべての運転を取りやめる「計画運休」を発表。広く外出の自粛が行われたことが功を奏したのです。これを受けて、9月30日の台風24号ではJR東日本も初めて「計画運休」を実施するなど、今後の広がりが期待されています。

 台風の余韻冷めやらぬ9月6日未明、北海道で初めて震度7を観測した「北海道胆振東部地震」が発生します。地震によって発生した大規模停電(ブラックアウト)の影響で道内の鉄道は終日運転を見合わせました。発電所の完全復旧まで、JR北海道や札幌市地下鉄が運転本数の削減や、照明や空調を切るなどの節電対応に迫られ、通常運行に戻ったのは地震発生から2週間後の9月20日でした。

 震源に近いJR北海道の千歳線、日高本線、石勝線、室蘭本線では線路がゆがむなどの被害が発生。復旧した部分で徐行運転を行っているため、一部の区間で列車の遅延が発生しています。この地震はJR北海道の経営危機をさらに深刻化させるものになりました。

 いずれのニュースも2018年で終わるものではなく、2019年に引き継がれる課題になりそうな、話題の多い年になりました。

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