140円払えば関東一周できる? JR線「大回り乗車」を楽しむ 制限や注意点も

140円払えば関東一周できる? JR線「大回り乗車」を楽しむ 制限や注意点も

大都市近郊区間内の列車を途中下車せずひたすら乗り継ぐ「大回り乗車」。写真はイメージ(画像:photolibrary)。

一部のJR線には、どんなに長いルートで利用しても、一番短いルートで運賃を計算するという「特例」があります。この特例をうまく活用すれば、安い費用で長距離旅行することも可能に。ただし、様々なルールや制限もあるため、注意が必要です。

特例を活用し、最短経路の運賃で大回りする

 休みの日は「どこか遠くへ旅したい」と思う人もいるでしょう。しかし、遠くへ行けば行くほど費用はかかります。

 ところが、ひたすら列車を乗り継いで1000km以上移動しても、わずか140円(紙のきっぷの場合。以下同じ)しかかからない「裏技」があります。鉄道ファンが「大回り乗車」と呼ぶ方法です。

 JR線の路線網のなかには「大都市近郊区間」と呼ばれるエリアがあります。このエリア内では、ルールに即していれば実際に乗車するルートに関わらず、最も安くなるルートの運賃で乗車できるという特例があるのです。

 東京駅からふたつ隣の秋葉原駅に移動する場合、山手線の電車に乗って品川、新宿、池袋、田端の各駅を経由する遠回り(大回り)のルート(32.5km)でも、運賃は神田経由の最短ルート(2.0km)で計算。本来は480円かかる区間を、140円で移動できます。

「大回り乗車」の注意ポイント

 ただし、この特例には必ず守らなければならないルールがあります。そうしないと、実際に利用したルートで運賃を請求されたり、不正乗車とみなされたりする可能性がありますから、注意しましょう。

1.大都市近郊区間の外には出られない

 出発駅と到着駅の両方とも「大都市近郊区間」のエリア内にないと、特例は適用されません。エリアは市販されている時刻表やJR各社のウェブサイトで確認できます。関東の場合、JR在来線の大半は「東京近郊区間」という大都市近郊区間に含まれています。

2.同じ駅を二度通るルートは不可

 同じ駅を二度通ったり、後戻りするルートでは利用できません。

3.途中下車は完全NG

 JRの乗車券は通常、片道の営業キロが101km以上なら途中下車できます。しかし、大都市近郊区間内の乗車券は、どんなに距離が長くても途中下車できません。

4.有効期間は1日だけ

 通常の乗車券は、利用する距離が長ければ長いほど有効期間も長くなります。大都市近郊区間内の乗車券は、原則として利用開始の当日のみ有効。2日かかるようなルートで大回り乗車することはできません。

※ ※ ※

 このように、「大回り乗車」には様々な制約があります。駅の外にある観光地に立ち寄ったり、駅前広場にある食堂などで食事したりすることはできません。

 とはいえ、窓の外に広がる景色は楽しめますし、駅の構内にある売店や食堂を利用したり、あらかじめ弁当を用意したりすれば、食事の問題も解決します。

 たとえば、東京〜(総武本線)〜成東〜(東金線)〜大網〜(外房線)〜安房鴨川〜(内房線)〜蘇我〜(京葉線)〜八丁堀間の322.3kmという大回りルートで途中下車せずに房総半島を回ると、窓の外に広がる太平洋や東京湾の景色を、わずか140円の運賃で楽しめます。

140円で移動できる最長のルートは? 年に1日だけ実施可能

 なお、東京近郊区間内の最安運賃(140円)で、最も長いルートになるのは次の通りです。

北小金〜(常磐線)〜友部〜(水戸線)〜小山〜(両毛線)〜新前橋〜(上越線)〜高崎〜(高崎線)〜大宮〜(川越線)〜高麗川〜(八高線)〜八王子〜(横浜線)〜橋本〜(相模線)〜茅ケ崎〜(東海道線)〜大船〜(根岸線・京浜東北線)〜鶴見〜(鶴見線)〜浜川崎〜(南武線支線)〜尻手〜(南武線)〜川崎〜(東海道線)〜品川〜(横須賀線)〜武蔵小杉〜(南武線)〜立川〜(中央線)〜西国分寺〜(武蔵野線)〜武蔵浦和〜(埼京線)〜赤羽〜(京浜東北線)〜南浦和〜(武蔵野線)〜西船橋〜(総武緩行線・総武本線)〜佐倉〜(成田線)〜松岸〜(総武本線)〜成東〜(東金線)〜大網〜(外房線)〜安房鴨川〜(内房線)〜蘇我〜(京葉線)〜東京〜(総武快速線)〜錦糸町〜(総武緩行線)〜秋葉原〜(山手線)〜神田〜(中央線)〜新宿〜(山手線)〜日暮里〜(常磐線)〜馬橋

 営業キロは1035.4km。東海道・山陽本線なら、東京〜新山口間(1027.0km)に相当します。とはいえこの行程、あまりに距離が長くて途中で終電の時刻を迎えます。「大都市近郊区間内のきっぷは当日限り有効」という制限にひっかかり、通常はこのルートを140円で移動することはできません。

 しかし、年末年始の12月31日から翌年1月1日にかけては、参詣客向けの終夜運転が行われていて、いつもの終電後も終夜運転の列車、翌日の初電と乗り継げます。JRのきっぷは「途中下車しなければ、有効期間を過ぎても目的地の駅まで利用できる」というルールがあるため、徹夜の行程になりますが、北小金〜馬橋間1035.4kmを140円で移動できるのです。実際、年末年始には北小金〜馬橋間の最長ルートに挑戦する人もいるようです。

 ただ、終夜運転の列車は本数が限られていて、路線によっては運転されないことも。あらかじめ終夜運転列車の時刻をしっかり調べたうえで実行しないと、途中で「ゲームオーバー」になります。本気で挑戦しようと考えている人は注意しましょう。

【地図】東京近郊区間の「最長大回り乗車ルート」

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