「万博の乗りもの」はいま 新機軸の「展示物」が残した成果、全国各地に

「万博の乗りもの」はいま 新機軸の「展示物」が残した成果、全国各地に

1970年の大阪万博会場跡地(万博記念公園)の脇を走る大阪モノレールは、万博会場内を運行していたモノレールと同じ規格を採用した(画像:photolibrary)。

これまで万博や地方博覧会では、新技術を詰め込んだ交通機関や実験的な乗りものが登場してきました。そのなかには、現在、すっかり定着しているものもあります。

万博会場を走ったモノレールが標準型に

 日本では1970(昭和45)年に日本万国博覧会(大阪万博)が開催されたのを皮切りに、これまで万博が数回開催されています。2018年11月には、大阪港の埋立地「夢洲(ゆめしま)」で、2025年に万博(2025年大阪万博)を開催することが決まりました。

 万博は大勢の人が来場するため、会場へのアクセス手段として鉄道が整備されることがあります。2025年大阪万博でも、大阪メトロ中央線が会場予定地の夢洲まで延伸される見通しです。

 しかし万博はアクセス鉄道だけではありません。広大な万博会場を移動するための交通機関として、会場内に鉄道を整備することもあります。

 1970(昭和45)年の大阪万博では、会場内を循環するモノレール(万国博モノレール)が整備されています。この6年前に開業した東京モノレールと同様、ゴムタイヤの車両がコンクリートの桁にまたがって走るものでした。

 ただし、東京モノレールは車体の位置が低く、ゴムタイヤを納めるためのボックスが床から飛び出ています。これに対して万国博モノレールは、車体の位置を高くすることで床を平らにし、定員を増やしました。ほかにも自動列車運転装置(ATO)を搭載するなど、当時としては最新の技術が盛り込まれました。

愛知万博の遊覧車は山口県で運行中

 このモノレールは日本のモノレールの標準型と位置付けられ、のちに開業した北九州モノレールや大阪モノレール、多摩モノレールなども、基本的な構造は万国博モノレールとほぼ同じです。いまでは中国の重慶でも運行されています。

 1975(昭和50)年の沖縄国際海洋博覧会(沖縄海洋博)では、ゴムタイヤの小型車両がレールに誘導されて走る「新交通システム」が登場。のちに東京の「新交通ゆりかもめ」や大阪の「ニュートラム」など、副都心やニュータウンのアクセス鉄道として全国各地に導入されました。

 2005年日本国際博覧会(愛知万博)の会場内で運行されたのは、トヨタ自動車が開発した「IMTS」。車両自体はバスですが、IMTSの専用道路では路面に埋め込んだ磁気マーカーで誘導する自動運転を行っていました。法律上は鉄道に準じた乗りものとされ、実際に愛知万博のIMTSも鉄道の法律に基づき営業運転を行っています。

 ちなみに鉄道扱いではありませんが、愛知万博ではタイヤ付き車両を連結した遊覧車も走っていました。この遊覧車は現在、錦川鉄道 錦町駅(山口県岩国市)から約6km先の雙津峡(そうづきょう)温泉まで運行中。錦町駅と山口線の日原駅(島根県津和野町)を結ぶはずだった幻の鉄道路線「岩日北線」の遺構を再整備した公園を走ります。

リニアやガイドウェイバスも初営業は博覧会

 万博だけではありません。地方博覧会でも、会場内に鉄道を整備するケースがあります。

 1989(平成元)年に開催された横浜博覧会では、JAL(日本航空)が中心となって開発した浮上式リニアモーターカー「HSST」などが会場内で運行されました。1985(昭和60)年の国際科学技術博覧会(つくば万博)でもデモンストレーション運行が実施されましたが、鉄道の法律に基づき営業運転を行ったのは横浜博が初めてです。HSSTはその後、愛知万博のアクセス交通機関となった「リニモ」で採用されています。

 横浜博と同年に開催された福岡のアジア太平洋博覧会でも、「ガイドウェイバスシステム」が会場内の輸送機関として運行されています。バスに取り付けた案内輪を通路の脇に設置されたレールにそわせることで走るもの。バスは案内輪を収納して一般道を走ることもできます。これも路面電車の法律に基づき運営され、2001(平成13)年には名古屋ガイドウェイバスのガイドウェイバス志段味線(ゆとりーとライン)が常設の営業路線として開業しました。

 このように、万博などの大規模な博覧会では、新しい技術を用いた鉄道が「出品」されることがあります。単に会場内の移動用として使われるだけでなく、「動くパビリオン」として新技術の宣伝や営業運行を実証する場にもなっていたのです。そして博覧会の終了後、実際にそのシステムを採用した鉄道が常設の交通機関として整備されることもあります。

 2025年の大阪万博でも、会場の玄関口となる夢洲駅に「未来的な自動運転モビリティ」(2018年12月21日、大阪メトロ発表)を発着させる構想が早くも打ち出されています。このほかにも新技術を活用した乗りものが、会場内の交通機関として整備されることになるかもしれません。

【写真】愛知万博「鉄道扱いのバス」

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