首都圏〜北九州の新フェリー、なぜ「横須賀発」? 市と船社に聞くその「強み」

首都圏〜北九州の新フェリー、なぜ「横須賀発」? 市と船社に聞くその「強み」

横須賀〜北九州航路で予定されている使用船舶と同等クラスの新日本海フェリー「すずらん」。敦賀〜苫小牧航路に就航している(画像:横須賀市)。

2021年春、横須賀〜北九州間に新航路が誕生する予定です。過去には横須賀〜大分航路がたった3年で廃止されていますが、なぜ今回も横須賀なのでしょうか。

定期航路を誘致していた横須賀市

 神奈川県横須賀市が2018年12月18日(火)、横須賀港と福岡県の北九州港を結ぶ長距離フェリーを開設すると発表しました。就航は2021年春の予定です。

 新航路は1日1便、日曜を除く週6便の運航。170台の貨物車を積載できる約1万6000総トン級のフェリー2隻体制になるとのこと。横須賀〜北九州間527マイル(976km)を、20時間30分で結びます。阪九フェリーと新日本海フェリーを中心とするSHKライングループが運航を担当し、就航に際し新会社を設立するとしています。

 かつては東京湾発着の長距離フェリーが複数運航されていましたが、廃止や旅客営業の中止、発着港の変更などが相次ぎ、いまは東京〜徳島〜北九州間のオーシャン東九フェリーを残すのみ(離島航路を除く)。横須賀にも、2004(平成16)年に大分とを結ぶシャトル・ハイウェイラインが就航したものの、わずか3年半で廃止されています。今回の航路新設の背景について、横須賀市港湾企画課に話を聞きました。

――どのような経緯で航路開設に至ったのでしょうか?

 シャトル・ハイウェイラインの廃止以降、当市は定期航路を誘致すべく様々な船社にアプローチしてきました。フェリー関係の雇用も生まれ、街が活性化するほか、港湾施設使用料による収入増も見込めるからです。

――横須賀の「強み」はどのような点でしょうか?

 東京湾内は航行速度が制限される海域もありますので、湾口部に位置する横須賀ならば、東京港まで運航するのと比べてトータルで時間を短縮できます。今回は、SHKラインさんのほうから航路開設のご相談をいただきました。

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 シャトル・ハイウェイラインは横須賀市街の南、久里浜港に発着していましたが、今回は市街地に近い横須賀新港(京急の横須賀中央駅から徒歩15分程度)を予定しているとのこと。ただ現状、ここはフェリーに対応しておらず、防舷材(横付けする船の衝撃を吸収する岸壁の保護材)やターミナル、ボーディングブリッジなどの整備が必要だといいます。

いま、「波」が来ている!

 横須賀市に航路開設を持ちかけたという、SHKライングループの新日本海フェリーにも話を聞きました。

――なぜ新航路の開設を企画したのでしょうか?

(ネットショッピングなどの増加で)宅配の貨物が増えている一方で、ドライバー不足が深刻化していることから、関東〜北九州間で航路を開設したいという思いがありました。その距離はおよそ1000kmですので、クルマで行けばドライバーが2人必要になることもあり、コストが増大します。しかしフェリーを使えば、ドライバーは休息できますし、トラックのコンテナだけを載せて運ぶことも可能ですので、ニーズは大きいと考えています。

――なぜ横須賀を選んだのでしょうか?

 横須賀〜北九州間20時間30分というのは、当社が運航している日本海側の敦賀〜苫小牧航路と、距離も時間もほぼ一緒です。その運航体制やビジネスモデルが当てはめられると考えました。グループで使用している船をあてがうこともできるでしょう。

 東京湾の場合、奥(東京方面)に入るほど余分に時間がかかります。そのなかで横須賀は、湾口部でありつつ都心から比較的近く、高速道路のアクセスもよいことも、選んだ理由のひとつです。

――かつてはシャトル・ハイウェイラインが3年半で廃止されていますが、このことはどうお考えでしょうか?

 その当時は「陸で運ぶ時代」だったかもしれませんが、いまは「モーダルシフト(輸送手段の転換)」の波が来ています。造船技術も発達しており、昔よりもスピードが速く、しかも省エネで運航コストも低減されています。当グループが所有するそのような船を活用したいとお考えの荷主さんがおられます。

※ ※ ※

 新日本海フェリーによると、貨物については勝算があるそうですが、旅客については未知数なところがあるとのこと。「開設すれば、いろいろなニーズが出てくるでしょう。飛行機や新幹線も発達していますので、フェリーでしか運べないマイカーやバイクなどの利用者にアピールすることが考えられます」と話します。

 なお北九州側の発着港は、まだ決まっていないそうです。

【地図】駅から歩ける! 横須賀側の発着港

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