唯一無二、核兵器も扱う原子力空母「シャルル・ド・ゴール」でフランスは何を目指す?

唯一無二、核兵器も扱う原子力空母「シャルル・ド・ゴール」でフランスは何を目指す?

フランスの原子力空母「シャルル・ド・ゴール」(写真手前)。2014年、オマーン湾にて撮影(画像:アメリカ海軍)。

フランスの空母「シャルル・ド・ゴール」は、アメリカ海軍以外で唯一の原子力空母であるうえに、核兵器の運用も可能です。その抜群のプレゼンスを、フランスはどう活用するのでしょうか。

仏原子力空母、海自と共同訓練実施へ

 2019年1月11日、フランス西部に位置するブレストで開かれた日仏外務・防衛閣僚会合(「2+2」)において、フランス海軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とする空母機動群が2019年、インド洋へ展開する機会に、海上自衛隊の艦艇と共同訓練を実施することが発表されました。

「シャルル・ド・ゴール」は、1989(平成元)年から建造が開始され2001(平成13)年に就役した、フランス海軍唯一の空母かつ、アメリカ海軍が保有する艦艇以外では世界で唯一の原子力空母です。全長は261m、乗員は艦載機運用要員も含めて約1950人、そして搭載可能な艦上機の数は約40機と、アメリカ海軍のニミッツ級原子力空母(全長約333m、乗員約5700人、艦載機約70機)に比較するとコンパクト。また艦載機としては、空対空戦闘から空対地戦闘まで幅広くこなせる、フランスの国産マルチロール戦闘機「ラファールM」に加え、早期警戒用の「E-2Cホークアイ」や各種ヘリコプターを搭載しています。

 前述のように「シャルル・ド・ゴール」は、アメリカ海軍以外では唯一の原子力空母ですが、実はそのアメリカ海軍の原子力空母ですら、現在では持っていない能力を「シャルル・ド・ゴール」は有しています。それが、核兵器の運用能力です。

世界で唯一の核兵器搭載原子力空母というプレゼンス

「シャルル・ド・ゴール」の艦載戦闘機ラファールMは、熱核弾頭を搭載するミサイル「ASMP-A」の運用能力を備えています。ASMP-Aは、2010(平成22)年からラファール戦闘機への搭載が開始された、射程600kmを誇る超音速巡航ミサイルで、敵の防御をすり抜けて目標へ正確に命中する能力を有しています。

 以前は1978(昭和53)年から運用が開始された、艦上攻撃機の「シュペルエタンダール」が核ミサイルの運用を担ってきましたが、同機は2016年に全機退役が完了しており、その役割がラファールMに引き継がれた形です。

 このように、核兵器運用能力を有する「シャルル・ド・ゴール」は、フランスが関心を有する地域や、紛争が発生しそうな地域へと派遣されることで、フランスの意思やプレゼンス(存在感)を示したり、あるいは紛争の危険度をコントロールしたりと、有用なツールとなります。

 それでは、フランスはなぜヨーロッパから遠く離れたインド洋へと「シャルル・ド・ゴール」を派遣し、かつそこで海上自衛隊と共同訓練を実施するのでしょうか。その理由は、「フランスにとってインド太平洋という地域が持つ意義の大きさ」と深く関係しています。

「太平洋国家」であるフランス

 フランスは、ヨーロッパに位置する国家であると同時に、インド太平洋地域にも多くの領土を持っていて、こうした海外領土などのおかげで、世界でも有数の広大な排他的経済水域(EEZ。漁獲や資源開発に関して沿岸国が排他的な権利を有する海域)を保持しています。つまり、フランスは日本と同じく「太平洋国家」ともいえます。

 そのため、インド太平洋地域で発生する問題は他人ごとではなく、南シナ海における中国の活動や北朝鮮情勢は、フランスにとっても大きな関心事です。そこで、フランスは「シャルル・ド・ゴール」のインド洋派遣や海上自衛隊との共同訓練を通じて、同地域でのプレゼンスを示し、情勢に関与することを目指そうとしているのです。

 2019年2月現在、「シャルル・ド・ゴール」がインド洋を越えて日本に寄港するかどうかは明らかにされていませんが、もし寄港するという話になれば、そこにはある難関が立ちはだかります。日本の「非核三原則」です。

 核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という有名なフレーズで知られ、1968(昭和43)年以来、日本政府が踏襲してきた「非核三原則」は、読んで字のごとく日本国内への核兵器の持ち込みを禁止しています。つまり、もし「シャルル・ド・ゴール」が先述したASMP-Aを搭載した状態で展開するようであれば、日本への寄港は認められないことになります。

 しかし、たとえば「シャルル・ド・ゴール」自体は日本の領海外に停泊するとしても、その艦載機が在日米軍基地などに展開することなどが考えられるほか、そもそもフランス側がASMP-Aの搭載を否定したうえで日本に寄港する可能性もあります。

 近年、朝鮮半島情勢や中国の動向をめぐり、インド太平洋地域における日本の存在感は日増しに増大していますが、今回の「シャルル・ド・ゴール」と海上自衛隊との共同訓練は、まさにその証左といえるでしょう。

【写真】並べて比較、米仏の原子力空母

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