高度化する自動車盗 防止技術を逆手に取った「リレーアタック」、有効な対策は?

自動車の新たな盗難手法「リレーアタック」に注意 イモビライザーも効果なし

記事まとめ

  • 自動車年間盗難件数が59年ぶり1万件を下回り、イモビライザーが効果を上げた模様
  • イモビライザーを標準装備した車種が増えるにつれ、盗難件数が減ってきているとのこと
  • 新たな手口として「リレーアタック」が登場し、イモビライザーも効果がない

高度化する自動車盗 防止技術を逆手に取った「リレーアタック」、有効な対策は?

高度化する自動車盗 防止技術を逆手に取った「リレーアタック」、有効な対策は?

自動車盗のイメージ(画像:jedimaster/123RF)。

自動車の年間盗難件数が59年ぶりに1万件を下回りました。ピーク時の6万件以上から10数年をかけて激減したのには、ある技術の普及が挙げられますが、それを逆手に取った新たな手口も登場しています。

盗難抑制に効果「イモビライザー」

 日本損害保険協会によると、2018年の自動車盗難認知件数は8628件だったそうです。自動車の盗難は、ピークだった2003(平成15)年の6万4223件から漸減し、この15年間で5万6000件も減少。年間1万件を下回るのは、じつに59年ぶりだそうです。

「1990年代後半に、組織的犯罪による自動車の盗難が急増し社会問題となりました。これを受け2001(平成13)年、国や警察、民間の自動車関連団体が連携した『自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム(以下、官民合同PT)』が発足し、盗難防止技術の普及や啓発に取り組んできたのです。年間の盗難件数を1万件以下に抑えることは、まさに官民合同PTにとっての悲願でした」(日本損害保険協会)

 官民合同PTによると、犯罪グループが組織的に関与し、盗難車両が不正に解体され、中古部品として海外に輸出されるケースがあるとのこと。また日本でも、解体された部品がほかの車両に使用され、まっとうな車両として登録を受け、販売流通させる例などがあるとしています。

「ドアロックの啓発も行っていますが、ドアをロックしていても盗まれるケースが多いです。このため、盗難防止装置の普及にも努めてきました。クルマのキーが持つ電子的な情報と、車両側の情報を照合してエンジンを始動させる『イモビライザー』をはじめ、ハンドルロックやタイヤロック(金具などを噛ませてハンドルやタイヤを動かなくする商品)といったものです」(日本損害保険協会)。

 特に、イモビライザーが盗難防止に一定の効果を挙げているとのこと。国土交通省の資料によると、2015年時点でイモビライザーは8割以上のクルマに普及しており、日本損害保険協会は、イモビライザーを標準装備した車種が増えるにつれ、盗難件数が減ってきているとのこと。

 カー用品店「オートバックス」を展開するオートバックスセブンによると、「イモビライザーの普及は、確かに盗難防止に効果を発揮しています。しかしそれだけでなく、特に盗まれやすいと言われる車種(「プリウス」「ハイエース」など)のオーナーさんを中心に、防犯意識が高まっていることも、件数が減少している要因でしょう」と話します。

イモビが効果なし! 新たな手口に注意

 官民合同PTは一般ユーザーに対し、クルマを離れる際に貴重品を車内に置きっぱなしにしないこと、駐車場の照明を増やし、盗難されにくい環境をつくることなども啓発してきたそうです。日本損害保険協会は、これらが総合的に実を結び、認知件数の減少につながっていると話します。

 一方、新手の自動車盗も登場しています。「リレーアタック」と呼ばれる手法で、海外では以前から確認されていましたが、2019年に入ってから日本でも、その被害を伝える報道が相次いでいます。

 リレーアタックは、いわゆる「スマートキー」の特質を悪用したもの。スマートキーは常に、微弱な電波を発しており、それに含まれる情報が車両側から発される微弱電波の情報と照合されることで、ドアノブに手をかけるだけで開錠されたり、プッシュボタン式のエンジンをかけたりできるというものです。

 その犯行手法は、実行犯Aがクルマから離れたドライバーに密かに近づき、スマートキーの電波を特殊なデバイスでキャッチ、別の周波数に変換し、増幅して車両近くにいる実行犯Bに送信します。そして実行犯BがAから受信した電波を、もとの周波数に変換すると、車両はスマートキーが近くにあると誤認してしまい、ドアを開けたりエンジンをかけたりすることができるようになるのです。スマートキーの仕組みは、イモビライザーを兼ねたものですが、このリレーアタックの前では意味をなしません。

 リレーアタックは警察でも認知しているものの、なかなか実態を掴めていないと日本損害保険協会は話します。電波を遮断する方法とは別に、ハンドルロックやタイヤロックなど、乗り込んだ窃盗犯が発車できなくなるよう、車両を物理的に動かなくする対策も有効だそうです。

 オートバックスセブンによると、「ハンドルロックなどの物理的な対策は、安価でかつ、どのような盗難手法にも効果があります」とのこと。また2019年2月現在、リレーアタック対策として、スマートキーが発する電波を遮断するキーケースなどがよく売れているといいます。

「部品狙い」、特に注意すべきは

 さらに、近年はナンバープレートが盗まれるケースも目立っているようです。

 警察庁によると、車両の部品を狙った盗難の認知件数は、2007(平成19)年度の7万8016件から、2017年度には2万7353件まで減っています。しかし、そのなかでナンバープレートの被害が増加傾向にあり、2017年度は44.9%を占めたそうです。ナンバープレートは別の車両に取り付けられ、犯罪に使用されるケースがあるといいます。

「ナンバープレートの対策としては、それを車体にとめるネジを盗難防止タイプにすることが挙げられます。たとえば愛知県警では、県内の整備工場などで盗難防止ネジの無料取り付け・取り外しを実施したり、キャンペーンを行ったりして普及に努めています」(日本損害保険協会)

 日本損害保険協会は「盗難件数は減っていますが、窃盗は年々高度化、巧妙化しています。引き続き対策と啓発に努めていきます」と話します。

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