開くのは2日だけ! 「日本最少」JR四国の津島ノ宮駅、営業しない日はどうなっている?

開くのは2日だけ! 「日本最少」JR四国の津島ノ宮駅、営業しない日はどうなっている?

毎年8月の2日間しか営業しない津島ノ宮駅(2019年1月、草町義和撮影)。

香川県三豊市のJR予讃線 海岸寺〜詫間間にある津島ノ宮駅は「日本一営業日が短い駅」とされます。1年のうち、近くの津嶋神社で祭事が行われる2日間だけしか、営業しないのです。それ以外の日はどうなっているのか、現地を訪ねてみました。

毎年8月の2日間だけ営業

 鉄道駅のなかには、利用者が多い日だけ営業する臨時駅もあります。特に香川と愛媛を結ぶJR予讃線の海岸寺〜詫間間にある津島ノ宮駅(香川県三豊市)は、近くの津嶋神社で夏季大祭が行われる毎年8月4、5日のみ営業。JR四国は「日本一営業日が短い駅」としています。

 駅は営業日、津嶋神社を訪ねる大勢の人でごった返しますが、営業しない日の津島ノ宮駅がどういう状況なのか、あまり知られていません。2019年1月23日(水)、津島ノ宮駅を訪ねました。

 予讃線の多度津駅(香川県多度津町)から、松山行きの快速「サンポート南風リレー号」に乗車。西に進んで次の海岸寺駅(香川県多度津町)を発車すると、右側の窓には瀬戸内海が見えます。しばらくすると、やや急なカーブの外側に短いホームがひとつ。これが津島ノ宮駅です。しかし列車は数秒で通過し、駅の細部を確かめる余裕はありませんでした。

 13時少し前、快速「サンポート南風リレー号」は詫間駅(香川県三豊市)に到着。早速、津島ノ宮駅に向かって歩きました。予讃線の線路は県道に挟まれていて、海側が4車線の新道、内陸側は2車線の旧道です。

 しばらく新道を歩いてから旧道に移り、線路に沿って津島ノ宮駅を目指します。歩いている人は見かけませんでしたが、自動車は数分おきに記者(草町義和:鉄道ライター)の目の前を通り過ぎていきます。海側には工業団地、内陸側も民家がポツポツと続いていて、過疎化が極端に進んでいるような土地ではありません。

駅前は神社だけでなく民家もあるが…

 30分ほど歩くと津嶋神社に到着しましたが、目の前にあるのは祈祷(きとう)殿や社務所だけ。本殿はここから約300m離れた瀬戸内海の小さな島(津島)にあり、そこへ渡るための橋も架けられています。とりあえず本殿に行ってみようと橋のほうへ足を向けましたが、橋はロープで閉鎖されていて、桁には床板が敷かれていませんでした。

 津嶋神社の橋は夏季大祭にあわせて桁の床板が敷かれ、夏季大祭が終われば床板が撤去されます。駅だけでなく神社の本殿自体、年に2日しか訪ねることができないのです。

 本殿を訪ねるのは諦めて津島ノ宮駅へ。駅の周囲にある小道から構内を観察してみました。ホームの北側は広場になっていて、その脇に駅舎らしき小屋が。「きっぷうりば」と記された看板と、木の板でふさがれた窓口もあります。

 駅のそばにある踏切を渡って反対側から眺めてみると、駅名標がポツンと立っています。JR四国のほかの駅でも使われているデザインの駅名標ですが、隣接する駅と異なり「Y13」などといった駅番号の表示はありません。なお近年は営業日に限り、「日本一営業日が短い駅」と記したオリジナルデザインの駅名標に変えています。

 周囲を見渡すと神社のほか、少なくない民家があり、踏切を渡って線路の反対側へ歩いて行く人を何度か見かけました。人口が多いというわけではないものの、津島ノ宮駅を通年営業にしても良さそうに思えました。

 香川県の統計資料(2017年度)によると、津島ノ宮駅の年間乗降人員は6296人。営業1日あたりだと単純計算で3148人、年間通しての1日平均なら約17人です。同じ香川県内で通年営業している駅のうち、最も利用者が少ない土讃線の黒川駅(まんのう町)は1日平均で29人ですから、仮に通年営業化で乗り降りが1日あたり12人以上増えるのなら、通年営業の駅と同じレベルになります。

通年営業化の可能性は?

 しかし、記者の推測ですが、津島ノ宮駅を通年営業の駅にするのは非常に難しいと思われます。駅のホームがカーブの外側にあるためです。

 鉄道のカーブは、外側のレールが内側のレールより高くなっていて、列車の車体が内側に傾くようにされています。カーブを走ると外側に引っ張られる力(遠心力)が働くため、内側に車体を傾けることで遠心力を弱めているのです。

 そのため、カーブの部分では車体の外側が高くなります。しかも津島ノ宮駅はカーブの外側に床の低いホームを設けているため、車両のドアとホームとの高低差が非常に大きくなってしまうのです。特に小さな子どもは、大人の助けを借りないと乗り降りも難しいでしょう。そのため、年に2日の営業日にはJR四国の社員が大勢やってきて、客の乗り降りを手助けしています。

 津島ノ宮駅を通年営業の駅にするためには、常に駅員がいる有人駅にするか、ホームをかさ上げしたりカーブを緩めたりする改良工事が必要です。いずれも人件費や工事費で膨大な費用がかかり、採算を取るのはかなり難しいといえます。

 人件費や工事費に見合うだけの利用者の増加があれば良いのですが、駅の周辺はマイカー移動が中心の典型的なクルマ社会。詫間駅などを結ぶコミュニティバスの停留所が津島ノ宮駅の近くにあり、公共交通の便も確保されています。こうしたなかで通年営業化しても、利用者はそれほど増えないでしょう。

 駅の脇で通過する列車を撮影していると、近くに住んでいるという70歳代の女性に声を掛けられました。「日本一の駅で有名だし、観光のこと考えたら、いまのままがいいのかもね」と笑いながら話し、交通の便で困っている様子は見られませんでした。

【地図】「日本一営業日が短い駅」はここにある

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