北朝鮮の瀬取りのみならず 日本周辺に各国軍集結のワケ イギリス、フランス…

北朝鮮の瀬取りのみならず 日本周辺に各国軍集結のワケ イギリス、フランス…

2019年3月14日と15日に米英海軍との共同訓練に臨んだ、海上自衛隊の護衛艦「むらさめ」(画像:海上自衛隊)。

北朝鮮の瀬取り監視には数か国が艦艇や哨戒機を派遣していますが、どういった国々が顔を揃えているのでしょうか。各国の思惑としては、やはり中国へのけん制も見据えていると考えられます。

西太平洋で日米英が共同演習を実施、その背景に…

 2019年3月14日(木)から15日(金)にかけ、日本の本州南方に広がる海域で、日米英による3か国共同演習が実施されました。海上自衛隊からは護衛艦「むらさめ」と哨戒機の「P-1」に加え、艦名は不詳ながら潜水艦が参加、一方、イギリス海軍からはフリゲート艦「モントローズ」が、アメリカ海軍からは哨戒機「P-8A」がそれぞれ参加しています。このような日米英共同演習は、昨年2018年の12月に初めて実施されて以来、2回目です。

 今回の演習に参加した艦艇のうち、イギリス海軍の「モントローズ」は、東シナ海などの海上における北朝鮮による違法な物資のやり取り、いわゆる「瀬取り」を監視するために、はるばるイギリス本土から派遣されました。近年イギリスは、アジアを含めたグローバルなプレゼンス(存在感)強化を推進していて、これもその一環といえるでしょう。

「モントローズ」と同様に最近、日本周辺海域には瀬取り監視を目的とした各国の艦艇や航空機が派遣されていますが、どういった面々が集結しているのでしょうか。

日本を拠点に各国軍が集結、どんな面々?

 2019年3月現在、日本周辺には前述したイギリス海軍の「モントローズ」に加え、フランス海軍の哨戒機「ファルコン200」が、瀬取り監視を目的に展開しています。

 前者の「モントローズ」は3月8日(金)に日本へ到着し、翌9日(土)と10日(日)には晴海ふ頭で一般公開も行われました。「モントローズ」はヘリコプターも搭載しているため、瀬取り監視には非常に有効といえます。

 一方、後者の「ファルコン200」は、もともと南太平洋にあるフランス領ニューカレドニアに展開している部隊の機体で、3月13日(水)に沖縄県のアメリカ軍嘉手納基地へ到着しました。この「ファルコン200」のベースはビジネスジェット機で、全長は約17mと、同じ哨戒機とはいえ海上自衛隊のP-3C(全長35.6m)やP-1(全長38m)などに比べ非常にコンパクトです。

 さらに、フランス海軍は2019年の春ごろにも、「ファルコン200」と同様、ニューカレドニアに配備されているフリゲート艦「ヴァンデミエール」を日本に派遣し、瀬取り監視の任務に就かせることをすでに発表しています。

 そのほか、2018年にはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドも嘉手納基地に哨戒機を派遣して瀬取り監視を実施しており、特にカナダはフリゲート艦「カルガリー」を派遣して洋上からも監視しました。

 また、日本周辺海域では海上自衛隊とアメリカ海軍の艦艇や航空機が日常的にパトロールを行っているため、これらも瀬取り監視活動を並行して実施しているといえるでしょう。

 このように近年、北朝鮮の瀬取り監視などを背景とし、各国の軍が日本の周辺で活動を活発化させているのですが、あわせて、北朝鮮の動向だけにとらわれないような幅広い範囲で、各国が日本やアメリカと連携を強めつつあります。

その先にあるのはやはり中国?

 たとえば、2016年10月に海上自衛隊、アメリカ海軍、イギリス海軍のトップが初めて一堂に会し、「日米英海軍種参謀長級会談」が開かれ、3か国間での連携をさらに強化することが合意されました。前述した日米英共同演習は、まさにこの合意に基づいて実施されたものといえます。

 また、フランスは2019年1月に実施された日本の外務、防衛大臣との会談(2+2)において、フランス軍と自衛隊がインド太平洋地域で共同訓練を実践的かつ定期的に進めていくことで合意し、早速2019年にはフランスの原子力空母「シャルル・ド・ゴール」と海上自衛隊の艦艇による共同演習が決定ています。

 さらに、オーストラリアは2018年11月に開かれた日豪首脳会談で、日本との関係を「特別な戦略的パートナーシップ」と位置付け、引き続き安全保障面での連携強化を確認しました。

 加えてオーストラリアは、アメリカとの連携強化も進めています。その最もわかりやすい具体例は、西太平洋からインド洋までの幅広い地域を担当するアメリカ太平洋陸軍の副司令官に、2013(平成25)年以来、オーストラリア陸軍の将校が就いていることです。アメリカ人以外の軍人がこの地位に就くのはそれ以前になく、両国の緊密な協力関係を象徴しているといえます。

 こうした日米プラスアルファの連携は、前述したように北朝鮮への圧力強化という背景もありますが、それ以外にも南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中国をけん制するという目的があると考えられます。インド太平洋地域は世界各国の経済にとって重要な海上輸送路であるほか、その巨大な人口は世界経済にとっての有望な市場です。つまり、この地域での自由な移動が制限されたり、あるいは紛争が発生したりすれば、世界経済への影響は計り知れません。そのため、各国は連携してインド太平洋地域での安全保障協力を強化し、前述した瀬取り監視を目的のひとつとして、プレゼンスを示すようになってきているのです。

 このように日米を中心として各国間の連携が行われている現実は、世界的に見てもこの地域の安全保障面における日本の重要性が、これまでにも増して高まっていることを如実に表しているといえるでしょう。

【写真】アメリカ海軍哨戒機から眺めた対潜訓練中の護衛艦「むらさめ」

関連記事(外部サイト)