高速バス、2019年春の新路線【西日本編】 廃止路線も復活、背景に何が?

高速バス、2019年春の新路線【西日本編】 廃止路線も復活、背景に何が?

高山の町並みと「VIPライナー」の車両イメージ。こうした外国人に人気の地域に、新路線が相次いで開設される(画像:平成エンタープライズ)

2019年春、高速バスの新路線が数多く誕生します。九州では、かつて廃止された路線が相次いで復活。高山や阿蘇などで、外国人観光客の増加を背景に高速バスの需要が高まっています。

「夜行だけ」だったバス会社が初の昼行便、行先は?

 2019年春、全国で高速バスの新路線が誕生。今回は西日本(愛知県、岐阜県含む)で3月から4月にかけて新設されるおもな路線を、運行開始済みのものも含めて紹介します。

「VIPライナー」名古屋〜高山便

・運行会社:平成エンタープライズ
・運行開始日:2019年3月1日(金)
・区間:名古屋地区(金山正木、金山駅北口、名古屋VIPラウンジ)〜郡上八幡城下町プラザ〜高山
・便数:1往復
・所要時間:3時間35分〜3時間40分
・大人片道運賃:2000〜2200円(日によって異なる)

 関東から中部、関西にかけて運行されている平成エンタープライズの「VIPライナー」で初となる昼行便。朝の名古屋発と夕方の高山発、各1便の運行です。

 同路線は名鉄バスとジェイアール東海バス、濃飛バス(濃飛乗合自動車)が運行する名古屋〜郡上八幡・高山線「ひだ高山号」とほぼ並行。岐阜県の山間部に位置する郡上八幡や高山といった都市は、古い街並みなどが残り、インバウンド(訪日観光客)にも人気の観光地。名鉄バス側も2018年12月から2019年3月末まで1日12往復を15往復まで増便するなど、高速バスの需要が高まっています。

柳川、阿蘇…九州の観光地へ新路線

 九州でも、外国人に人気の観光地へ新路線が開設されます。

福岡空港〜大牟田・荒尾線の「西鉄柳川駅」系統

・運行会社:西鉄バス大牟田
・運行開始日:2019年3月23日(土)
・区間:福岡空港〜高速基山〜西鉄柳川駅〜大牟田駅前〜西鉄大牟田営業所
・運行本数:2往復
・所要時間:約1時間(福岡空港国際線〜西鉄柳川駅)
・大人片道運賃:福岡空港〜西鉄柳川駅間1600円

 福岡空港と福岡県大牟田市、熊本県荒尾市を結ぶ路線に、西鉄柳川駅経由の新ルートが開設されます。運河に沿って古い町並みが残り、昔ながらの和船による「川下り」も楽しめる柳川市は近年、急速に観光客が増加しており、2017年には約142万人が訪問。うち2割近くを外国人観光客が占めます。

福岡・福岡空港〜阿蘇線「ASOエクスプレス」

・運行会社:西日本鉄道、九州産交バス
・運行開始日:2019年4月1日(月)
・区間:西鉄天神高速バスターミナル(BT)〜博多BT〜福岡空港国際線〜高速基山〜阿蘇地区(主要ホテルや阿蘇駅前、内牧温泉など)
・運行本数:3往復
・所要時間:約2時間35分(福岡空港国際線〜阿蘇駅前)
・大人片道運賃:3300円(WEB割2980)

 福岡市中心部や福岡空港と、阿蘇地区を直通する新路線。増加するインバウンド需要への対応が背景にあります。九州産交バスではさらに同日、熊本〜阿蘇線1往復も新設。これにより熊本市街と阿蘇のあいだで運行されるバスは12往復になるほか、豊肥本線の阿蘇駅と阿蘇山ロープウェーの阿蘇山西駅を結ぶ「阿蘇火口線」も1往復増便し7往復に。福岡と阿蘇、熊本と阿蘇といった広域の移動手段、阿蘇地区内の移動手段ともに強化されます。

熊本発着の廃止路線が相次ぎ復活

 熊本市街から西へ南へ、いちど廃止された路線が復活します。

熊本〜佐世保・ハウステンボス線「さいかい号」

・運行会社:九州産交バス
・運行開始日:2019年4月1日(月)
・区間:熊本交通センター〜佐世保バスセンター〜ハウステンボス
・運行本数:1往復
・所要時間:約3時間50分(熊本交通センター〜ハウステンボス)
・大人片道運賃:3700円

 2014年まで九州産交バスと西肥バス(西肥自動車)が共同運行していたものの、利用者の低迷から廃止された路線。ハウステンボスの入場者数が、2017年度には年間およそ288万人となるなど増加傾向にあることから、九州産交バスの単独運行として復活します。

熊本〜人吉線「ひとよし号」

・運行会社:産交バス
・運行開始日:2019年4月1日(月)
・区間:熊本交通センター〜人吉産交(産交バス人吉営業所)
・運行本数:1往復
・所要時間:約1時間30分
・大人片道運賃:2180円

 この路線も産交バスが2014年まで運行していましたが、利用者の低迷から廃止されました。産交バスによると、2019年9月に熊本の中心市街地へ日本最大級のバスターミナルを有する複合施設ができ、熊本市街のさらなる賑わいが期待されているなかで、人吉地区から熊本市内へのアクセスを向上させる目的で復活させるとのこと。おもに通勤、通学需要を見込んでいるそうです。

 なお復活にあたり、スマートフォンを活用した電子定期券や回数券の導入、人吉産交バス停にマイカーとバスを乗り継ぐための駐車場を設けるなど、利用環境も向上させるとしています。

既存路線の延長も

 既存の運行区間を拡大し、空港や遊園地へ乗り入れる動きもあります。

福岡発着路線の福岡空港乗り入れ拡大

 西鉄などが運行する福岡発着の路線で、4月1日(月)から、福岡空港への乗り入れが拡大します。対象路線は次のとおりです。

・福岡〜延岡線「ごかせ号」(西日本鉄道、宮崎交通)
・福岡〜下関線「ふくふく号」(西日本鉄道、サンデン交通)

「ごかせ号」は4往復すべてが、途中で福岡空港国際線を経由。「ふくふく号」は一部の便が、これまでの起終点である西鉄天神BTから、博多BTを経由し福岡空港国際線まで延長運行します。

倉敷・岡山〜横浜・東京線の東京ディズニーランド乗り入れ

 中国ジェイアールバスが運行する倉敷・岡山〜横浜・東京線「京浜吉備ドリーム号」はこれまで東京側の起終点が新木場駅(東京都江東区)でしたが、4月19日(金)より路線を延伸し、東京ディズニーランドが起終点に。新木場駅は経由しなくなります。

 このように、西日本ではインバウンド需要を背景に路線の新設や、移動手段の強化といった動きが見られます。外国人の旅行形態が近年、団体旅行から、自身でバスや電車を乗り継いでいく個人旅行(FIT)へと変化しており、大都市から乗り換えなしで観光地などへ行ける高速バスの利用が高まっているのです。今後もインバウンド需要が増大し、高速バスのさらなる路線拡大につながるか、注目です。

※一部修正しました(3月25日11時30分)。

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