知られざる都会の貨物線「新金線」 総武と常磐を直結、たま〜に走る旅客列車に乗る

知られざる都会の貨物線「新金線」 総武と常磐を直結、たま〜に走る旅客列車に乗る

通常は貨物列車しか走っていない新金線。写真は水戸街道(国道6号)との踏切(2019年3月21日、草町義和撮影)。

東京から千葉へ延びる総武本線と、茨城へ延びる常磐線。方角違いでつながっていないように思えますが、実は「新金線」という総武本線の支線が常磐線に接続。毎日走るのは貨物列車だけなものの、旅客列車を毎日走らせる構想もあります。

「路線図にはない線路」へ進入!

 総武本線の両国駅(東京都墨田区)から品川駅行きの団体列車に2019年3月21日(木・祝)、乗車しました。列車はいったん、品川とは反対方向の津田沼駅(千葉県習志野市)まで走って折り返し、新小岩駅の東側にある新小岩信号場(東京都葛飾区)で停車。ここから常磐線の金町駅(同)に向かいます。

 しかし、駅などに掲出されている路線図を見る限り、総武本線と常磐線を結ぶ鉄道路線は存在しません。列車は進行方向を変えて新小岩信号場を発車。左にカーブして総武本線の線路から離れ、路線図には存在しない単線の線路へと入っていきました。

 窓の外は背の低い民家に囲まれていて、ときおり畑も見えます。脇には線路をもう1本敷けるだけのスペースがほぼずっと続いており、簡単に複線化(線路を2本にすること)できそうです。

 列車は最初のうち、築堤の上を走っていましたが、すぐに周囲の道路と同じ高さになり、多数の踏切と交差。遮断機の前で列車が通り過ぎるのを待っていた人の多くは、何か珍しいものを見たかのような驚いた表情で、列車のほうを見ていました。

 そうこうするうち、列車は右カーブして常磐線の線路に合流。新小岩信号場を発車して10分ほどで、金町駅の構内に入りました。

 この単線の線路は、「新金線(しんきんせん)」と呼ばれる総武本線の貨物支線です。形式上は総武本線の小岩〜新小岩信号場〜金町間の8.9kmを結んでいますが、小岩〜新小岩信号場間2.3kmは総武本線に並行しており、実質的には新小岩信号場〜金町間の6.6kmを結んでいます。いまから90年以上前の1926(大正15)年7月1日に開業しました。

旅客列車を毎日走らせる構想もあるが…

 かつて総武本線は両国橋駅(現在の両国駅)をターミナルとし、東の千葉方面へ列車が発着。西の東京都心側には幅の広い隅田川があり、膨大な費用をかけて鉄道橋を建設しないと都心に入れない状態でした。旅客は道路橋(両国橋)を走る路面電車に乗り継げば都心にアクセスできましたが、貨物は船や荷馬車に積み替える必要があり、手間と時間がかかります。

 そこで、総武本線と常磐線をつなぐ新金線が建設され、貨物列車を千葉方面から常磐線経由で都心に直通できるようにしました。両国駅から隅田川を渡って都心に乗り入れる区間は1932(昭和7)年に開業しましたが、この区間は勾配がきつく、重い貨物列車は走れないため、引き続き新金線経由で貨物列車は運転されています。

 新金線は戦後、1964(昭和39)年に電化されましたが、トラック輸送の発達や、武蔵野線と京葉線を使うルートの整備により、いまは1日数往復の貨物列車が走るだけ。旅客列車は運転されておらず、通常は新金線の車窓を楽しむことはできません。

 しかし、年に何回かは旅客の臨時団体列車が走行。特に近年は「普段見ることができない新金線の車窓」をウリにしたツアー列車が運転されています。今回乗車した列車も、TBSラジオと「乗りものニュース」が企画した、関東の貨物線を巡るお座敷列車ツアーでした。踏切待ちの人が驚いた表情だったのも、普段は見られない旅客列車だったためかもしれません。

 実は新金線には、本格的に旅客列車を走らせる構想があり、葛飾区が調査しています。仮に実現すれば運行本数が大幅に増えて、複線化用のスペースも活用することになるでしょう。

 ただ新金線は踏切が多く、水戸街道(国道6号)という主要道路も存在。現状のまま列車の本数を増やせば、踏切待ちの渋滞が問題になりそうです。こうした課題を解決して本格的な旅客線として活用できるようになるのか、今後の動きが注目されます。

【地図】どこを通っている? 新金線のルート

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