「商業施設渋滞」なくせるのか 施設側はどう対策? 影響は広域に

「商業施設渋滞」なくせるのか 施設側はどう対策? 影響は広域に

大型商業施設周辺で発生している渋滞のイメージ(佐藤 勝撮影)。

大規模な商業施設の周辺では、店に出入りするクルマの影響でしばしば渋滞が発生。どのような対策がとられているのでしょうか。影響が広域に及んでいることから、国は店側に厳格な対応を求めていく構えです。

大型商業施設の出店加速、懸念される影響

 右折または左折車線がやけに渋滞していて、直進してみると、ショッピングセンターへの入場を待つ車列だった、といったケースに遭遇したことがあるかもしれません。こうした大型商業施設に出入りするクルマが、周辺のクルマの流れに影響を及ぼしている光景が、しばしば見受けられます。

 国土交通省によると、このような大型商業施設の立地に起因する渋滞は、全国の主要渋滞ポイントの約1割を占める約1200か所(2017年3月時点)で発生しているとのこと。加えて、2010(平成22)年からの5年間で、幹線道路沿いの大規模小売店が約5割増加しており、さらなる影響が懸念されるとしています。

 施設側も、こうした渋滞に無対策でいるわけではありません。国土交通省 道路経済調査室によると、「事業者が行っているのは、おもに施設内の対策です。駐車場の入出場ゲートに起因する渋滞を解消するため無料開放したり、ゲートに通じる施設内の車路を延長したり(入出場の車列をそこへ収容する)しています」とのこと。

 横浜市の幹線道路「環状2号線(環2)」を挟んで南北に立地するショッピングモール「トレッサ横浜」(横浜市港北区)では、2700台の駐車場(土日などは臨時駐車場450台も開設)を終日無料に。建物への出入り口を多くして来場者を分散させつつ、敷地内には全長4kmに及ぶ「スカイウェイ」(高架の車路)を建設し、3つの駐車エリアへどの出入口からでもアクセス可能にして、クルマを分散。また、この「スカイウェイ」内にクルマを多く収容できるようにすることで、渋滞をできるだけ敷地外に出さないようにしているそうです。

 トレッサ横浜を運営するトヨタオートモールクリエイトによると、「これらの多くは開設時からの渋滞対策ですが、その後に行ったもので大きな効果があった対策としては、駐車マスごとに空き状況を表示したことです。空いているマスを容易に探せるようになり、入場待ち渋滞を減らすことにつながりました」と話します。

広域に及ぶ影響、誰が対策するのか

 こうした施設側の渋滞対策にもかかわらず、周辺道路が混雑することもあります。トレッサ横浜では、周辺道路の状況に応じて5か所ある駐車場出入口を部分的に閉鎖し、混雑箇所への集中を防いでいるとのこと。しかし、なかには周辺の道路そのものを改良する必要が生じるケースもあります。

 国土交通省 道路経済調査室は、「入店待ちの車列をさばくため、道路側の右折あるいは左折レーンを増設したり、長くしたりするケースが挙げられるでしょう。それを道路管理者が判断して行う場合もあれば、施設側と協議し連携して行う場合もあります」と話します。

 同省の資料では、大型商業施設の立地により、そこから5km四方のエリアで平均速度が5.3%低下したり、施設から半径500m以内の交通事故件数が2倍以上に増加した例なども挙げています。国がいま検討を進めているのは、こうした広域な影響について、施設の事業者に対策を求める仕組みづくりだそうです。

 施設側と道路管理者や行政が連携して、周辺道路の改良を行うケースはあるものの、既存の制度では、事業者に対し施設規模に応じた駐車台数の確保などを規定する程度に留まっているとのこと。施設の開業後に生じる広域的な渋滞対策を、事業者に対して要請する仕組みにはなっていないことから、国土交通省の資料では「多くの場合、道路管理者が事後に道路のハード対策を講じているのが現状」としています。

「大型商業施設の立地により発生する渋滞を、計画段階から予測し、開業後のモニタリングも強化したうえで、必要なコスト負担を明確にする仕組みを作ろうとしています」(国土交通省 道路経済調査室)

 対策を講ずべき影響範囲は、施設から4〜5kmが目安とのこと。現在、関係法令の改正など具体的な制度改変に向け、検討を進めているそうです。

【図】施設周辺で速度低下、渋滞悪化の例も

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