飛行機ファンが目指す「死の谷」とは 聖地「デスバレー」の行きかたと撮影ポイント

飛行機ファンが目指す「死の谷」とは 聖地「デスバレー」の行きかたと撮影ポイント

アメリカのデスバレー国立公園は、その過酷な自然環境で広く知られますが、飛行中の軍用機を地上にいながら眼下に見下ろせるポイントがあり、世界中のファンが撮影に集う場所でもあります。実際に行く場合の行程例と注意点をまとめました。

アメリカのデスバレー国立公園は、その過酷な自然環境で広く知られますが、飛行中の軍用機を地上にいながら眼下に見下ろせるポイントがあり、世界中のファンが撮影に集う場所でもあります。実際に行く場合の行程例と注意点をまとめました。

世界中の飛行機ファンが集う灼熱の荒野

 アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるデスバレー国立公園。モハベ砂漠の北に位置する乾燥した土地で、1913(大正2)年には世界最高気温 摂氏56.7度を記録した場所です。年間降水量は50mm程度で、非常に硬い大地は水がほとんど浸透せず、まとまった雨が降った際には鉄砲水を含む洪水被害が発生する場所でもあります。

 このデスバレーの一角に、「ファーザー・クロウリー・オーバールック(Father Crowley Overlook)」と呼ばれる場所があります。通称では「レインボーキャニオン」や「スターウォーズキャニオン」などと呼ばれていますが、この場所こそが、世界中の飛行機ファンを引き付ける戦闘機撮影ポイントなのです。

 このデスバレーはアメリカ軍の訓練空域と重なっています。そのため、近隣のエドワーズ空軍基地などから訓練のために飛び立った戦闘機などが、途中にあるこの谷に立ち寄る時に、間近を通過していく姿を見ることができるというわけです。

 この撮影ポイントへは、ロサンゼルスから車で約3時間、ラスベガスからは約4時間の距離です。その途中にもいくつかの小さな町がありますが、行程のほとんどはひたすら何もない荒野です。

 それでは、デスバレーに行って撮影するにはどういったプランが良いのか。具体例を挙げながらいくつかご紹介しましょう。

プラン1、強行日帰り行程

「デスバレーで撮影したい! だけど時間があまりない」という人は、強行日程ではありますが、日帰りコースをご案内します。

 デスバレーに近いもっとも大きな街はロサンゼルスです。ここからレンタカーを借りて出発したとします。北に伸びるルート5を北上すると、ロサンゼルスの外れで14号線とぶつかります。ここから北東に向けて進路を取ります。その後、395号線、178号線を経て北上を続けると東西に走る190号線に到着します。そこはすでにデスバレー国立公園内で、ここの190号線を西に向かうと山を登り始め、やがて前述の撮影ポイント「ファーザー・クロウリー・オーバールック」に到着します。ここまで約3時間です。アメリカ軍の訓練の内容にもよりますが、昼前から谷を通る戦闘機などの姿を見ることができるので、できれば夜明け前にロサンゼルスを出発したほうが良いでしょう。

 日によっては、昼前から昼過ぎまでに3から5機くらいが谷を通過していきますが、これも訓練内容によって変化するため、せっかく行ったのに1機も飛んでこないこともあれば、1時間に数機が飛んでくる場合もあるそうです。

 日帰りコースでの注意事項は「せっかく来たから」と長居することです。実は、このデスバレー周辺の道路に街灯はありません。車の交通量も少ないのですが、それゆえに事故を起こしてしまった場合、携帯の電波も通じない暗闇に包まれた砂漠のど真んなかで、まったく身動きが取れなくなる可能性があります。そのため日帰りコースの場合には、15時前には帰路についたほうが良いでしょう。日が沈むと、身の危険を感じるほど暗くなる場所でもあるのです。

プラン2、ちょっと余裕がある場合

 実はデスバレーの撮影ポイントから車で15分ほどの距離に、「パナミント・スプリングス・リゾート」という場所があります。まさに砂漠のオアシスのような場所で、ここにはレストランと売店、そして宿泊施設があります。

 もし時間に余裕があれば、この「パナミント・スプリングス・リゾート」を拠点に撮影をしても良いでしょう。簡易的な常設テントから、しっかりとした個室まで用意されており、ここに宿泊するのであれば、日没近くまで撮影することができるほか、18時くらいまで戦闘機が飛ぶ音を聞くことができます。数日滞在できれば、「まったく撮影できなかった」ということもないでしょう。筆者(武若雅哉:軍事フォトライター)が訪れた日の数日前には、すでに退役したとされるステルス戦闘機F-117の飛行目撃情報などもありましたので、場合によってはレアな戦闘機などを見ることができるかもしれません。

 また、キャンプ好きな人には、断然テント泊をオススメします。なぜならば、周囲に大きな街が無いため、夜には満天の星空を眺めることができるほか、テントサイトの脇ではたき火が可能で、食材を持ち込めばバーベキューをすることもできます。何もさえぎるものがない夜空を眺めながらの食事は、その日の疲れを優しく癒してくれることでしょう。

「パナミント・スプリングス・リゾート」はデスバレー国立公園を東西に走る経路上にあるため、昔から旅行者の休憩場所として使われてきたそうです。そのため、飛行機を見る目的外の利用者も多くいますが、そういったほかの旅行者との情報交換交流も面白いかもしれません。

デスバレーに行く上での注意事項

 デスバレーは非常に乾燥した土地です。草木もほとんどなく、湧き水もありません。湿度は日本と比較して非常に低く、湿度10%台のときもあるといいます。地元の人によると「観光客の中で最も多いトラブルは脱水です。水は1日2リットル程度、飲む必要があります」と答えてくれました。実際に筆者が訪れた感想としては、汗をかかないので自覚症状は無かったのですが、肌がパリパリに乾燥したため、気が付かないうちに脱水症状になっていたのだと実感しました。

 また、ガソリンスタンドも日本のようにどこにでもあるわけではないので、燃料タンクが半分になったら給油するように心がけます。そうしないと、何もない荒野の真んなかで立ち往生する可能性もあります。先ほども述べましたが、多くの場所で携帯電話は通じませんので、交通量の少ない道でクルマが通るのを待つことになりかねません。

 もしパンクしても、日本のようにJAFを呼ぶこともできません。そのため、スペアタイヤは必須ですし、タイヤ交換にも慣れておかないと困ったことになるかもしれません。

 移動距離が長く、何も無い一本道をひたすら進んだ先にある「デスバレー」ですが、日本では見ることができない戦闘機の谷抜け撮影もさることながら、それ以外にもスケールの大きい土地ならではの地形の変化なども楽しむことができるため、飛行機ファン以外にもオススメな観光スポットでもあります。

【動画】デスバレー名物、眼下に眺めるアメリカ軍機の低空飛行

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