リニア新幹線の模擬授業「リニア・鉄道館」で体験 学校の先生が「子ども」になりきる

リニア新幹線の模擬授業「リニア・鉄道館」で体験 学校の先生が「子ども」になりきる

「リニア・鉄道館」で行われた模擬授業(2019年4月6日、草町義和撮影)。

JR東海の「リニア・鉄道館」が学校教育用の鉄道教材を拡充。教材を無料で印刷して送るサービスも始めました。この教材をどのように活用して子どもたちに教えるのか、リニア中央新幹線をテーマにした模擬授業を取材しました。

教材の活用方法を学ぶ

 JR東海の鉄道博物館「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)が2019年4月6日(土)夜、リニア中央新幹線を題材にした「模擬授業」を開催。その模様を報道陣に公開しました。

 これは同館が提供している学校教育用教材の普及策の一環。教育研究団体「TOSS」代表代行の谷 和樹さん(玉川大学教職大学院教授)が先生役です。

 題材は「リニア中央新幹線」。金属などを冷却すると電気抵抗がゼロになる「超電導現象」と、この現象を用いた電磁石がリニア中央新幹線に導入される理由などを勉強。谷さんは、教材に描かれたリニア車両と東海道・山陽新幹線の車両(N700A)を示しながら、「このふたつを見比べて分かったことを書いてください。3つ以上書けた人は持ってきてごらん」と、小中学生の子どもに接するようにして参加者へ話しかけていました。

 しかし、見比べて分かったことを紙に書き出している参加者は、子どもではなく、各地の小中学校に勤務する教員です。模擬授業を通して教材の使い方を学び、それを参加者が勤務する学校の授業で生かしてもらおうというわけです。

 参加者は小中学生になりきって授業を受けていましたが、なかには「(新幹線の整備による所要時間の短縮で)遠方の飲み会に夜遅くまで参加できるようになりました」と回答した人も。「これ、小学生の授業だからね」と谷さんに突っ込まれ、参加者の笑いを誘っていました。

教材の制作に必要なポイントは

 リニア・鉄道館は、新幹線の技術や歴史などを多くの人に知ってもらえるよう、新幹線を題材にした学校教育用の教材データを同館のウェブサイトで公開。TOSSに参加する教育関係者が制作したもので、誰でもダウンロードできます。

 これまで公開してきた教材は、小学生向けのものが中心でしたが、2019年4月1日(月)に公開した教材3点のうち「リニア中央新幹線が果たす役割」は、小学生(中・高学年)向けと中学生向けを提供。「超電導リニアのひみつ」と「リニア中央新幹線から学ぶ環境保全」は、中学生向けのみ提供しています。

 谷さんは「リニア新幹線は中学生向きの素材なんですね。超電導というのは小学生には分かりにくい。電磁石は小学校の高学年で登場しますが、電気抵抗と言われてもハードルが高すぎる」とし、新たに公開した教材は中学生向けを中心に制作したと話しました。

 また、教材は「できるだけビジュアルにしたい」「文字だけのページは作らないようにしたい」「1ページのなかに入れる情報の量を絞りたい」の3点を意識して制作しているといいます。

「企業側はたくさんの情報をユーザーに知ってほしいと考えますが、(授業という)限られた時間のなかで情報を詰め込みすぎると、子どもたちはそれだけで嫌になってしまう。パッと見たときに、若干すっきり目の紙面がいいのです。情報をどの程度盛り込むか、JR東海と何度も議論しました」(谷さん)

 リニア・鉄道館は、教材の拡充とあわせて「鉄道教材発送サービス」も開始。同館ウェブサイトの専用ページに必要事項を記入して申し込むと、生徒用300部と指導用10部を上限に、印刷された教材が無料で送られてきます。JR東海はこうした取り組みにより、同館で公開している教材が学校教育の場で活用されるようにすることを目指しています。

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