日本にUFO襲来、現行法で空自どう対応? 米海軍は目撃マニュアル作成へ

日本にUFO襲来、現行法で空自どう対応? 米海軍は目撃マニュアル作成へ

UFO(Unidentified Flying Object)は「未確認飛行物体」と訳されるが「宇宙人の乗りもの」の意で使われることも多い。画像はイメージ(画像:Andrea Crisante/123RF)。

飛来する正体不明機は言葉の定義上すべて「UFO」と呼称して差し支えないのですが、これが見るからに地球外から飛来したもので、そして敵対行動をとってきた場合、航空自衛隊はどのように対処するのでしょうか。現行法に則って見ていきます。

米海軍、ついにUFO目撃マニュアル作成へ

「UFO」と聞くと、合成やCGを使ったフェイク動画をはじめ「非現実的」という印象を覚える人も多いかと思います。しかし、そんな印象を吹き飛ばすようなニュースが飛び込んできました。2019年4月24日(水)、なんとアメリカ海軍が「パイロットがUFOを目撃した際の報告手順」を策定しているというのです。アメリカ海軍によれば近年、軍の管理する空域でUFOの目撃情報が相次いだため、これを「安全保障上の深刻な脅威」として関連するデータなどを収集することにしたとのことです。

 また、2017年にはアメリカ国防総省が、「公式UFO動画」を公開したことも話題になりました。この動画が撮影されたのは2004(平成16)年、当時カリフォルニア州サンディエゴ沖の太平洋上で活動中だった、アメリカ海軍の原子力空母「ニミッツ」を護衛していた艦艇が、レーダーで不審な機影をとらえます。これを受け、「ニミッツ」から発進した2機のF/A-18F「スーパーホーネット」戦闘攻撃機が確認に向かったところ、通常の航空機とは全く異なる外観の正体不明機を確認し、これを撮影したものでした。映像には、この正体不明機がゆっくりと回転する様子まで克明に記録されていました。

 さらに驚くべきことに、アメリカ国防総省は2007(平成19)年から2012(平成24)年にかけて、こうしたUFOについて調査する「AATIP(Advanced Aerospace Threat Identification Program、先進航空脅威識別プログラム)」を立ち上げ、5年間でおよそ2200万ドル(2006年当時の年間平均レートでおよそ25億円)もの予算をつけていたことも同時に明らかになりました。

 このように、UFOの存在がにわかに現実味を帯びてくるようになると、気になるのは「もし日本にUFOが現れたら自衛隊はなにができるのだろう」ということですが、これについて少しまじめに検討してみましょう。

UFOに対してスクランブル?

 UFOが日本に襲来した場合、まずUFOは日本の領空に接近する「未確認機」という扱いになり、航空自衛隊の戦闘機による緊急発進(スクランブル)が行われます。通常のように相手が他国機であれば、そこで機種や国籍の確認が行われますが、UFOの場合には当然、その正体は判然としません。対応にあたる自衛隊機は、とりあえずUFOの動向を監視しつつ無線により日本の領空へと接近していることを警告しますが、その甲斐なくUFOはそのまま飛行を続けて日本の領空を侵犯します。

 これ以降、当該自衛隊機の行動は自衛隊法第84条に基づく「対領空侵犯措置」へと切り替わるのですが、ここで「領空侵犯」という言葉とこれに対する航空自衛隊の活動について若干補足します。

 最近、尖閣諸島をめぐるニュースなどで、領空侵犯と似た言葉として「領海侵入」という言葉をよく耳にするかと思いますが、実は両者には大きな違いがあります。そもそも「領海」は、単純に他国の船が入って航行するだけならば何の国際違法行為にもあたりません。これは、領海にはその航行が沿岸国にとって無害ならば領海内を通航することができるという「無害通航権」が存在するためです。

 対して「領空」の場合、領海のような無害通航権が認められておらず、その飛行には領域国の同意が必要とされているため、同意なく領空に入っただけで国際違法行為に該当するのです。そのため、領海の場合は「侵入」で、領空の場合は「侵犯」というように、用語が区別されています。

 そして、こうした領空侵犯に対して航空自衛隊の戦闘機が対応することは先に述べた通りですが、実はこれは警察や海上保安庁と同様の、れっきとした警察活動(専門的には「公共の秩序の維持」という)にあたります。というのも、空には「航空警察」が存在しない代わりに、日本を含めた多くの国では航空自衛隊や空軍がその秩序の維持にあたっているからです。つまり、基本的には警察や海上保安庁に公共の秩序の維持を任せている陸/海上自衛隊と違い、航空自衛隊は常日頃から空の治安を維持する活動を実施しているのです。

UFOから攻撃! 空自戦闘機はどうする?

 本題に戻りましょう。領空を侵犯するUFOに対し、自衛隊機は領空外への退去や近隣の自衛隊基地への着陸を繰り返し指示します。しかし、UFOはこれに従う素振りを見せません。そこで、自衛隊機は機関砲による警告射撃を実施し、UFOをなんとか指示に従わせようとします。

 ここで、UFOがついに反応を見せます。先ほどの警告射撃を受けてか、なんと自衛隊機に対してレーザーを発射し攻撃してきたのです。これをとっさに回避した自衛隊機も、すかさず反撃に出ます。

 領空侵犯機が実力をもって抵抗したり、あるいは国民の生命や財産に対して大きな侵害が加えられる危険が間近に緊迫していたりする場合には、自衛隊機も武器を使用することが許可されています。くだんのUFOも、明確に「実力をもって抵抗」しているため、自衛隊機はUFOに対してロックオン、空対空ミサイルを発射してUFOを撃墜しました。ただし、これはあくまでも想定であって、実際にUFOが現れた場合には、機体をロックオンすることすらままならないかもしれません。

 さらに、UFOが大挙して襲来し、地上に甚大な被害を与えたような場合には、対領空侵犯措置を実施するまでもなく、これを日本に対する武力攻撃(武力行使の最も重大な形態)とみなして自衛隊法第76条に規定される「防衛出動」が下令されます。陸海空自衛隊が反撃するあいだに、日米安保条約によりアメリカ軍もこの戦列に加わることになるでしょう。

 ここではUFOを例にとって、おもに自衛隊の対領空侵犯措置について見てきましたが、上記の行動はなにもUFOのみに対してとられるものではありません。もしどこかの国の軍用機が日本の領空を侵犯してきた場合、航空自衛隊はこれと同様の措置をとることになるのです。

【写真】2019年4月15日撮影、航空自衛隊の「確認済」飛行物体

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