第2、第3の「バスタ新宿」が全国に? 国が主導「バスタプロジェクト」進行中

第2、第3の「バスタ新宿」が全国に? 国が主導「バスタプロジェクト」進行中

「バスタ新宿」。夜間はほぼ10分おきに、複数の夜行バスが発車していく(中島洋平撮影)。

2016年、新宿駅新南口直結の交通ターミナル「バスタ新宿」が誕生しましたが、国はこのようなターミナルを全国に整備すべく「バスタプロジェクト」を推進しています。今後、全国に「バスタ〇〇」ができていくのでしょうか。

新宿の知見を活かして全国へ

 新宿駅南口に、高速バス乗降場を中心とした交通ターミナル「バスタ新宿」が2016年4月に開業して3年が経過しましたが、これに続く第2、第3の「バスタ」を整備すべく、国土交通省が「バスタプロジェクト」を推進しています。

 2019年6月18日(火)に国土交通省の審議会で用いられた資料によると、東京の品川駅西口と神戸の三宮駅付近でプロジェクトが進行しているほか、札幌、仙台、新潟、呉、大宮、長崎などでも、地域において検討が進んでいるといいます。国土交通省道路局に詳しく話を聞きました。

――「バスタプロジェクト」とは何でしょうか?

 バス利用拠点の利便性向上を図るプロジェクトの総称で、そのひとつとして、「バスタ新宿」のように鉄道、バス、タクシーなど異なる交通モード(交通機関)を集約したターミナルの戦略的な整備があります。資料に挙げた地域のうち、品川と三宮は国が関与する形で検討を進めており、品川については2019年度に事業化しました。ほかの地域は、国が事業を進めるかは決まっていないものの、それぞれの自治体において主要駅付近の再開発とともに、交通モードの集約化が検討されている事例として挙げたものです。

――「バスタ新宿」は成功例で、これを全国に広げていくということでしょうか?

 新宿の事例がひとつの契機にはなっていますが、新宿が100%成功とは思っていません。新宿駅周辺に19か所点在していた高速バス乗降場を1か所に集約したことで、鉄道との乗り継ぎの不便を解消したものの、ターミナル内のベンチやトイレが足りないといったご批判を頂戴しているのも事実です。新宿で得た知見を活かし、各地の課題解決につなげていきます。

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 なお「バスタ新宿」の名称は、国土交通省の商標として登録されているとのこと。国土交通省道路局は「わかりやすい名称」だといい、今後は他地域のターミナルにも「バスタ」の名称が使われるかもしれないと話します。

渋滞緩和にも通じる「バスタプロジェクト」

「バスタプロジェクト」を主導しているのは国土交通省のなかでも道路局、つまりバス事業を管轄する運輸部門ではなく、道路整備を担当する部門です。これについて同省道路局は、交通モードを集約して利便性を高めることが、都市部の交通量を減らすことにつながり、ひいては道路の渋滞対策に通じるといい、「インフラをつくる側から、ちょっとした工夫で社会がよくなることを発信したい」と話します

「いまや飛行機の国内線利用者数に比肩するほど多くの人が高速バスを使って移動しており、これからも高速道路が伸びれば伸びるほど、その存在感は高まっていきます。省内の審議会では、親の介護で週に2度、高速バスで遠方を行き来している事例も報告されました。高齢化などの社会課題を踏まえ、安価かつ効率的な移動を提供できる高速バスの利便性を高めていきたいと考えています」(国土交通省道路局)

「バスタプロジェクト」では、バスターミナル整備と並行して、バスのルート上における乗り継ぎ拠点の整備も推進されています。その一環として、2018年10月から2019年3月にかけ、関越道の高坂SAにおいて「高速バス乗り継ぎ社会実験」が行われました。

 この実験は、長野〜新宿間のバスと、群馬〜成田空港間(圏央道経由)のバス乗り継ぎを可能にし、東京まで出ることなく長野〜成田空港間の移動に便宜を図るというものですが、すでに九州においては、九州道の基山PAがこの拠点として機能しており、九州各地へ向かう高速バスを相互に乗り継ぐことが可能になっています。国土交通省道路局は今後、これを全国に拡大していきたいといいます。

 なお、バスターミナルの整備は国や自治体だけでなく、バス事業者が主導することもあります。全国のバスターミナルの多くは、昭和の時代に地域のバス事業者が整備したものですが、新潟(万代シテイバスセンター)や熊本(熊本交通センター)などで、そのリニューアルが進められています。

【グラフ】首都圏主要駅の「バス停点在」状況

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