ガソリンスタンド、「セルフ」「フルサービス」併設の利点は? 同じ店内で価格差も

ガソリンスタンド、「セルフ」「フルサービス」併設の利点は? 同じ店内で価格差も

セルフサービスとフルサービス双方のレーンを有する「スプリット」と呼ばれる形態のガソリンスタンド(2019年6月、乗りものニュース編集部撮影)。

ガソリンスタンドで、店員が給油などを行ってくれるフルサービスのレーンと、客が給油するセルフサービスのレーンを併設している店舗があります。フルサービスのレーンはガソリンの価格も高くなりますが、あえてこちらを選ぶ人もいます。

同じ店でレーンによりガソリン価格が違う

 ガソリンスタンドは一般的に、スタッフが給油などを行うフルサービス店よりも、客が自ら給油するセルフスタンド店のほうが、ガソリン価格は安い傾向です。ガソリン需要の減少にともないスタンドの総数が減少するなか、セルフスタンドは増加しており、2018年9月末現在で全国9988か所と、全スタンドの32.5%を占めるに至っています。

 ところが、同じ店舗のなかで、セルフサービスのレーンとフルサービスのレーンを併設した「スプリット」と呼ばれる営業形態が存在します。前出のセルフスタンド出店数は、スプリットの店舗を含むものです。同じ店でもセルフサービスとフルサービスのレーンとでガソリンの単価が異なり、東京都内のあるスプリットスタンドでは、フルサービスレーンのレギュラーガソリン価格を1Lあたり2円ほど高く設定しているといいます。

 セルフスタンドはおもに人件費を削減できるからこそ、安い価格でガソリンを提供できるわけですが、人手がかかりガソリン単価も高いフルサービスとの併存には、どのようなメリットがあるのでしょうか。セルフスタンドの出店状況を取りまとめている日本エネルギー経済研究所 石油情報センターに聞きました。

――スプリットのガソリンスタンドは、どのような目的で存在するのでしょうか?

 セルフサービスとフルサービス両方のレーンを置くことで、価格差を前提として顧客に選択肢を提供する目的が大きいでしょう。スタッフが給油や窓ふき、ゴミ捨てなどを行うフルサービスは、店側にとっての付加価値であり、セルフよりも単価を高く設定することができます。顧客はフルサービスのレーンに入ればクルマから降りずに給油してもらえますし、セルフ給油のやり方がわからない人が利用するケースもあるでしょう。セルフサービスを導入しつつも、そうした付加価値を提供し続けたい、という店がスプリットを導入しています。

「ガソリン以外」を売るうえでは合理的?

――フルサービスのためにスタッフを置けば、人件費を削減できないのではないでしょうか?

 人件費削減のメリットは当然薄まるでしょう。しかし、そもそもガソリンは利幅が小さいため、SS(サービスステーション。ガソリンスタンドのこと)は洗車やタイヤ、オイルなどガソリン以外の商品を販売していく必要があります。そうした商品は人手がないと取り扱いが難しいうえ、フルサービスのスタンドのほうが売れる傾向があるのです。

 もうひとつ、スプリットが存在する背景には、日本におけるガソリンの商習慣も関係しています。昔から営業しているSSでは特に、給油してその場で代金を受け取る現金売りではなく、法人客などを中心に、月末あるいは盆、暮れにまとめて集金するといった掛売りも行われます。つまり、なじみの顧客との信頼関係によって成り立っている部分が大きく、セルフへの移行で各種サービスを省略することが、客離れにつながるのを心配するのです。

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 先に紹介した都内のスプリットスタンド運営会社では、30ほどある店舗のうち3割でスプリットを導入、ほかは完全フルサービスの店舗だそうです。「もともとフルサービスこそが当社のミソなのですが、セルフ化という時代の流れに対応しないといけない、ということで一部店舗をスプリットにしました」といい、どちらかというとフルサービスを重視していることがうかがえます。

「フルサービスを利用されるのはトラックのお客様が多いです。『給油のためにクルマを降りるのが面倒』『車内のゴミを捨ててもらいたい』といったニーズがあります。もちろん、乗用車のお客様も2割ほどはフルサービスを利用されますよ」(都内のスプリットスタンド)

 石油情報センターによると、スプリットスタンドのみの出店数は把握していないものの、セルフスタンドの1割から2割ほどを占めるのではないかといい、特にエネオス(旧・新日本石油)や出光など、日系のブランドに多いそうです。スタンドどうしの競争が激しいからこそ、価格の安さを求める顧客と、なじみの顧客の双方に応えるスプリットを導入して、付加価値を維持する動きがあると話します。

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