筑豊は「爆破」で町おこしなるか? 『西部警察』的体験も可能なプロジェクト進行中

筑豊は「爆破」で町おこしなるか? 『西部警察』的体験も可能なプロジェクト進行中

平成筑豊鉄道 金田駅構内で行われた爆破アクションシーン撮影イベントの様子(画像:筑豊アクションプロジェクト)。

爆風吹き荒れるなかをパトカーで走行、実際の鉄道駅で銃撃戦……往年の刑事ドラマのようなシーンを、一般人が体験、撮影できるイベントが福岡県の筑豊地方で行われています。映画などの「爆破ロケ」を誘致し、町おこしにつなげる活動です。

筑豊は爆破ロケの適地?

 福岡県の筑豊地方で、映画などの爆破シーンのロケを誘致し、町おこしにつなげる動きがあります。映画ロケ誘致だけでなく、一般人が爆破をともなうカーアクションを体験したり、撮影したりするイベントも行われています。

「筑豊アクションプロジェクト」と看板に掲げてこの活動を行っているのは、福岡県飯塚市の出身で、映像作品制作などを手掛ける永芳(ながよし)健太さんです。本業のかたわら、なぜこのような活動を行っているのか聞きました。

――なぜこの活動を行っているのでしょうか?

 映像制作の仕事で地域のPRムービーを作成するなか、地域おこしに興味を持ったことがきっかけですが、構想自体は、趣味でショートムービーを作成していた小学生のころから抱いていました。筑豊にはかつての炭鉱跡など、使われていない広大な土地や道路がたくさんあり、当時から「ロケに使えるな」と思っていたのです。大人になり映像の仕事をするなか、爆破や銃撃戦といったアクションシーンの撮影が難しくなっている現実に直面し、「筑豊ならばできるのでは」と思い、企画書をつくり各自治体に働きかけました。

――どのような場所でロケを行っているのでしょうか?

 最初は私有地をお借りして行いましたが、2019年4月には平成筑豊鉄道に協力いただき、同社の金田駅(福岡県福智町)で銃撃戦や列車を爆破するシーンなどのロケを行いました。今後は自動車学校や病院、取り壊し予定の体育館などでも爆破イベントを行うほか、公道でカーチェイスをすべく警察とも調整中です。ヘリコプターやボートを使ったロケも予定しています。

――危険だという懸念もあると思いますが、地域の理解をどう取り付けていったのでしょうか?

 お察しのとおり、当初は「爆破」という言葉だけでも各自治体からゾッとされ、プロジェクトの始動までには3年程度かかっています。風向きが変わってきたのは、田川市で多くの土地を所有している企業の理解を得たころでしょう。同社も地域を盛り上げるべく、美術館やレストランなどを運営しているものの、集客に課題を抱えていました。そうした思いもあって「一緒にやりましょう」とお声掛けいただき、それをきっかけに、多くの方のご協力を得て、同社の所有地で最初の爆破イベントを実施できました。

筑豊のネガティブイメージも逆手に

 永芳さんが映像の道を志したきっかけは、約40年前の小学生時代に、福岡市内で行われたテレビドラマ『西部警察』のロケを見学したことだといいます。目の前で繰り広げられる爆破カーチェイスの迫力に圧倒され、緊張感みなぎる制作現場のスタッフたちをかっこよく感じたといい、その翌日からさっそくショートムービーの撮影をはじめ、いまの仕事に至っているそうです。

 筑豊アクションプロジェクトのウェブサイトには、永芳さんにより次のような活動趣旨が記されています。

・筑豊の炭坑の跡地や、手がつけられていない荒地、廃墟、シャッターが閉まったままの商店街の店舗などを、これからもただ残っているだけの場所にするのではなく、映画産業資源や観光資源に変え、「筑豊でしかできないロケの誘致」「筑豊でしか不可能なイベント」を行えば、地元への収入や観光客の増加などにつながるかもしれない。

・筑豊に付きまとう「怖い」「暗い」といったネガティブイメージも、無理にふたをせず逆手にとれば、アクションやハードボイルドといった男気のある世界観とリンクさせ、筑豊のイメージを違ったものに転換できるのではないか。

・筑豊には新しいアトラクション施設やスタジオを作るようなプランはなく、観光客が楽しめるような施設も乏しい。それならば、筑豊8市町村全域に点在する本物の乗りものや施設、道路、空き地を借り、地域自体を“リアルなアミューズメントパーク化する”というアイディアに挑戦してみたい。

 こうして立ち上がったプロジェクトは、各自治体の後援を取り付けたほか、映像業界からの反応もよく、2019年7月時点でテレビドラマやミュージックビデオ、CMなど複数のロケが決まっているそうです。

 海外でも、たとえば広大な廃墟となった街をアクションシーンの撮影に活用することで、多くのハリウッド映画のロケ誘致に成功している事例もあり、筑豊にもそうしたロケのメッカになる未来があるかもしれません。

 しかしそれも、安全性の確保があってこそ。一般人がケガをするようなことがあれば、すべてが終わってしまうと永芳さんは話します。「これまでの仕事で培ってきたノウハウのほか、スタントの専門家などのアイデアをお借りしながらプロジェクトを進めています」とのことです。

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