中国の新幹線「高鉄」に初めて乗ってみた 予約せずに一苦労、乗れば日本とほぼ同じ?

中国の新幹線「高鉄」に初めて乗ってみた 予約せずに一苦労、乗れば日本とほぼ同じ?

北京南〜天津間で乗った高速鉄道の列車(2019年7月、蜂谷あす美撮影)。

初めての中国旅行で、高速鉄道(高鉄)にぶっつけ本番で乗ってみました。北京南駅で、事前手配なしの状態で列に並びきっぷを購入。そして天津駅まで30分の小旅行に出発します。日本の新幹線とどう違うのでしょうか。

「現地でなんとかなるだろう」と思っていたが…

 あらかじめ予約しておくべきだったか……。きっぷ売り場の列を前にして大いにうろたえました。北京南駅での出来事です。私(蜂谷あす美:旅の文筆家)は初めての中国旅行で北京に滞在していたのですが、「鉄道趣味欲」がむくむくと顔をもたげてしまい、日本の新幹線にあたる「高速鉄道」(高鉄)に乗ることにしました。目的地は北京南駅から約120km南東に位置する天津駅です。

 中国では、「中国鉄路12306」という、乗換検索によく似たサイトやアプリで列車の時刻を調べます。「12306」はきっぷの予約までできてしまうのですが、残念ながら中国の決済手段を持っていない人には門戸が開かれていません。日本で使えるクレジットカードでの決済に対応した日本語の予約サイトもありますが、北京南〜天津間は多い時間帯であれば5分間隔。「現地でなんとかなるだろう」となめてかかり、まったく手配せずにいました。ここで冒頭に至ります。

 きっぷの自動券売機は中国にもありますが、これもやはり中国の身分証を持っている人限定。外国人が使える券売機も設置されていると聞いてはいたものの、見つからなかったため、おとなしく有人窓口の列に並びました。ちなみに筆者は中国語初心者で、数字がかろうじて聞き取れるレベルです。有人窓口はそれぞれLEDでなにがしかの表示があり、利用者の属性などによって窓口が分けられているように見受けられましたが、あいにく語学レベルが及ばず、ひとまず「全国」と書いてあるところに並びました。日本の漢字と異なる中国語の簡体字、意外に難しいです。

 10人くらい並んでいたと思われる窓口の列は、かなりスムーズに進み、自分の番が回ってくるまで5分ほどでした。日本の窓口の感覚で、「これは10分以上かかるかな」と踏んでいた身には拍子抜けでした。

 窓口では、発駅、着駅、列車番号、時刻、座席の種類など書いたノートを係員に見せます。どうやらノートに書いた列車は並んでいるあいだに満席になってしまったようで、別の時刻の列車を提案されました。前述のとおり、北京南〜天津間は本数が多いため1本ずれても大した影響はありません。発券に際してはパスポートの提示を求められ、受け取ったきっぷにはフルネームが印字されていました。

広い広い待合室で改札が始まるのを待つ

 発車までは残り1時間ほど。鉄道趣味者としては駅舎の写真を押さえたく、いったん屋外に出ようと考えました。しかし「出るのは簡単、入るのが大変」なのが中国です。駅舎に入るためには手荷物のX線検査とボディチェックを受ける必要があります。うろついていても怒られはしないものの、安全検査を受けるのが面倒になったので待合室でおとなしく過ごすことにしました。

 これ、待合“室”なのか? 向かった先にはとてつもなく広いスペースがありました。見渡す限り人、人、人……。そしてそれに見合うだけのたくさんのベンチ。待合室というよりも「体育館」「アリーナ」といったほうが分かりやすいと思います。この待合室は下にあるホームとつながっており、なおかつ改札は列車ごとに決まっているため、皆ここで待ち時間を過ごしているようです。駅舎内の温度は快適で、空調管理が適切になされている印象を受けました。

 私は売店で飲み物を購入したり、トイレに行ったり……そして探検に時間を費やしました。トイレでは、鍵が掛かっていなかったドアを勢い良く開けると、かがんでいるおばちゃんを目撃してしまうという事態が発生し、大いにカルチャーショックを受けました。ちなみにトイレットペーパーは設置されていません。

 いよいよお待ちかねの改札が始まります。ホームごとに設けられた自動改札機の前には長い列ができ、私も並びます。周りを見ていると、どうやら出しているのはきっぷではなく、身分証。ならばパスポートをと自動改札機の読み取り部にかざすものの、うんともすんとも反応しません。近くにいた係員にどうしたら良いか尋ねたところ、きっぷにはさみを入れ、通してくれました。中国の身分証がないと有人改札になるのですね。

 天津駅行きの列車は北京南駅始発につき、すでにホームに入線していました。ほかの人はどんどん乗り込んでいきます。カメラを持ってうれしそうに列車の写真や駅名標を撮っているのは私ひとり。中国は日本のような鉄道ファンは少ないと聞きますが、身をもって実感しました。特にとがめられたわけでもなんでもありませんが、ちょっと恥ずかしかったです。発車が近付いてから乗り込んだのは、日本から来た鉄道ファン(私)と、ホーム中ほどに設けられた喫煙コーナーでたばこを吸っていた数人のお客さんだけでした。

静かに発車、347km/hまで加速

 乗車したのは、日本の新幹線の普通車に相当する「2等座」です。車内で最初に目についたのはデッキに設けられたお手洗い。ドアが全開で、洋式便器が見えました。客室に入ると、こちらは2列+3列のシートが並んでいます。また、頭上には荷棚があり、ここまでは日本の新幹線と同じです。相違点を挙げるとすれば窓が大きかったことくらいでしょうか。車内はほぼ満席だったものの大声でしゃべる人はおらず、非常に静かでした。列車も静かに、そして滑らかに発車していきます。

 途中、隣接する在来線の線路を走る客車列車や貨物列車と並走、あるいはすれ違うというシーンがあり、思わず車窓にくぎ付けに。また、車内に目を向けるとドア上部のディスプレイではニュースの代わりに列車の速度が表示されていました。どこまで速度を上げるのだろうと眺めていたところ、最終的に347km/hを記録していました。

 周囲はスマホを操作している人、眠っている人が多く、相変わらず静かでした。車内は全席禁煙で喫煙ルームはなく、乗車時間が短かったことからお手洗い目的で立ち歩く人も見られませんでした。すべて指定席であるためか、検札もなしです。

 北京南駅を発車した列車は途中どこにも停車せず、終点の天津駅まで30分で走り抜けます。天津駅近くでワゴンを押した係員が登場したので「車内販売?」と期待したところ、ゴミの回収でした。

 初めての高鉄乗車はあっという間に終了し、快適なうちに天津駅に到着してしまいました。私は天津駅でも列車などを撮影していましたが、そのあいだにほかの乗客はいなくなってしまいました。

 出札時はきっぷを改札に投入しました。高鉄自動改札の初体験です。入れたきっぷはなぜか出てくる仕組みだったため、旅の思い出として、いまも手元に残っています。

 乗ってしまえば、車窓以外は新幹線とよく似た高鉄ですが、乗車までのハードルが少し高かったので、今後、中国で鉄道旅行をするときは、すべて予約しておこうと心に決めました。

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