哨戒機の内装に見るお国柄 瀬取り監視で展開カナダ空軍CP-140「オーロラ」が機内公開

哨戒機の内装に見るお国柄 瀬取り監視で展開カナダ空軍CP-140「オーロラ」が機内公開

カナダ空軍のCP-140「オーロラ」哨戒機(画像:カナダ空軍)。

カナダ空軍の哨戒機CP-140「オーロラ」が、日本のメディアに向け公開されました。原型機は海上自衛隊にも配備されているP-3C哨戒機で、外見はさほど変わらないのですが、中の様子はだいぶ異なっていました。

沖縄でカナダ空軍が哨戒機を報道公開

 2019年6月26日、沖縄県のアメリカ空軍嘉手納基地で、同基地に展開するカナダ空軍のCP-140「オーロラ」哨戒機が取材陣に向けて公開されました。

「哨戒機」とは、潜水艦の探知や攻撃、さらに周辺海域のパトロールを行う航空機のことですが、なぜ日本のアメリカ軍基地にカナダ軍の哨戒機が展開しているのかというと、これには北朝鮮による違法な海上での物資のやり取り、いわゆる「瀬取り」が大きく関係しています。現在カナダは、この瀬取りを監視するための作戦「オペレーションNEON」を実施しており、その一環としてCP-140が嘉手納基地に展開し、ここを拠点に東シナ海で哨戒活動を実施しているのです。

 CP-140は、1980(昭和55)年からカナダ軍への導入が開始された機体で、冷戦期にはソ連の潜水艦と対峙し、現在では北極圏での監視活動から中東での対テロ作戦まで幅広い任務に投入されています。導入からすでに40年近くが経過する同機ですが、各種の近代化改修によっていまなお第一線で運用される能力を維持しています。

これがお国柄の違いか? 内装は木目調

 この近代化改修は「オーロラ増進的近代化計画(AIMP)」と呼ばれ、機体の通信装置やセンサー、情報処理装置などを対象にブロック1からブロック4まで全4段階の改修が行われます。2019年現在ではブロック3までの改修が順次行われており、最終段階となるブロック4への改修は2024年末に完了する予定です。ちなみに、今回取材陣に公開されたCP-140はこのうちブロック3にあたる機体でした。

 CP-140のベースとなった機体は、海上自衛隊やアメリカ海軍で2019年現在も運用されているP-3C哨戒機で、両者の外観はアンテナなど細かい点を除けばほとんど変わりません。しかし今回、沖縄で筆者(稲葉義泰:軍事ライター)がCP-140の機内を取材すると、P-3Cとの違いがいたるところに存在することが分かりました。

 まず目についたのは、機内を覆う内張りです。通常、軍用機の内張りはクリーム色など質素な色合いのものが多いのですが、CP-140には木目調の内張りが施されていたのです。そのため、その機内は軍用機というよりもむしろビジネスジェットのような上品さを醸し出していました。特に、機体後部にあるギャレー(機内調理室)スペースには、電子レンジやコーヒーメーカー、さらにはシンクやトースターなどさまざまなキッチン設備が並んでおり、木目調の内張りと相まって、家にいるような安心感すら覚えるスペースとなっていました。

搭乗員席の配置にも独自工夫

 さらに気になったのは、P-3Cとは搭乗員の配置がまったく異なっていることです。P-3Cでは、機体前方のコクピット後ろ左右に、機体の司令塔として哨戒活動をコントロールする「戦術航空士(TACCO:タコ)」2名が座り、その後ろに各種センサーを操るオペレーター4名がそれぞれ座る配置になっています。しかしCP-140では、コクピット後ろ左右のスペースは搭乗員用の荷物置き場になっており、搭乗員はTACCOを中心に機体中部にある「コ」の字型配置のコンソールに向かって座るようになっているのです。

 このような配置をとった理由について、CP-140の搭乗員は「TACCOは機体の司令塔として機内の情報を全て把握する必要があります。そのため、TACCOとセンサー要員がお互いに直接やり取りできる配置になっているのです」と説明しました。一見斬新な配置に見えますが、そこには非常に合理的な理由が存在していたわけです。

 今回、沖縄に展開したCP-140は、5月30日に嘉手納基地へ到着し、6月4日から7月の第1週にかけて、おもに東シナ海において3日に1回という頻度で瀬取り監視任務を実施しました。2019年8月現在、CP-140はすでに嘉手納基地を離れてカナダへと帰還しましたが、カナダ軍は既述した「オペレーションNEON」のもとで継続的に日本へ艦艇や航空機を派遣することを決定しています。これに基づいて、次にCP-140が嘉手納基地に展開するのは、2019年10月から11月になる予定です。

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