「昼間」の飲酒運転、夜間と件数逆転も そこから見える悪質な実態とは

「昼間」の飲酒運転、夜間と件数逆転も そこから見える悪質な実態とは

福岡県警が昼間の飲酒運転に注意を呼び掛けている。写真はイメージ(画像:Wavebreak Media Ltd/123RF)。

福岡県で、昼間時間帯の飲酒運転事故件数が、夜間時間帯のそれを上回りました。昼の飲酒運転は、「前夜の酒が残ったままうっかり」ではない、悪質なケースが多いという実態も明らかになってきています。

午前と午後で異なる特徴も

 お昼の飲酒運転は、夜より悪質といえそうです。

 福岡県で2019年上半期に起きた飲酒運転事故の半数以上が、昼間(6時から17時)の時間帯に起きていたことが、県警のまとめでわかりました。同県で昼間の飲酒運転事故件数が夜間のそれを上回ったのは初めてです。

 県内の飲酒運転事故は2000年代から減少傾向にあります。福岡県警によると、2018年には増加に転じ、2019年もさらに増えているものの、2006(平成18)年時点と比べればその件数は4分の1以下です。そうしたなか、昼夜で分けた事故の発生割合は、2006(平成18)年に昼間:夜間で約21%:約79%だったのが、相対的に昼間の割合が増加し、2019年上半期は約53%(39件):約47%(35件)と逆転したといいます。

 昼間の飲酒運転事故から何が見えるのか、福岡県警交通企画課に詳しく話を聞きました。

――昼間の飲酒運転事故にはどのような特徴があるのでしょうか?

 まず、昼間に飲酒運転事故を起こした人の8割以上から、運転免許の取り消し基準にあたる高濃度のアルコール分(呼気1Lあたり0.25mg以上)が検出されており、夜間を含む全時間帯での割合よりも高くなっています。そして酒を飲んだ場所を見てみると、「自宅」が最多で6割を占め、「居酒屋等」3割、「車内」1割が続きます。全時間帯では「自宅」「居酒屋等」がともに4割なので、昼間は「自宅」の割合が高いのが特徴のひとつです。

――前夜の酒が残っているケースが多いのでしょうか?

 これは事故を起こした時刻で特徴が異なってきます。朝6時台から11時台のあいだに事故を起こした人の6割は、飲酒後4時間以上経ってから運転しています。一方、昼の12時台から17時台までのあいだに事故を起こした人は、その9割が飲酒後4時間以内の運転です。このことからうかがえるのは、午前は前日に深酒したり、朝まで飲んでいたりするケースが多い一方、午後の飲酒運転事故は、昼間に飲んでいるケースがほとんどだということです。

飲みながら運転のケースも

――昼間のほうが悪質なケースが多いということでしょうか?

 はい。だからこそ高濃度のアルコール分が検出される割合が高いのです。たとえば、コンビニエンスストアでビールを買い、そのまま駐車場のクルマのなかで飲んだり、飲みながら運転していたケースもあります。

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 なお、昼間はいわゆる飲酒検問は行わず、スピード違反などいろいろな取り締まりのなかで、酒を飲んでいないかもチェックしているそうです。福岡県警交通企画課は、「昼間は自宅やコンビニなどでの飲酒が多いので、集中的な検問より、広く網を張っているほうがよい」と話します。

 福岡県では2006(平成18)年、博多湾に架かる海の中道大橋(福岡市東区)で、飲酒運転のクルマに追突されたクルマが海に転落し、乗っていた幼児3人が死亡する事故が発生しました。これを契機に、翌年の道路交通法改正で飲酒運転の罰則が強化されたほか、県は飲酒運転の撲滅を推進する条例を独自に制定し、飲食店における来店者の飲酒運転防止対策を強化するなどしてきました。

「こうした取り組みもあり、『ビール1杯くらいならいいか』『3時間寝たからいいか』と考えるドライバーは減っていると感じます。いまの飲酒運転の状況からは、昼も夜もなく、酒をがまんできないアルコール依存のドライバーが一定数いることがうかがえます」(福岡県警交通企画課)

 県の条例では、飲酒運転の検挙者全員にアルコール依存症の健診を義務付けているほか、一般市民に対しても、飲酒運転と疑われる事例を見かけた場合に110番通報する努力義務規定を設けているとのことです。福岡県警交通企画課は、「走行中にふらついていたり、雨なのに窓を開けて運転していたりと、不自然な動きのクルマを見たらすぐに通報してほしい」と呼び掛けています。

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