相鉄「東京直通」布石になった幻の「横浜6号線」 その名残、いまも港北ニュータウンに

相鉄「東京直通」布石になった幻の「横浜6号線」 その名残、いまも港北ニュータウンに

JR線に乗り入れて東京方面に直通する相鉄12000系電車(2019年3月、草町義和撮影)。

関東大手私鉄で東京都心に唯一乗り入れていない相鉄が、まもなくJR東日本との相互直通運転を開始。相鉄線から新宿方面へ乗り換えなしで行けるようになります。実は1960年代にも相鉄線のエリアから東京に直通する新線の構想がありました。

茅ヶ崎から港北ニュータウンを経由

 神奈川県内の鉄道路線を運営している相模鉄道(相鉄)は、関東大手私鉄のなかで唯一、東京都心に乗り入れる列車を運行していません。しかし、2019年11月30日(土)には相鉄・JR直通線(相鉄新横浜線の西谷〜羽沢横浜国大間)が開業する予定。相鉄線からJR線に乗り入れて新宿方面に直通する列車が走ります。

 相鉄線のエリアと東京都心を直結する鉄道の構想は古くからありました。しかし、そのルートは現在の計画とは大きく異なるものでした。

 1966(昭和41)年、運輸省の都市交通審議会(現在の国土交通省交通政策審議会)は、横浜の鉄道整備基本計画(都交審9号答申)を策定。横浜市を中心とした地下鉄路線を5本整備し、相鉄線のエリアと東京都心を直結する「横浜6号線」の検討も盛り込みました。

 大まかなルートは、東海道本線の駅がある茅ヶ崎を起点に、小田急江ノ島線の駅がある六会付近、相鉄線の駅がある二俣川、そして現在の港北ニュータウンを経由し、東京方面へ向かうというもの。この時点で詳細なルートや運営会社などは決まっていませんでしたが、相鉄のエリアを通ることから、同社が何らかの形で横浜6号線の運営に関わることになったと思われます。

 実際、相鉄は二俣川駅から横浜6号線に近いルートで茅ケ崎駅のひとつ隣にある東海道本線の平塚駅(神奈川県平塚市)までを結ぶ鉄道新線の建設を計画。1999(平成11)年までに相鉄いずみ野線として二俣川〜湘南台間が開業しています。横浜6号線が完全に実現していれば、相鉄の電車が二俣川から港北ニュータウンを経由して東京まで乗り入れていたかもしれません。

 なお、東京寄りの二俣川以東も港北ニュータウンの具体化にあわせ、ニュータウン内とその前後の区間のルートの検討が行われています。日本住宅公団(現在の都市再生機構)の調査(1971〜1972年)では、交通量を推計するためのルートが設定されました。

既設路線への乗り入れで建設距離を短縮

 それによると、国鉄横浜線の中山駅から港北ニュータウンや国鉄南武線の武蔵新城駅、東急田園都市線(現在の東急大井町線)の等々力駅、東急東横線の都立大学駅、国鉄山手線の目黒駅を経由。現在の都営三田線に相当する地下鉄計画「東京6号線」の清正公前駅(現在の白金高輪駅に相当)に至るものとされました。

 また、1972(昭和47)年には、都市交通審議会が東京圏全体の鉄道整備基本計画(都交審15号答申)を策定。東京6号線と横浜6号線を一体化し、清正公前〜港北ニュータウン間が東京6号線の延伸検討区間として盛り込まれています。

 しかし、港北ニュータウンと相鉄線方面を結ぶ区間は都交審15号答申には盛り込まれませんでした。しかも、1973(昭和48)年のオイルショックで鉄道の建設費が高騰。国や地方自治体の財政悪化もあって、地価の高い都市部で鉄道を建設することが困難に。横浜6号線の二俣川以東は実現せず、相鉄いずみ野線も湘南台〜平塚間は事実上凍結されています。

 これに代わって計画されたのが、まもなく開業する相鉄・JR直通線と、2022年度下期に開業予定の相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線の羽沢横浜国大〜新横浜間と東急新横浜線の新横浜〜日吉間)です。東京都心に乗り入れている既設のJR線と東急線に直通する形にすることで新線の建設距離を短くし、建設費を抑えたといえます。

 ちなみに、港北ニュータウン内には横浜6号線用として確保された敷地がありました。一部の敷地は比較的最近まで空き地のままでしたが、いまは住宅地などに転用されています。また、横浜市営地下鉄のブルーラインとグリーンラインが並走している港北ニュータウン内のセンター南〜センター北間は、両線の高架橋のあいだに幅の広い歩道が設けられていますが、この歩道ももともとは鉄道用地。地下鉄2路線に加えて横浜6号線のスペースも確保していた名残です。

※誤字を修正しました(9月4日9時45分)。

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