名阪国道「有料化」議論なぜ? 奈良県が主張 名阪間最安ルートならではの問題点

名阪国道「有料化」議論なぜ? 奈良県が主張 名阪間最安ルートならではの問題点

物流の大動脈として大型車の通行が多い名阪国道(画像:北勢国道事務所)。

三重県と奈良県を結ぶ名阪間の大動脈「名阪国道」。両端で接続する東名阪道と西名阪道は有料ながら名阪国道は無料でこのルートは「名阪間最安」ですが、それによる問題も発生。奈良県が国へ、有料化も視野に対策を求めています。

死亡事故率ワーストの自動車専用道路

 三重県と奈良県の山間部を貫く国道25号「名阪国道」(73.3km)は、両端で東名阪道、西名阪道に接続し、名阪間の大動脈を構成しています。しかし、東名阪道と西名阪道はNEXCOの管理で通行が有料なのに対し、中間の名阪国道は半世紀前の開通時から無料です。

 このことで奈良県が「様々な問題を抱えている」として、名阪国道へ部分的に通行料金を設定する施策の実施や、危険箇所を回避する別線の整備など、名阪国道のあり方について「抜本的見直し」を国へ要望しています。

 問題のひとつは、名阪国道経由が「名阪間最安ルート」であるがゆえ、大型車の通行が多いことです。大型車で名古屋近郊から大阪近郊へ向かう場合、ルートにより次のような料金差が存在します。

・名神高速経由:6950円(一宮IC〜吹田IC)
・新名神高速経由:7840円(飛島IC〜第二京阪門真IC)
・名阪国道経由:3540円(飛島IC〜松原IC)
※通常料金。区間は国土交通省の資料に基づく。

 名神・新名神経由と比べて大幅に安い名阪国道ルートは、大型車の混入率が50%を超え、奈良県によるとその6割は県内を通過するだけだそうです。加えて名阪国道は急カーブや急勾配が多く、死亡事故率も全国ワーストといわれる状況です。

「通過する大型車だけでも料金を」 奈良県の要望とは?

 さらに、名阪国道が無料であることが、県内の一般道にも大きく影響しています。

 たとえば、名阪国道終点の天理ICから有料の西名阪道に入ると、約4km先の郡山下ツ道JCTで、和歌山方面へ延びる京奈和道に行くことができます。しかし、この京奈和道は無料ため、有料の西名阪道区間を避けるクルマによって、並行する一般道で渋滞が起きているとのこと。奈良県や国は、このような無料・有料区間の混在により、西名阪道が本来の機能を活かせていないと指摘しています。

 奈良県によると、たとえば大型車が天理ICから国道169号を北上し、観光客も多い奈良公園を経由して、奈良市と大阪市近郊を結ぶ無料の阪奈道路や、並行する有料の第二阪奈道路などへ向かう傾向があるなど、影響は広域に及んでいるそうです。どちらを使っても、西名阪道を経由するより割安に大阪の中心部へ向かうことができます。

 このため奈良県は2015年と2016年、奈良県内を通過する大型車に限り名阪国道の通行料金を設定する施策の導入や、名阪国道・西名阪道・京奈和道における無料・有料の混在解消を政府に要望しました。奈良県の荒井正吾知事は2016年4月13日の会見で、名阪国道ルートについて次のように発言しています。

「基本的には大型の通過車両は、名神、新名神と同じような料金レベルにする、これには名神、新名神の料金を下げるという方法もありますが、3つ並んでいる有料道路の料金を同レベルにすると、奈良公園を通過する車両も減るのではないでしょうか」(奈良県 荒井正吾知事)

 名阪国道は地域の生活道路にもなっているため、奈良県の道路整備課は、「普通車を含めての有料化は影響が大きすぎる」と認識しているそうです。

沿線自治体から奈良県へ否定的意見も 難しい有料・無料区間の混在

 しかしながら、こうした県の主張に対し、たとえば名阪国道の沿線自治体である奈良県山添村は「名阪国道の有料化を推進する内容」であるとして、その議論を進めないよう強く求める意見書を2015年に可決するなど、県内でも意見が分かれています。

 なお、奈良県は2019年8月にも、前出の「名阪国道別線整備案」を含めた「国の東西軸の最適利用に向けた抜本対策等の検討着手」を政府へ要望しました。

 ちなみに、こうした有料・無料区間の混在による問題は国土交通省の委員会でも話し合われており、名阪国道のほか、鳥取・島根県内における山陰道やその周辺道路の例が挙げられています。有料区間は交通量が少なくなり、結果として並行する国道9号に渋滞箇所が集中している状況だそうです。

 こちらでは、島根県に対し山陰道有料区間の無料化を求める声が県民から寄せられていますが、県の高速道路推進課によると、現実的にそれは難しい旨の見解を出しているといいます。

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