電車の帯「横」「下」から「縦」「上」に変化のワケ ただの装飾じゃない電車の帯

電車の帯「横」「下」から「縦」「上」に変化のワケ ただの装飾じゃない電車の帯

車両のラインカラーは、その車両が走る路線を識別する記号でもある(2015年3月、大藤碩哉撮影)。

電車の帯は、乗客に様々な情報を伝える役割を担っていますが、その帯のあり方がここ数年で大きく変化しています。その理由とはいったい何でしょうか。

増備されるホームゲートとの関係

 家電量販店の歌にも歌われるように、鉄道車両の「色」というのは単なる外観デザインとしてだけでなく、路線や車両、運転系統を伝える識別記号としての役割も担っています。

 1990年代から首都圏のJR、大手私鉄を中心に銀色のステンレスカーやアルミカーが中心となり、車両は窓の上下にラインカラーと呼ばれる色帯を貼って運用されています。ラインカラーは車体に沿って横向きに貼られるのが一般的でした。

 ところが、2015年に登場した山手線用のE235系電車は、ラインカラーの貼り方が横向きから縦向きに変わりました。また、東京メトロ丸ノ内線の新型車両である2000系電車は、従来は窓下にあったサインカーブの帯を窓上に持っていくなど、帯の施し方に変化が出ています。

 なぜ最近は、ラインカラーのデザインに変化が出ているのでしょうか。その理由はホームゲートの普及にあります。

 ホームゲートの高さはホーム面から約1m30cm。鉄道車両の窓の下辺は床面から概ね80〜90cmであるため、ホームから車両の下半分はほぼ隠れます。そのため、これまでの窓下に施されたラインカラーはホームから見えないことになります。

 そこで、近年の車両はドアの上、幕板と呼ばれる部分にラインカラーを施して、旅客に見えるようにしました。さらに、都市圏では整列乗車の文化が定着しているため、乗客は列車到着前にドアの前に並んでいます。そのため、注目度の高いドアとその周りに色を配置するデザインも増えています。

広告表示にも見られる変化

 ドア周りに旅客の注目がいくのであれば、注目ポイントに情報を集中させようというデザインが生まれます。西武鉄道の40000系電車では、フリースペースや車いすスペースの表示を、ドアのカラーに組み込んだデザインを採用。東京メトロの13000系電車は、幕板部のラインカラーのなかに、これらの表示を組み込んでいます。

 また保安上の観点から、最近の車両では車両番号や非常ドアコックの設置位置を示す矢印を、窓の横に表記する例が増えています。

 鉄道車両のカラーリングはただ人目を引くだけでなく、時代とともに形を変えつつ、利用者に適切な情報を伝える手段として工夫が凝らされているのです。

 ホームゲートの登場で変わったのはラインカラーのデザインだけではありません。山手線でよく見かけるラッピング電車にも変化が表れています。

 東京都の条例では、車体側面10%未満の面積まで広告を貼ることができます。かつては車体側面の天井から裾まである細長い広告を1両に4枚、もしくは、縦長2枚と窓下に横長1枚を貼るパターンがありました。

 しかしホームゲートが設置されると、窓下のスペースは広告には不向きに。現在はドアと窓の間、戸袋と呼ばれる部分に比較的小型の広告を、1両あたり8枚貼るスタイルが主流です。

 ホームゲートは広告表示にも影響を与えているのです。

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