欧州の国際夜行列車「ナイトジェット」に乗ろうとしたら…行先違う?車両も違う?の謎

欧州の国際夜行列車「ナイトジェット」に乗ろうとしたら…行先違う?車両も違う?の謎

ミュンヘン行き寝台列車を待っていたら、なぜかそこに現れた、寝台車なしの高速列車「フレッチャロッサ」ETR1000電車(2019年8月、恵 知仁撮影)。

オーストリア連邦鉄道が運行するヨーロッパの国際夜行列車「ナイトジェット」。それにイタリアのフィレンツェからドイツのミュンヘンまで乗ろうとしたところ、旅の醍醐味(だいごみ)らしいハプニングを体験しました。

国際夜行列車「ナイトジェット」 乗る前に起きた「事件」

 ヨーロッパ31カ国で使える鉄道の乗り放題パス「Eurail Pass(ユーレイルパス)」。これを用いたヨーロッパの鉄道&世界遺産を満喫する旅へ、2019年の8月から9月にかけ出かけました(2か月のうち任意の10日を選んで使える1等車用「ユーレイル グローバルパス」を使用。大人用〈28歳以上〉605米ドル〈約6万6000円〉、シニア用〈60歳以上〉546米ドル〈約5万9600円〉)。

 日本からローマへ到着後、イタリアの高速列車「Frecciarossa(フレッチャロッサ)」で同国中部のフィレンツェへ。世界遺産になっているその市街を散策し、ワインやハム、チーズなどを楽しんだのち、今回の旅における目玉のひとつ「国際夜行列車」に乗車します。

 しかしそこで、ふたつの“事件”がありました。

 乗車する「国際夜行列車」は、オーストリア連邦鉄道(OBB〈正しくは「O」の上に点2つ〉)が運行する「Nightjet(ナイトジェット)」NJ294(EN294)列車で、始発はローマ、終着はドイツのミュンヘン。それに途中のフィレンツェから終点まで乗り込む計画でした。

 しかし、その列車が21時55分に発車するはずのフィレンツェ サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に行き、発車案内の電光掲示板を見ても、「ミュンヘン(英:Munich / Muenchen、独:Munchen〈正しくは「u」の上に点2つ〉)」の文字が、どこにも登場しないのです。

「21時55分発の列車」は掲示されていました、が、その行先は「VIENNA-MONACO」。内陸にあるオーストリアの首都ウィーンと、地中海に面したモナコ公国という、行先が別の車両が途中まで一緒に行く列車のようです。

 結果をいえば、駅の表示は何も間違っていなかったのですが、ある意味「国際列車」らしい“カラクリ”でした。

国際夜行列車「ナイトジェット」モナコ行きはミュンヘン行きの怪

 この21時55分発「VIENNA-MONACO」行きは、列車番号もミュンヘン行き「NJ294(EN294)」とは全然違う「EN35900」。というか、フィレンツェからウィーンとモナコは、方向も全然違うような気がするのですが……。

 駅係員に話を聞くと、あっけない幕切れでした。ドイツのミュンヘンは、イタリア語で「MONACO」と表記するのだとか。「VIENNA-MONACO」行きは「ウィーン&ミュンヘン」行き、つまり探していた列車だったのです。

 ちなみに、これはイタリアでもややこしいので、ドイツのミュンヘンはイタリア語だと「Monaco di Baviera」と呼ぶとのこと。文字数の限られた駅の電光掲示板だったので、ただの「MONACO」表記だったのでしょうか。もっとも、「Monaco di Baviera」と表記されても、ミュンヘンのことだとは思いませんでしたが。

 しかし、ホッとしたのもつかの間でした。寝台車を予約していたにもかかわらず、やって来た列車が、どう見ても寝台車ではありません。

イタリアの高速列車「フレッチャロッサ」が寝台列車に?

 現れたのは、寝台車がないイタリアの高速列車「フレッチャロッサ」のETR1000電車で、車両に掲示された行先は「Bologna Centrale」。フィレンツェから直線距離で100kmもないイタリアの都市ボローニャです。列車番号は夜行列車のものである「EuroNight(EN)35900」なのですが……。

「ミュンヘン? Munich!?」とあわてふためいていると、乗務員は「とりあえずこれに乗ってボローニャに行って」。

 謎に包まれつつ、イタリアの闇夜を座席列車が走っていくなか、理由が分かりました。2019年8月10日から9月1日まで工事のため、ローマ〜ウィーン・ミュンヘン間の「ナイトジェット」は、ローマ〜ボローニャ間を運休。ボローニャ〜ウィーン・ミュンヘン間の運転になり、ローマ〜ボローニャ間は、同じダイヤ(一部別ルート)で代わりの列車(EN35900列車)が走る、ということになっていたのです。

 異国の地で初めての駅に行き「列車がない!」「車両が違う!」。あせりましたが、列車が国境を越えて多数行き交い、高速列車の車両が在来線にも普通に直通するヨーロッパの旅行らしい経験になったと、いまとなってはいい思い出です。

 フィレンツェから乗ったETR1000による代走列車「EN35900」は22時37分、40分弱でボローニャに到着。隣のホームに、寝台車を備えたミュンヘン行き「ナイトジェット」が待っていました。

協力:ユーレイル・グループGIE

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