親子で同じ便のパイロット どんな感じ? AIRDO親子機長の父引退 息子とラストフライト

親子で同じ便のパイロット どんな感じ? AIRDO親子機長の父引退 息子とラストフライト

AIRDOのボーイング767型機コックピットにて。左が父の古田貢章機長、右が息子の古田航一機長(2019年12月27日、乗りものニュース編集部撮影)。

AIRDOで、ひとりの機長がパイロットを引退。そのラストフライト、コックピットで隣に座るのは息子です。家では「ゆったりした性格」という父。親子で機長を務めているふたりは、お互いをどう捉えているのでしょうか。

息子のあとにAIRDO入社 教官も務める

 北海道を拠点とする航空会社、AIRDOに所属するひとりのパイロットが2019年12月27日(金)、ラストフライトを迎えました。

 その古田貢章機長は1973(昭和48)年、ANA(全日空)に航空機関士として入社。そののちパイロットとして「ハイテクジャンボ」ことボーイング747-400型機などを操縦しました。総飛行時間は2万時間を超えるベテラン機長で、AIRDOでは訓練教官や安全推進室の副室長も務めていました。

 ラストフライトはダブルキャプテン制。隣に座るのは息子の古田航一機長です。もともとJAL(日本航空)でパイロット訓練を受けていましたが、同社の経営破綻の影響で訓練がストップ。そののちAIRDOへ入社し、機長になりました。AIRDOへの入社は息子の航一機長が先で、そのこともあり、すぐあとに父の貢章機長も入社したそうです。

「パイロットの仕事はいつ何があるか分からないので、最後の最後まで気を抜けなかったです。いまはホッとした、という気持ちです」と貢章機長は話します。

 パイロットは誰と乗っても一定の気持ちで操縦できるよう訓練を受けているので、飛行中は息子が隣に座っていても感情の変化はなかったといいますが、コックピット内の会話は、ほかのパイロットと一緒に飛ぶときと違い、“タメ口”になることもあったそうです。

 一方、息子の航一機長は到着後、「やはり家族ということもあって、幼いころからの思い出もフラッシュバックして、こみ上げてくるものがありました」と話します。同じ「機長」という仕事をする息子から見た父親は、どのような人物なのでしょうか。

珍しい「親子パイロット」 本人たちはどんな感じ?

――父の貢章機長から、どのようなことを教わりましたか?

航一機長(子):実は親子でフライトの話をすることは、これまであまりありませんでした。父はマイペースでゆったりしている性格で、フライト中に天気が急変するなど悪いことがあっても、冷静に一定の気持ちで判断ができるところは見習っていければと思っています。

――航一機長は、「普段のお父さん」と「コックピットのお父さん」の両方を知っているわけですが、それぞれの顔に違いはありますか?

航一機長(子):家でもゆったりマイペースな父なのですが、一緒に飛ぶまで、フライトになったらスイッチが入って性格が変わるのかな、と思っていました。しかし実際に飛んでみるとそうでもなく、いつもと同じようにゆったりした雰囲気で操縦をしていました。いい意味で驚きがあったというか、印象的でした。

――息子の航一さんがキャプテンになってから、成長したなと思うところはありますか?

貢章機長(父):機長は規定のなかで仕事をするのですが、オーケストラでいうと、同じ曲でも指揮者で演奏が変わるように、それぞれのキャプテンが少しずつ違うのです。フライト全般を「作品」と考えると、息子は自分の「作品」ができていると思います。

パイロットを続ける子へ 引退する父が伝えたいこと

――コックピットにいる息子の航一さんを見て、「親子だな」と思ったところはありますか?

貢章機長(父):パイロットは規定のなかで飛んでいて、初めての人ともすぐ飛べるよう訓練を受けています。そのため規定に沿って同じように操縦するのですけど、操縦というより、座り方が似ていますね。コックピットに座るときはある程度、目の高さなどが決まっているのですが、その範囲内で個人差が出ます。その座り方を見ていると、似てるなあと思いました。

――これからもパイロットを続ける息子の航一さんに、伝えたいことはありますか?

貢章機長(父):フライトは、すべてお客様のためにあるという考え方です。難しい判断を迫れられたときは、この考え方が念頭にあれば、いい判断ができます。機長は、技術だけでなく人柄が出る仕事なのです。これからより一層、人格についても磨いていって欲しいと思います。

※ ※ ※

 貢章機長(父)のラストフライトは、帯広発羽田行きのADO66便で、機種はAIRDOの主力機であるボーイング767型機でした。ANA時代も含めると乗務したのは6機種目で、機長としては3機種目だそうです。そのなかですごいと思った機種は「ハイテクジャンボ」ボーイング747-400型機とのこと。設計がとても良く、乗りものとして完成されているところがポイントだそうです。

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