「大都市圏の貨物線」5線 特急が走り旅客列車でにぎわう路線 一般の路線図にない路線

「大都市圏の貨物線」5線 特急が走り旅客列車でにぎわう路線 一般の路線図にない路線

東北貨物線を走る湘南新宿ラインの旅客列車。湘南新宿ラインはほかにも、山手貨物線などを走行する(2008年12月、児山 計撮影)。

相鉄とJRの直通では、品鶴線など既存の貨物線が活用されました。湘南新宿ラインや関空特急「はるか」も貨物線を走ります。これは、貨物列車の本数が減り空いた線路を、増発した旅客列車が活用しているものです。

減便により空いた貨物線を活用する旅客列車

 2019年11月30日(土)、相模鉄道(相鉄)とJR東日本が相互直通運転を開始し、都内と相鉄線を結ぶ新たなルートが形成されました。西谷〜羽沢横浜国大間に新線が建設され、相鉄線からは、おもに貨物列車が通る東海道支線や山手貨物線を経由して新宿駅に向かいます。

 首都圏や大阪都市圏には貨物列車を走らせるための貨物線が随所に建設されています。これらは、国鉄時代に旅客列車の運行本数を増やすなどするため、速度の遅い貨物列車が走行する専用の路線として建設されました。

 しかし貨物列車はその後、トラック輸送の増加により運転本数が減少しました。そこで、空いた貨物線に旅客列車の一部を走らせ朝ラッシュ時の運転本数を増やしたり、相鉄の直通線のように、貨物線を活用した新しいルートを構築したりしています。

 その結果、山手貨物線のように埼京線や湘南新宿ラインの旅客列車が頻繁に往来するなか、貨物列車は1日6往復しか走らないような路線もあります。また、現在は貨物列車のみが運行されている貨物線でも旅客化の検討や要請がなされている路線もあり、今後も新しい運転系統や直通路線ができる可能性があります。

 都市圏の貨物線のうち、旅客列車が走る路線から1日数本しか走らない路線まで、筆者(児山 計:鉄道ライター)の独断で5つを選びました。

通勤路線のイメージ強い山手貨物線 バイパス役の武蔵野南線

山手貨物線

 山手貨物線は、品川〜新宿〜田端間でJR山手線に並行して敷設されています。現在はJR埼京線や湘南新宿ラインの列車が頻繁に運行されており、貨物列車は早朝を中心に1日6往復しか設定されていません。

 山手貨物線を走る貨物列車が減少した理由は、1973(昭和48)年に国鉄(当時)武蔵野線が開業し、貨物列車の多くが武蔵野線を経由するようになったためです。貨物線としての面影はほとんどない山手貨物線ですが、新宿や渋谷を通り、北関東と横浜などを結ぶ通勤路線でもある現在は、首都圏の重要な旅客路線になっています。

武蔵野南線

 JR武蔵野線の旅客列車は、府中本町〜西船橋間(一部は京葉線へ直通)で運転されていますが、府中本町駅(東京都府中市)から南方向にも「旅客営業を行わない武蔵野線」が伸びています。これが府中本町駅からJR南武線にほぼ並行して鶴見駅(横浜市鶴見区)に至る貨物線、通称「武蔵野南線」です。

 武蔵野南線は、旅客列車で混雑する都心を貨物列車が通過することなく、鶴見駅からJR東北本線や常磐線、京葉線方面に抜けられるバイパス線の役目を担っています。かつては運輸省(現・国土交通省)が旅客化を検討していましたが、諸般の事情からこの計画は消滅しています。なお、武蔵野南線は大部分がトンネルになっており、走行する貨物列車を見られる区間は限られています。

LRT構想ある新金線や越中島支線 梅田貨物線は関空特急「はるか」のルート

新金貨物線

 新金貨物線は、JR総武本線の小岩駅(東京都江戸川区)と常磐線の金町駅(同・葛飾区)を結ぶ単線の路線です。都心を経由せずに常磐線と総武本線を往来できるため、房総方面から隅田川貨物駅(同・荒川区)などに向かう貨物列車を中心に、比較的頻繁に貨物列車が運行されています。

 新金貨物線は以前から、葛飾区を南北に結ぶ路線として旅客化の要望があります。なお団体臨時列車として、過去に旅客列車が運行された実績はあります。LRT(次世代型路面電車システム)での開業も視野に、旅客化について検討中です。

越中島支線

 首都圏の貨物線のうち、運行本数が少ないのが越中島支線です。この路線はJR総武本線の小岩駅から越中島貨物駅(東京都江東区)までを結ぶ路線ですが、越中島にある施設からレールを輸送する貨物列車が1日3往復設定されているのみです。

 なお越中島支線も、LRTによる旅客化が要望されています。

梅田貨物線

 大阪にも、旅客列車が活用する貨物線があります。そのひとつが吹田貨物ターミナル駅(大阪府吹田市・摂津市)と西九条駅(大阪市此花区)を結ぶ梅田貨物線。一部に単線区間がありながらも「はるか」「くろしお」といった特急列車が頻繁に走る路線です。

 梅田貨物線は、貨物ターミナルである安治川口駅(同)とJR東海道本線を結ぶために建設されました。その後、新幹線が停車する新大阪駅にアクセスする路線として脚光を浴び、1989(平成元)年に定期の旅客列車が設定されました。

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