「ちょっと変わった路線バス車両」5選 頭や扉に特徴 レトロな最新式 日本唯一のバス

「ちょっと変わった路線バス車両」5選 頭や扉に特徴 レトロな最新式 日本唯一のバス

かつて走っていた西武バスの「三角バス」。車体上部の幅が狭くなっている(画像:西武バス)。

路線バスのなかには、一風変わった車両も存在。レトロに見えて実は最新式だったり、見た目が特徴的だったりするバスを5つ紹介します。

運転できる人が非常に少ない超個性派車両

 路線バスのなかでも、一風変わった車両や、見た目が特徴的な車両を5つ、紹介します。

究極の珍車? 屋根がすぼまった西武の「三角バス」

 西武バスではかつて、「三角バス」と呼ばれる特注の車両を保有していました。中型の路線バスですが、狭いトンネルを通行するために車体上部の両側面がややカットされ、幅が狭められていることから、この通称で呼ばれます(実際には六角形に近い)。1970年代まで、埼玉県秩父地域の山間路線にて使用されていました。

「三角バス」は現在、同社の川越営業所で1両が保存されています。ふだんは非公開ですが、イベントなどの際に展示されることがあります。

日本唯一のトレーラーバス 西東京バス「青春号」

 トラクター(けん引車)とトレーラー(被けん引車)からなる「トレーラーバス」は、戦後の一時期には多く見られましたが、2020年現在は、西東京バスが運行する機関車型バス「青春号」が路線バスとしては日本唯一の存在です。東京都あきるの市の武蔵五日市駅と、日の出町のつるつる温泉とのあいだを走っています。

 このバスを運行するには、大型二種免許のほか、けん引二種免許が必要です。その保有率は大型二種免許の5%以下と極めて少なく、西東京バスの社内でも運転できる人が限られるそうです。

 近年、車体が前後に2台つながった連節バスが全国で走っており、多くの事業者がそのドライバーにけん引二種免許を取得させるという動きが見られるものの、連節バスは2台を切り離せない構造であるため、けん引二種免許がなくても運転は可能です。逆にいうと、けん引二種免許が真に必要なバスは、全国でも「青春号」だけといえるでしょう。

「古くない」ボンネットバスって?

 見た目はレトロでも、中身は最新式という車両もあります。

最新型の「ボンネットバス」 会津バス「ハイカラさん」

 会津バス(会津乗合自動車)が福島県会津若松市の周遊バス「ハイカラさん」として、いわゆるボンネットバスを2台運行しています。エンジンが運転席より前にある構造の「ボンネットバス」は、1970年代に製造が終了しており、観光地などで古い車両が運行される姿が見られる程度です。ところがこの「ハイカラさん」は、2018年に導入された最新の車両です。

 というのも、このバスはマイクロバスの新車を改造したものだからです。エンジンの上にある運転席を後退させたうえで、エンジンをボンネットカバーで覆っているほか、車内は木材や伝統工芸品の「会津木綿」などを多用してレトロ調に仕上げつつも、車いす対応の扉やリフトも備え、バリアフリーにも対応しています。

 現在の「ハイカラさん」は2代目で、初代もマイクロバスを改造したボンネットバスでした。このような改造ボンネットバスは全国で多数、存在します。

屋根上の5連ランプが光る! 岡山「宇野バス」

 岡山市を拠点とする宇野バス(宇野自動車)の路線バスには、屋根上のフロント部に5つ、リア部にも5つのマーカーランプが並んで取り付けられています。これについて宇野バスは次のように説明します。

「当社のバスは塗色が地味でもあるので、夜間やくもりの日などにバスを遠くから認識できるよう、屋根上のマーカーランプを取り付けています。かつて多くの大型トラックには、正面の上部に3連の『速度表示灯』が取り付けられていましたが、それとだいたい同じ用途です。ただ3連だとトラックと間違われるため、左右に1つずつ付けて5連にしています」(宇野バス)

 かつてこのような屋根上のマーカーランプは、多くの路線バスや大型トラックに取り付けられていましたが、1967(昭和47)年に大型トラックへの装着が義務化され、相対的に路線バスでは見られなくなっていきました。なお、大型トラックの装着義務も1999(平成11)年に撤廃されています。

 岡山や広島では、宇野バス以外でも屋根上のマーカーランプを備えた路線バスは見られますが、同じ会社のなかでも車両により有無が分かれるケースもあるなか、宇野バスは何十年も「バスの機能として全車に取り付けている」と話します。

高速バスの珍車「中扉付き」とは?

「高速バスの珍車」も存在します。

高速バス車両なのに扉がふたつ 淡路交通「中扉付きエアロバス」

 高速バスは一般的に、車体前方の前扉のみが付いた観光バスタイプの車両が使われますが、淡路島を拠点とする淡路交通は近年まで、前扉のほかに路線バス車両で見られる車体中ほどの中扉も付いた、珍しい高速バス車両を保有していました。

 淡路島では1980年代、四国とのあいだに大鳴門橋が開通し、島内の交通事情は大きく変化しました。高速バスの利用者も年々増加するなかで、スムーズな乗降のため1994(平成6)年から順次導入されたのが、この「中扉付きエアロバス」です。1998(平成10)年に神戸とを結ぶ明石海峡大橋が開通したあとは、神戸と島内各所を結ぶ舞子〜福良線など、高速道路と一般道の双方においてこまめに停車する路線で使われました。

 この中扉付きエアロバスは淡路交通の専用仕様で、一時は18両を数えました。しかし、次第に神戸と淡路島の2点間輸送へニーズの軸足が移ってきたことから、通常の高速バス車両が主流となり、中扉付き車両は順次引退していったそうです。最後の1台も2019年9月に運行を終了しました。なお、いくつかの車両は他社に移籍しており、中扉をなくしたケースもあれば、そのまま使っているケースもあります。

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 バスは基本的に1台1台、手作りです。今後も個性的な車両が登場するかもしれません。

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