消える列車の喫煙席 近鉄特急 700系新幹線 ただ喫煙車はサンライズで存続予定 なぜ?

近鉄特急、東海道・山陽新幹線700系など喫煙席が消滅もサンライズで喫煙車は存続予定

記事まとめ

  • 近鉄が特急の座席を禁煙化し、東海道・山陽新幹線700系も引退予定で喫煙席は姿を消す
  • 健康増進法とその施行令ではホテルや旅館の客室、鉄道や船舶の宿泊用客室は規制対象外
  • 寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の一部車両は引き続き「喫煙車」として運行される

消える列車の喫煙席 近鉄特急 700系新幹線 ただ喫煙車はサンライズで存続予定 なぜ?

消える列車の喫煙席 近鉄特急 700系新幹線 ただ喫煙車はサンライズで存続予定 なぜ?

車内での禁煙を告知するステッカー(2018年1月、恵 知仁撮影)。

近鉄が一部の特急にあった喫煙席を廃止し、いま座席でタバコを吸えるのは東海道・山陽新幹線の700系のみです。しかし改正健康増進法の施行で、喫煙席はまもなく見納めになります。今後は喫煙ルームを利用しなければなりません。

最後まで喫煙席があった新幹線700系と近鉄特急

 一昔前まで、鉄道車両の座席でタバコを吸う光景は日常でした。しかし、改正健康増進法の施行に伴い2020年4月1日以降、鉄道や船舶を含む「多数の者が利用する施設」での原則屋内禁煙が義務化されます。そのため、鉄道車両から「喫煙席」が姿を消します。これらの施設では、受動喫煙を防止するための措置が取られた専用喫煙所を除いて、タバコを吸えなくなるからです。

 2020年に入った時点ですでに、座席でタバコが吸える列車は、東海道・山陽新幹線の700系電車(8両編成を除く)、近畿日本鉄道の「アーバンライナー」「伊勢志摩ライナー」「さくらライナー」などを除く一部の特急車両のみでした。しかし2月1日(土)から、近鉄が特急車両の座席を全面禁煙化したため、現時点で喫煙席があるのは東海道・山陽新幹線の700系のみ。700系も3月8日(日)に東海道新幹線から、3月13日(金)に山陽新幹線の定期運用から引退する予定なので、法律の施行を待たずに喫煙席はすべて消滅することになります。

 もっとも一般的な感覚からすれば、まだ喫煙車があったのかと驚かれるかもしれません。男性の喫煙率が初めて50%を割ったのは2002(平成14)年のこと。2007(平成19)年には40%、2016年には30%を切るまでになり、どこでもタバコが吸えた時代は遠い過去のものとなっています。

喫煙ルームは健康増進法の対象外

 鉄道施設の禁煙化は、2003(平成15)年に受動喫煙防止義務を課した健康増進法が施行されて、ようやく本格化しました。2004(平成16)年に全車両禁煙車で開業した九州新幹線を皮切りに、次々と車内禁煙化が広がり、JR東日本とJR北海道は、2007(平成19)年3月のダイヤ改正で特急車両を全面禁煙化(寝台列車など一部除く)。京成、南海、近鉄を除く大手私鉄も、有料特急の全面禁煙化に踏み切りました。

 一方、JR東海JR西日本は、2007(平成19)年に導入した東海道新幹線のN700系電車から、喫煙席を廃止する代わりに喫煙ルームを設置しています。その後、山陽新幹線の500系電車、山陽・九州新幹線のN700系7000番台・8000番台もこれに続きました。そのほか、豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)」にも喫煙ルームが設置されています。

 私鉄では唯一、喫煙車を存続させた近鉄も、特急車両に喫煙ルームを設置しており、2020年度中に廃車予定の一部車両を除き、喫煙ルームの整備を完了しています(未設置車両は現在、全車禁煙で運行中)。

 喫煙ルームは改正健康増進法に定められた専用喫煙室に該当する施設なので、喫煙ルームが設置された車両では、今後も車内で喫煙することが可能です。なお近鉄では、喫煙ルームを備えた車両であっても、地下区間と大阪上本町、京都、大阪阿部野橋の各駅に停車中は利用できないとしています。

「サンライズ瀬戸・出雲」の喫煙車は「客室」扱い

 元喫煙席の車両はどうなるのでしょうか。JR東海の700系は全編成が廃車されますが、JR西日本が保有する16両編成の700系は、臨時列車用の編成として存続します。この車両の喫煙席はすべて清掃・消臭をしたうえで、今後は全席禁煙車(喫煙ルームなし)として運行する予定です。

 近鉄は3月末までに、喫煙席のある車両を順次、清掃・消臭したうえで、禁煙車として使用する方針です。清掃・消臭が終了するまでは、座席を販売しない措置をとっています。

 このほか、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に喫煙可能な個室が設定されていますが、健康増進法とその施行令では、ホテルや旅館の客室、鉄道や船舶の宿泊用客室は規制の対象外となっているため、4月1日以降も一部車両が引き続き「喫煙車」として運行される予定です。また、臨時列車として運行されている「カシオペア」にも喫煙車が設定されていますが、JR東日本によると、4月1日以降の取り扱いは未定とのことです。

 愛煙家にとっては肩身の狭い話ばかりですが、受動喫煙の防止は乗客間だけの問題ではありません。車掌や販売員、警備員は、煙の立ち込める喫煙車で望まぬ受動喫煙を強いられているという現実があるからです。労働安全衛生法に「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が制定されるなど、労働者の受動喫煙防止対策に対する関心も高まりつつあります。

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