カモメを捕まえないでください!?ヒッチコックの「鳥」を彷彿するスリリングなクルージング

カモメを捕まえないでください!?ヒッチコックの「鳥」を彷彿するスリリングなクルージング

観光遊覧船が出港する桑川港。堤防の上で父子が釣りをしていたりして、ノンビリムード

山形県の県境に近い新潟県北部にあり、県内では最大の面積を誇る村上市。村上市にあるJR桑川駅改札を出ると、すぐ目の前に雄大な日本海が広がる。そこから車でスグの桑川港から出港する笹川遊覧船が「単なる遊覧船とは違って、とてもスリリングらしい」と聞いて、早速乗り込んでみた。

「笹川流れ」…なんとも風流で雅な響きである。全長11km、岩の間を盛り上がるように流れる見事な潮流。中心となる村上市笹川集落の名にちなんで付けられたとか。この日は天気もよく、座席ではなくデッキから海を眺めることに。ゆるゆると出航した船は、ニタリ岩、メガネ岩、恐竜岩など、さまざまな美岩や奇岩のそばまで近付いていく。それにしても気になるのは、船内に貼ってある「カモメを捕まえないでください」の文字。

グライダーのように優雅に滑空し、船に近付いてくるカモメは何羽もいるけれど、どう考えても飛んでいるカモメを捕まえることなんて無理なハナシだ…。

笹川流れに話を戻すと、ここには源義経にまつわる伝説がある。1186年、源義経が兄の頼朝に追われ、奥州平泉を目指して京都から北上。越後路を海岸づたいに馬を走らせ、村上市の馬下までなんとか辿り着いたが、笹川流れは切り立った断崖のため、漁師の案内で海路で山形に上陸。義経は労苦を共にした愛馬を心配して、馬に浮き沓を履かせて粟島(村上市岩船港からフェリーで約90分の島)へ逃したそう。その粟島には以前馬が60頭もいたそうだが、最後の1頭が1932年に死んでしまったとか。この馬の先祖が義経の馬だったのではないかとのロマンティックな伝説があるらしく、解説が船内放送で流れてくる。船長の解説は訥々としながらもリズムも抑揚もいいので、思わず聞き込んでしまう。ちなみにテープはいっさい使わず、生声で案内しているとのこと。

■ カモメの表情がはっきりわかるほど、接近遭遇!

ユルい平和な雰囲気が、一転プチパニック状態に変貌!!!あの貼り紙の謎は出航してから20分後くらいに解けた…!ミステリー小説風に語るとすれば、「すべてはプロローグにすぎなかった」…。カモメの大群が、いきなりザーッと船に集合!スタッフが餌付けをしたからなのだが、乗客も餌を購入しカモメに与え始める。人慣れしているのか、カモメはまったく怖がらずに近寄ってくる。鳥の表情もはっきり。餌に食らいつく彼ら(彼女ら?)の表情は、なかなかのインパクトだ。空中に投げた餌を素早くキャッチする鳥も入れば、人間の手から直接餌を食べるものも。なかには船内に突撃してくるカモメもいるので、そこでカモメを捕まえてしまう人もいるだろう。「だから、あの注意書きがあったのか」と納得。

「カモメって、カラス並にワイルドなのね…」と、同行の女子がつぶやいた。そういえば名匠ヒッチコックの映画「鳥」の、カモメの大群に襲われるワンシーンにちょっとだけ似てる。あそこまでの恐怖感はないが、お腹が減っていれば食欲全開の行動に出るのが動物の本性なのだろう。エレガントに空を飛ぶ姿とは裏腹のギャップを見るのも、またおもしろい!

このスリリングな遊覧船に乗るには、JR羽越本線・新潟駅〜酒田駅間を、週末を中心に運行している「きらきらうえつ」を利用しよう。新潟駅から乗車すること約1時間15分、桑川駅下車。車内の1号車と4号車には簡易展望スペースがあり、内陸部では緑濃い山々を見ながら、海岸部は穏やかな海を車窓から望める。夕刻であれば、日本海に溶けるように落ちていく夕陽を見るのも、また格別。真っ赤なシートがキュートなラウンジでお弁当を食べて、ゆったりのんびりするのもおすすめだ。【ウォーカープラス編集部】

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