これが元祖! 第1回「さっぽろ雪まつり」の雪像見せます

これが元祖! 第1回「さっぽろ雪まつり」の雪像見せます

札幌工業高校の生徒が制作した「ミロのヴィナス」

今年で69回を数え、世界的に有名となった札幌のイベント「さっぽろ雪まつり」。ダイナミックな雪像や美しい氷像、冬のアクティビティなど、今では264万人が訪れるほど! そんなさっぽろ雪まつりですが、第1回は学生達が作る、たった6基の雪像から始まったのです。今回は記念すべき第1回の雪像と、「さっぽろ雪まつり」の歴史をご紹介します!

■ これが「さっぽろ雪まつり」の元祖の雪像だ!

今でこそ高さ15mもの大雪像がありますが、第1回は現在でいう小雪像クラス(高さ3〜5メートル)のみ。札幌工業高校制作の「ミロのヴィナス」、札幌第二高(現・札幌西高)制作の「羆」、北海高校制作の「裸像」、北辰中学校制作の「バルザック」「セザンヌのモニュマン」、広陵中学校制作の「生徒の首」、の6基でした。

まずは、ミロのヴィナス。

今見ると味がありますね。続いてこれは?

「羆(ひぐま)」です。言われてみれば、そう見える……。

とはいえ、当時は雪像の制作方法もスコップで雪を積み上げ、雪を踏み固め、ハシゴに登り、ノミなどで削って仕上げる。現在のように電動ノコギリなどなく、完全に手作業で最大5メートルもの雪像を作り上げたのです。現在は緻密に作られた完成度の高い雪像ばかりですが、当時の雪像は非常に荒削り。各学校の美術教師が監督にあたりましたが、先生方もどう指導したらいいか分からないなか作業は進められました。

この年は暖冬で、昼間濡れた上着や手袋が夜になると凍りつき、指先を震わせながらの作業だったといいます。寒さをしのぐため、空き石油缶のガンガンストーブで体を温め、励ましあいながら「さっぽろ雪まつり」初めての雪像が完成しました。

資料は4基ぶんしかないのが残念。当時の雪像を見ると、やっぱり味がありますねえ。

■ イベントも大いに盛り上がった第1回目の「さっぽろ雪まつり」

今でこそ大通公園の1丁目〜12丁目のほかに、すすきの、つどーむと3会場が設けられているさっぽろ雪まつり。当時は大通7丁目広場だけだったそう。開催期間も現在より短く、2月18日〜19日の2日間。朝10時半に開会し、歌謡コンクールや、タンブリング、スクエアダンス、野外映画、花火大会等の催しが行われました。

当時は冬のイベントが珍しかったため、朝から市民が詰めかけ2日間で5万人の観客が訪れたんだとか。当時の札幌市の人口は約30万人。2月という寒い時期にも関わらず多くの人が訪れたことが分かります。会場整理のため警官も出動。予想以上の観客だったため、スクエアダンス中に観客が転倒する騒ぎが起こり、開始30分で中止に。野外映画は映写台が押しつぶされるなどのトラブルで、これも中止になるほど。とにかく大入り満員だったようです。ほか、定山渓温泉の宿泊券を入れた大小50発の打ち上げ花火や、歩道を利用したドッグレースなど大いに賑わい幕を閉じました。

■ どうして「さっぽろ雪まつり」は始まったのか

さっぽろ雪まつりの誕生は1940(昭和15)年までさかのぼります。札幌観光協会主事であった近藤直人さんが小樽市の北手宮尋常小学校を訪れた際、校庭で学童が雪像作りを楽しんでいるという話を聞いたことから雪まつりの構想が膨らみました。そして戦争が終わって間もない1949(昭和24)年。当時の北海道は厳しい冬に耐えながら、春を待つ生活。「大通公園で雪像の展示をしてはどうだろうか?」。近藤さんの熱い思いはどんどん周りに伝播していきます。

「冬の間、戸外に出ない市民が雪のなかで遊ぶ雪の祭典を考えましょう」と近藤さんが呼びかけ、賛同者やスポンサー、雪像制作に協力してくれる学校をなんとか集め、名称も「さっぽろ雪まつり」に決定。ポスターをデザインした栗谷川健一さんは、当時まだかけだしのデザイナー。同イベントのポスターが評判となり、その後札幌冬季五輪公式ポスターや、北海道の観光ポスターを数々手がける商業デザイナーとなりました。

■ 札幌の年中行事へと定着しその後もスケールアップ

第1回の盛況から、多くの市民が冬の催しを求めていたという事が分かり、第2回から正式に札幌の年中行事として決定。「冬季観光客の誘致と、郷土芸術の奨励を図る」という趣旨により現在まで続いています。

その後、雪像はどんどんスケールアップ。

第4回雪まつりで伏見高(現・札工)が制作した「昇天」は、当時の観客の度肝を抜きました。7〜8メートルの雪像が主流のなか、なんと高さ15メートルもの大作! 市の土木課がトラック数十台分の雪を運び入れ、ブルドーザーも導入。初めてやぐらを組み、全校生徒述べ1000人によって制作されました。

今では当たり前の光景ですが、第6回からは陸上自衛隊が参加した高さ11メートルの巨大なマリア像「栄光」が登場。雪像制作と雪輸送に携わるようになり、今では「さっぽろ雪まつり」に陸上自衛隊はなくてはならない存在となっています。

さっぽろ雪まつりが第10回を迎えるころには大雪像3基、中小雪像61基と数も大幅に増え、全国のテレビや新聞に紹介されるまでに成長。第16回に「市民雪像」の登場と真駒内会場の参加、第25回には「国際雪像コンクール」の開催、第34回にすすきの会場の参加と、移り変わりながらも進化を続け現在に至る「さっぽろ雪まつり」。

今年で69回を迎える「さっぽろ雪まつり」。その精巧なできに、思わずため息が漏れてしまう雪像のひとつひとつができあがるまでには、こうした先人たちの思いと歴史が積み重なっているのです。

思いを噛み締めて今一度、雪像を眺めてみてはいかがでしょうか?

さっぽろ雪まつりは、大通会場・すすきの会場では2月5日から12日まで。つどーむ会場は2月1日から12日までです。厳冬の北海道で、感動の雪像・氷像を眺めてみませんか?(北海道ウォーカー・松山典子)

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