なぜ関西の「道の駅」はこんなに進化するのか? 知られざるヒットの法則と人気のワケ

なぜ関西の「道の駅」はこんなに進化するのか? 知られざるヒットの法則と人気のワケ

「道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢」は、従来のテーマパークに直売所などを加えて道の駅となった「リノベーション系」の代表格

今や全国で1,134駅の登録がある道の駅。関西でも続々と新しい駅がオープンし、ますます人気に! ドライブの立ち寄りから「目的地」に変わりつつある道の駅の人気の秘密を、プロに聞いてみた。

■ 続々とオープン。注目のリノベーション系は「一日滞在できる」道の駅

1993年に第1回登録として103駅から始まった道の駅。年々その数は増え続け、今や1134駅(17年11/17時点)が全国で登録されている。もはや道の駅はドライブの立ち寄りではなく、道の駅自体が旅の目的になっていると言っても過言ではない。

「最近のトレンドで言えば既存施設のリニューアル」と語るのは全国の道の駅の情報を掲載する、ゼンリン「道の駅 旅案内全国地図」編集長の守屋之克さん。「有料公園だったような場所を道の駅化して、一日滞在できる目的地型の施設にしている場所が増えてきています」

 関西では15年オープンの「丹後王国『食のみやこ』」(京都府京丹後市)や、昨年オープンの「神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢」(神戸市)がまさにそれだ。両道の駅共既存の農業公園&テーマパークをリニューアル。手作り体験やホテルなどの宿泊施設を完備するなど、これまでの道の駅とは明らかに違う大型施設だ。「『丹後王国 『食のみやこ』』は、民間経営のノウハウを取り入れ、リニューアル後、利用者数が5倍になりました」(守屋さん)など、リノベーション系道の駅の成功例として注目を集めている。

 一方、「トレンドではないのですが、これまで観光地としてあまり注目されていなかったエリアが、道の駅の影響で注目されています」と語るのは大手旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」の三橋竜二さん。同社では15年に初めて道の駅ランキングをスタート。年々アクセスが増え、現在ではほぼ全国の道の駅を網羅するほどの人気ジャンルに。「『舟屋の里 伊根』のある伊根町、『スプリングスひよし』のある南丹市など、それまで京都観光といえば市内でしたが、道の駅のために郊外の注目度が上がっています」

■ 関西ならでは? 全国的に見てバイキングが多い

 全国的に人気の道の駅だが、地域的な特性などがあるのだろうか。「関西に関して言えば、バイキングを行っている道の駅が多い気がしますね」と守屋さん。「愛彩ランド」(大阪府岸和田市)、「京丹波 味夢の里」(京都府京丹波町)など、関西では当たり前に思えるバイキングだが、実は全国的には珍しい方だという。

また、「京丹波 味夢の里」(京都縦貫自動車道)、「かつらぎ西」(京奈和自動車道)のように、高速道路のSA的な機能として整備される道の駅が多いのも関西の特徴だという。「高速道路ではありませんが、名阪国道沿いにある『針テラス』もそんな感じで人気がありますね」と三橋さん。今後もリニューアル型やSA・PA型などの道の駅のオープンに期待がかかる。

もっとも、「一見ハイペースで増え続けているように見えますが、実は昨年関西で新たに登録された道の駅はわずか4駅。全国でも27駅に過ぎません」(守屋さん)。意外な数字だが、昨今の道の駅人気は新規オープンが支えているのではなく、既存施設がしっかりその魅力を伝えられるようになってきた結果だと、守屋さんは分析する。

■ ヒット道の駅は、スタッフが活気にあふれている

では、人気のある道の駅と、そうでない道の駅の差とは? 「淡路島の『あわじ』(兵庫県淡路市)や『うずしお』(兵庫県南あわじ市)は目の前にキレイな海景色があり、地元の幸が味わえるなどランキングでもつねに上位にランクインします。全国的に見ても、美しいロケーションとその土地ならではのグルメがそろっている道の駅は人気が高いですね」(三橋さん)。

そのとおり立地条件、地域特性が重要な要因であることは確かだ。ただ2人とも共通して重要だと言うのが、スタッフのこだわりと活気(やる気)。「こだわりが見える道の駅はどこも自信に満ちてますね。それがスタッフのやる気につながり、道の駅全体に活気があふれます」と守屋さん。

一方の三橋さんも「やる気のある道の駅は、いろんな試みをしています。目玉商品を開発したり、その地域の特色を出して、それがリピーターにつながるのではないでしょうか」と言う。淡路島たまねぎで現在人気の「道の駅 うずしお」のように、商品開発はもちろんSNSでも情報発信。SNS全盛期ならではの成功の一つのヒントになりそうな気がする。

「今後も大型化の道の駅は増えて、人気は出ると思います。でも個性的な道の駅も人気が出るのでは」と三橋さんは二極化を予想する。守屋さんは「各国語のパンフレットがある『丹後王国『食のみやこ』』など、外国人旅行者が気軽に立ち寄れる道の駅が増えてくるでしょう」。また、収穫体験から一歩進んで、クラインガルテン(市民農園)のような機能を持った道の駅なども増えるかも知れないという。

■ 地域ならではのグルメが、道の駅の魅力の原点

最後に、達人でもあるおふたりに道の駅の楽しみ方を聞いてみた。「スタンプラリーなど、全国共通のものを集めて楽しむのもいいですが、道の駅といえばやはり“その土地ならでは”のものを楽しみたい」。守屋さんいわく、奈良の道の駅の多くでコンニャクが販売されているそう。そこで串コンニャクなどの食べ歩きを提案する。ほか、和歌山のサンマ寿司、福井、滋賀、京都の鯖寿司の食べ比べなども地域差、作り手の違いがわかって楽しいとか。

「道の駅によっては土日祝だけ販売するものや、期間限定商品もあります。例えば、北近畿豊岡自動車道の『但馬のまほろば』は、3月中旬まで旬の岩津ねぎを使った料理なども味わえます」と三橋さん。

その地域の魅力が凝縮された場所が道の駅。まだまだ進化が続くかぎり、「いつまでも道の駅旅」(守屋さん)が続けられるだろう。

<この方に聞きました>

(株)ゼンリン 道の駅 旅案内全国地図 編集長 守屋之克さん=1971年神奈川県生まれ。10年以上同誌の編集に携わる道の駅のプロ。仕事以外にプライベートでもキャンピングカーに乗って全国の道の駅巡りをするのが趣味。訪ねた駅数は950か所を超える。3月中旬に新版を発行予定

トリップアドバイザー シニアマーケティングマネージャー 三橋竜二さん=1968年滋賀県生まれ。旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」でマーケティングと広報を担当。趣味はオートバイ。ツーリングなどで自身も、関東エリアはもちろん、北海道などの道の駅や高速道路のSA・PAを訪れる ※情報は関西ウォーカー18年2月6日発売号より【関西ウォーカー編集部】(関西ウォーカー・折笠隆)

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