ファイザーが22年、医療用医薬品で世界1に早々に返り咲いた理由

ファイザーが22年、医療用医薬品で世界1に早々に返り咲いた理由

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 昨年6月28日の企業・産業欄に、『アステラス製薬に見る、世界で闘う大手製薬企業の「定め」』と題する記事を掲載した。前2021年3月期の営業利益が44.2%減と大幅に低下した背景を、決算発表資料を読み込み記したものだ。結論だけ記すと「特許切れ」「販売独占期間満了」を、10年余りの時間と継続コストを要する「(大型)新薬でカバーしていかない限り伸長は止まらざるをえない」という内容だった。

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 医療用医薬品の市場自体は着実な伸びを見せている。厚労省の『医薬品産業ビジョン』によると2010年には8兆8820億ドルだったものが、19年には12兆6240ドルに拡大しているとしている。斯界の専門紙:日刊薬業のWeb版は4月6日付けで20年の地域・国別シェア上位5を集計している。「北米:44.0%、日本:16.2%、ドイツ&フランス:各4.7%、中国:1.4%」。この限りでも、日本の「高齢化社会に伴う社会保険費負担増」を垣間見ることが出来る。

 そうした状況下で、日本の医療用医薬品企業は武田薬品工業をはじめ大手が「世界のトップテン企業入り」を標榜している。アナザーニュースによると20年の売上高で、「ロシュ(スイス)、ノバルティ(同)、メルク(米)、アッヴィ(米)、ジョンソンエンドジョンソン(米)」に続き武田薬品は第10位にランクインしている。業界のアナリストは「上位9社のランキングは不動と言って過言ではない」としてきた。

 が、前記の日刊薬業は「自社集計」として、「21年の売上高には変動が見られた」とした。

 最大の変動は20年には特許切れ製品や後発医薬品を新会社(ヴィアトリス)に移管し、8位までランキングを下げていたファイザーが早々に1位に返り咲いた点。前年比95.2%増収の812億8800万ドル(123円台にある円換算で)、初の10兆円医療用医薬品企業の誕生である。

 周知の様にその背景には「コミナティ」、新型コロナウイルスワクチンの存在がある。ファイザーでは22年も「コミナティ:売上320億ドル、経口コロナ治療薬パクスロビド:220億ドル」を見込み、1000億ドル前後の売上高を見込んでいるという。ちなみにランキングでは上位15社入りにも及ばないが、新型コロナワクチンで業績を一変させたモデルナも前年比23倍の売上高184億ドルとなっている。

 国際的な医療用医薬品企業の成長は、前記の通り「新薬の発売」がポイントになるがそれをM&Aで実現するというケースも少なくない。例えば10位に躍進したアストラゼネカ(英)は新型コロナワクチン(ウィルスベクターワクチン)効果もあるが、アレクシオン(米、希少疾患薬に強み)の買収が効いた。

 さて前記のアナザーニュース調べで20年に「10位」となった武田薬品は、どうか。今3月が計画通りの着地(3兆5100億円:約280億ドル)なら、11位水準になる。

 国際的医療医薬品メーカー上位10位の壁は、やはり厚い!?

(千葉明)

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