【e-BOXER vs.スカイアクティブD】CX-5オーナーも気になる!新型フォレスターの魅力と実力

【e-BOXER vs.スカイアクティブD】CX-5オーナーも気になる!新型フォレスターの魅力と実力

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2018年6月にフルモデルチェンジした「フォレスター」。最大の注目は、なんといっても歴代モデルで初となるモーター搭載車の追加だろう。

SUBARU(スバル)が“e-BOXER(イー・ボクサー)”と呼ぶこのシステムは、お馴染みの2リッター水平対向4気筒・自然吸気エンジンに、モーターとリチウムイオンバッテリーを組み合わせたハイブリッド機構だ。

すでにテストコースでの試乗レポートはお届けしているが、先日、ようやく公道でのe-BOXER試乗が叶ったので、今回はその印象をお伝えすることにしよう。

■時代を反映!? 新型フォレスターからターボが消えた

試乗に入る前に、まずは新型フォレスターについておさらいしておこう。

新型のパワートレインは、2リッター自然吸気エンジン+モーターのe-BOXERと、2.5リッター自然吸気エンジンの2種類。最上級グレード「アドバンス」はe-BOXERを搭載。そのほかの「ツーリング」、「プレミアム」、「X-BREAK(エックス・ブレイク)」という3グレードは、2.5リッターとの組み合わせとなる。

「速いクルマが好き」という人にとっては残念なことだが、これまでフォレスターのイメージリーダーを務めていたターボ仕様は、新型には(現時点では)ラインナップされていない。フォレスターといえば、初代モデルのデビュー当初、ターボ車しかラインナップしていなかったほどターボエンジンとの結びつきが強く、ターボエンジンとともに歩んできたクルマ。そんなターボがなくなり、新たにハイブリッドが加わった点は、フォレスターの歴史にとって大きなニュースといえるだろう。
■モーターのアシスト感をしっかり感じられるe-BOXER

話を新型のe-BOXERに戻そう。ハイブリッドカーといえば、エンジンを止めてモーターだけで走行することも多い…というのが、一般的なハイブリッドカーに対するイメージかもしれない。だが、新型フォレスターに搭載されたスバル独自のe-BOXERは、それとは印象が異なる。

e-BOXERが搭載するモーターの最高出力は13.6馬力/10kWで、ハイブリッドカーの代表格であるトヨタ「プリウス」のフロントモーター(72馬力/53kW)と比べると、かなり低い。そのため、プリウスのように「エンジンとモーターが強調して走る」というよりも、「エンジンをベースに、モーターがアシストしながら走る」というイメージなのだ。つまりe-BOXERは、いわゆる“マイルドハイブリッド”であり、スバルが“ハイブリッド”ではなく“モーターアシスト”と呼ぶ理由もそこにある。

公道でドライブしたe-BOXERは“SIドライブ”のモードによって印象が大きく違った。

SIドライブは、エンジン特性などを変化させるスバル独自のドライブモードセレクターで、フォレスターe-BOXERの場合、「I(インテリジェント)」モードと「S(スポーツ)」モードの2パターンから選択できる。モードを切り替えて変化するのは、ガソリンエンジンの場合“アクセルペダルの操作に対するトルクの出方”と“CVTの変速モード”だが、e-BOXERの場合、そこに“モーターの働き”も加わる。

e-BOXERのIモードは「アシストは控えめだが、モーターのみの走行も最大限行う」というプログラムで、Sモードでは「モーターによるアシストが多めだが、モーターのみで走る状態にはならない」制御になっている。つまり、e-BOXERのIモードは効率重視、Sモードは動力性能重視の内容だ。

e-BOXERにおいてハイブリッドらしさを最も感じるのは、街中での走りだが、例えば、信号待ちをしていてアイドリングストップの状態から発進するというシーンにおいては、Iモードでは信号が変わってドライバーがアクセルペダルを踏み込むと、エンジンが止まったままクルマがスルスルと動き出し、ある程度走ったところでエンジンがかかる。これがSモードだと、ドライバーがアクセルペダルを踏むとすぐにエンジンがかかって発進。そこからの加速も、グイッと後ろから押されるような、モーターのアシスト感をしっかり感じられるものだった。

ちなみにモーターアシストは、速度域が高い状況でもアクセルペダルを踏むと機能するが、感覚としてモーターのアシストを体感できるのは80km/hくらいまで。それ以上の速度域になると、アシスト効果を実感するのは難しかった。

また、絶対的な動力性能は、速度域を問わず、2.5リッターのガソリンエンジン搭載モデルの方が上だが、燃費はe-BOXERの方が優れているのは、いわずもがなだ。
■スカイアクティブDと比べてのe-BOXERの真価とは?

ところで筆者は、最新スペックのマツダ「CX-5」ディーゼルエンジン車を所有している。そのため同じSUVとして、ハイブリッドとディーゼルというパワートレインの違いは、非常に興味深いところだ。

だから今回の試乗では、愛車に対する贔屓目もあって「e-BOXERのウィークポイントを見つけてやる!」と意気込んで(?)、いつもよりも真剣にe-BOXERの動きをチェックしてみた。しかしどう解釈しても、CX-5ディーゼルではフォレスターe-BOXERに太刀打ちできないと思える壁にぶつかった。それは快適性における領域だ。

CX-5が搭載するディーゼルエンジン“スカイアクティブD”は、マツダが誇る技術を駆使し、ディーゼルエンジンとしては世界に見ても、騒音も振動も少ない優秀なパワートレインに仕上がっている。しかしハイブリッドユニットの快適性においては、どう贔屓目に見ても、e-BOXERの方がディーゼルより数段上なのだ。

例えば、先述したアイドリングストップから発進するというシーンでは、スカイアクティブDの場合「ブルン」とエンジンがかかってから発進。その際、どうしても音や振動が乗員に伝わってくる。それに対し、Iモードのフォレスターe-BOXERでは、エンジンはかからず、モーターだけでスルスルと走り始め、遅れてエンジンが始動する。その際のエンジン始動音も、タイヤなどからの走行音に交じって聞こえてくるため耳障りではなく、とにかくスムーズな印象。この快適さは、ドライバーよりも同乗者の方がより魅力的に感じるはずだ。

また加速フィールも、ディーゼルとしては優れているとはいえ、ザラザラとしたエンジンの感覚を完全には払拭できていない愛車CX-5のスカイアクティブDに対し、フォレスターe-BOXERはひたすら滑らか。ハイブリッドカー最大のメリットは省燃費と思われがちだが、この滑らかな加速フィールと始動時の優れた快適性こそが、実はe-BOXERの魅力だと確信させられた。

一方、加速の力強さに関しては、CX-5のスカイアクティブDがe-BOXERを圧倒。190馬力、45.9kgf-mというスペックに偽りはなく、低回転域から分厚いトルクが立ち上がる。グググッと背中を強力に押されて走り出すCX-5ならではの加速感は、負け惜しみなどではなく、やはりとても気持ちいいものだ。

というわけで、滑らかで快適な走りを求めるならフォレスターe-BOXER、パンチある走りを求めるならCX-5スカイアクティブDというのが、個人的な結論になる。SUVに何を求めるかは人それぞれだが、快適性を重視するのであれば、フォレスターのe-BOXERはとてもいい選択だと思う。

ちなみに、時としてエンジンが止まり、モーターだけで電気自動車のように走るハイブリッドカーの走行感覚が好きではない、という人も少なくない。そんな、エンジンで走るフォーリングが好きなドライバーにとっても、あくまでベースはエンジン駆動で、モーターはエンジンの代わりではなく、過給機のようにトルクアップに作用する黒子に徹したe-BOXERは、まさに打ってつけのパワーユニットといえるだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆アドバンス
ボディサイズ:L4625×W1815×H1715mm
車重:1640kg
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 水平対向4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
エンジン最高出力:145馬力/6000回転
エンジン最大トルク:19.2kgf-m/4000回転
モーター最高出力:13.6馬力
モーター最大トルク:6.6kgf-m
価格:309万9600円

<SPECIFICATIONS>
☆X-BREAK
ボディサイズ:L4625×W1815×H1730mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:184馬力/5800回転
最大トルク:24.4kgf-m/4400回転
価格:291万6000円

<SPECIFICATIONS>
☆プレミアム
ボディサイズ:L4625×W1815×H1715mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:184馬力/5800回転
最大トルク:24.4kgf-m/4400回転
価格:302万4000円

(文/工藤貴宏 写真/SUBARU、&GP編集部)

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