吉田由美の眼☆スバルのお仕事拝見!自動車運搬船で働くプロの船積みワザにビックリ

吉田由美の眼☆スバルのお仕事拝見!自動車運搬船で働くプロの船積みワザにビックリ

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バラエティに富んだ面白い企画で、メディア向けにスバル(SUBARU)車の魅力をアピールしてくれる「スバルテックツアー」。さまざまな角度からスバルブランドに触れられるイベントで、過去には、中島飛行機を前身とするスバルの歴史に触れられる企画や、スバルが担当するボーイング787の中央翼製造工場の見学といった、航空機関連のイベントもありました。

第9回目となる今回は、神奈川県川崎市にあるスバルの海外輸出拠点のひとつ、東扇島物流センターの見学会。スバル車の多くはここから自動車運搬船に積み込まれ、海外市場へ輸出されます。というわけで今回は、その巨大な船と、クルマを積み込むプロのテクニックを目の当たりにしてきました!

■前後30cm、左右10cmの間隔でクルマが並んでいく

集合場所となった川崎マリエンの目の前にあるのが、スバルの東扇島物流センター。その奥に広がる埠頭に、巨大ビルのような大きな船が接岸していました。これが、商船三井が所有する自動車運搬船「バイオレット・エース」。バハマ船籍でオーナーはギリシャ人とのこと。商船三井の自動車運搬船は、そのほとんどが自社所有とのことですが、そのうちの何隻かは、こういったレンタル形式のものもあるのだとか。

ちなみに現在、スバルが海外市場向けにクルマを輸出する港は、日本国内に5カ所ありますが、東扇島物流センターは国内最大規模で、北米専用の輸出拠点。5万uの敷地内には、最大6000台のスバル車をプールできるそうです。

今回見学したバイオレット・エースのサイズは、全長189.3m×全幅32.26m、総トン数は4万9708トンで、その中に5031台の小型車を積載可能。船内は11デッキ(11階)に分かれていて、まずは下層エリアでクルマの積み込みシーンを見学します。

埠頭に並んでいたクルマが次々と船内に運び込まれていきますが、この時のドライバーのテクニックにビックリ。船内では前後30cm、両サイドは10cmの間隔でクルマが並べられていくではありませんか!

この時、ドライバーはサイドミラーを使わず、車外にいる誘導員の指示だけを頼りに、最後はバックで所定の位置に並べていきます。そのため、ドライバーと誘導員の意思疎通が肝心で、ドライバーの運転技量もさることながら、それ以上に“シグナルマン”と呼ばれる誘導員のスキルが需要だといいます。

車内に整然とクルマを並べていくのは、1チーム20名で構成されたドライバーとシグナルマン。ドライバーは船外から船内へとクルマを運び込み、並べ終わったらミニバンに乗り込んでまた外へ出て、再び船内にクルマを運び込むという作業の繰り返し。ちなみにこの日は、新型「フォレスター」を含め、約1400台のクルマが船内へと積み込まれていました。
■荷の軽い自動車運搬船は操船が難しい

続いて見学したのは、船内のエンジンルーム。バイオレット・エースが搭載するエンジンは、3400リッターの6気筒2ストロークディーゼル。パワーは1万8000馬力で、これはフォレスターの約100倍に相当する値なのだとか。ちなみにこのエンジンは、日本とアメリカ間を往復すると、約1000トンの燃料を使用するといいます。また船内では常時、自家発電が行われていて、家庭用に換算すると1300世帯に電力を供給できる分を発電しているとのこと。

続いて最上階へ。ここには、操船室や乗組員が生活するスペースがあります。バイオレット・エースの乗員は、船長(キャプテン)を含めて21名。商船三井が運行させているからか、日本をイメージさせる絵や盆栽などが至るところに飾られていました。

その後、キャプテンの仕事ルーム、機関長の仕事ルーム、キャプテンのプライベートルーム、クルーたちの部屋を次々と見学。すべて部屋のドアには役職名が書かれていて、誰の部屋かがひと目で分かるようになっています。そのほか、レストラン、食材のストック庫、トレーニングルームやサウナなど、まるでホテルのような施設も用意されていました。

自動車運搬船は一度航海に出ると、途中で目的地や中継の港に寄港するものの、元の港に帰って来られるのは3〜6カ月後なのだとか。クルーの皆さんにとっては、なかなか過酷なお仕事ですね。

一見すると、バイオレット・エースは超巨大船に思えますが、これでも、石油を運ぶタンカーなどに比べればまだまだ小さいのだとか! クルマは1台当たり1500kgくらいで、それを何千台も積み込むのですから“重い荷物”と想像しがちですが、石油など液体物の方が、ずっとずっと重い荷物なのだそうです。とはいえ、重い荷物を積んだ方が船は安定するため、荷の軽い自動車運搬船は、逆に操船が難しいとのこと。

そうこうしているうちに、船内へのクルマの積み込みも無事に完了。バイオレット・エースはアメリカ・ワシントン州のバンクーバーを経由し、カリフォルニア州のリッチモンドへ向けて17日間の航海に出発していきました。
■レアなe-BOXER搭載のフォレスターをドライブ!

今回は、バイオレット・エースにも積み込まれていた、新型フォレスターをドライブする機会にも恵まれました。

新型フォレスターは5月に発表され、9月上旬までに1万2073台を受注。そのうち、2リッターのマイルドハイブリッド機構“e-BOXER”を搭載する「アドバンス」グレードが受注台数の4割を占めているとのことで、新型は“新しモノ好き”の人たちにウケているように見受けられます。

個人的には、e-BOXERはなんといってもネーミングが素晴らしいと思います。スバルといえば「水平対向の“ボクサーエンジン”」と多くの人が連想するくらい、スバルの代名詞的なメカニズム。低重心で振動が少ないというメリットを持つボクサーエンジンに“e”の冠がつくと、まさに“エコなボクサーエンジン”というイメージは湧いてきますからね。

e-BOXERは、いい意味で、ハンドリングや加速感にクセがありません。アクセルペダルを踏んでも、ハンドルを切っても、ブレーキを踏んでも、つまり、クルマの基本である“走る・曲がる・止まる”が自然なフィーリングなのです。e-BOXERのモーターは、声高に主張してくることもなく、かといってエンジンが頑張っているわけでもなく、ともに自然と寄り添っている感じ。

乗り比べてみると、確かに2.5リッターのガソリンエンジンの方が、e-BOXERよりも排気量が大きい分、加速などは滑らかで余裕を感じますが、どこか武骨な印象。とはいえ2.5リッターの方が、従来のスバルらしさは色濃いかもしれません。

そういえば、今回見学した自動車運搬船バイオレット・エースにも、新型フォレスターが何台も積載されていました。でもそれらは、すべてガソリンエンジン車。今のところ北米仕様はガソリン車のみなのです。つまり今、e-BOXERに乗れるのは日本だけ。e-BOXERはまだまだレアな存在なのです。

(文/吉田由美 写真/SUBARU、&GP編集部)

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