【マツダ3雪上試乗】“第7世代”はマツダ渾身の作!過酷な環境で本当の実力が見えた

【マツダ3雪上試乗】“第7世代”はマツダ渾身の作!過酷な環境で本当の実力が見えた

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海外市場でマツダ「3(スリー)」と呼ばれてきた「アクセラ」。間もなくデビュー予定の新型は、2019年に発売されるニューカーの中で、ひときわ高い注目を集めている。

新型マツダ3が属すカテゴリーは、Cセグメントと呼ばれる、いわゆるフォルクスワーゲン「ゴルフ」クラス。日本車でいえば、スバル「インプレッサ」やトヨタ「カローラスポーツ」、そして、同じく2019年に登場が予定されている「カローラセダン」などがライバルとなる。

ちなみに、新型マツダ3の登場を機に、日本市場においても、車名がアクセラから3へと変更される見込みだ。なぜ名前が変わるのか? 実は今回のフルモデルチェンジは、メカニズムにおいて大きな世代交代を伴う、マツダにとって重要な意味を持つモデルチェンジだからである。

アクセラからマツダ3へのフルモデルチェンジを皮切りに、以降のマツダ車は“第7世代”と呼ばれる、新しい技術の投入を前提に開発された新世代商品へと生まれ変わる。現行“第6世代”商品の口火を切ったのは、2012年にデビューした先代「CX-5」。それから7年の時を経て、再びマツダ車が飛躍を遂げようとしているのだ。

その第1弾となる新型マツダ3の試作車両を、先日、北海道の雪上でドライブするチャンスを得た。そこで今回は、その時に感じた、新型マツダ3の実力を予測したいと思う。

■ハッチバックとセダンでフロントフェンダーを作り分け

新型マツダ3は、2018年12月に開催されたロサンゼルスモーターショー2018で実車が公開され、その概要が明らかになった。

まずボディは、全長4459mmのハッチバックと、同4662mmのセダンという2タイプが用意される(各スペックは北米仕様車のもの)。ハッチバックは、ライバルに個性で差をつけるべく、キャビンを小さく見せたアバンギャルドなデザインとし、一方、セダンの方は、保守的なユーザーにも受け入れられるデザインに仕立てている。

特にセダンは、ひとクラス上の「アテンザ」の初代(全長4670×全幅1780mm)に近いボディサイズとなり、見た目も立派。また、全長が伸びたことでラゲッジスペースが拡大されるなど、実用性も高まっている。そして驚くのは、ハッチバックとセダンとで、フロントフェンダーすら共用していないこと。それくらい、ハッチバックとセダンのデザインは、明確な差別化が図られている。

日本仕様のパワートレーンは、1.5リッターのガソリンエンジン、1.8リッターのディーゼルエンジン、そして、量産車としては世界初となる、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)方式を採用した2リッターの“スカイアクティブX”が搭載される見込みだ。

また、車体も全面的に刷新。新しい発想を取り入れたボディ構造や、新機軸のリアサスペンションを採用して走りのクオリティを追求するなど、新型マツダ3はその大部分が、これまでの第6世代から刷新されている。
■フラッグシップを超えたインテリアの質感

そんな新型マツダ3に乗り込んでまず驚くのは、インテリアの精緻な作り込みだ。お世辞抜きに、Cセグメントのクルマとは思えないほど、質感が高いのだ。

天然の革の表情を巧みに再現した革シボ。レーザー加工で柄を刻み込んだ上にカラークリア層を載せた2層成型のシフトパネルなど、深みと透明感にこだわって仕立てた樹脂パネル。そして、スイッチ類の緻密な造形…。それらの仕上がりは、文句なしにクラスを凌駕しており、日本車はもちろん、欧州のプレミアムブランドのクルマですら追い抜いた印象を受ける。

開発責任者の「マツダのフラッグシップであるアテンザを超えた仕上がり」という自信たっぷりのコメントや、ロサンゼルスモーターショー2018で展示車両を見たライバルメーカーの開発エンジニアによる「このクラスのクルマとは思えないほどコストがかかっている。信じられない!」という感想が、素直に納得できる仕上がりだ。
■シートを始めとする“運転環境”をブラッシュアップ

マツダは常々“人間中心のクルマ作り”を声高にアピールし、「人馬一体となるためには運転環境を整えることが重要」と語る。それを裏づけるかのように、新型マツダ3はドライビングポジションも再構築されている。

例えば、ステアリング位置の前後調整量は、前後それぞれ10mm拡大され、計70mmの調整幅を確保。また、電動ではなく手動調整式のシートであっても、運転席の座面角度をドライバーに合わせて細かくアジャストできるなど、さまざまな調整機能が充実している。

しかし、それ以上に磨き上げられているのが“理想の運転姿勢”だ。人間にとって最も自然で、しかも能力を最大限に生かせる状態は“歩行時の姿勢”という結論に達したマツダ技術陣は、運転中の乗員の脊柱が、S字カーブを保てることを理想とした。そのためには、人の骨盤をいかに支えるかが重要となるが、技術陣はそのカギを“骨盤を支える角度”だと導き出したのである。

それを踏まえた上で新設計されたシートは、座り心地が良好で、自然なドライビングポジションを採ることができる。今回は短時間の試乗で、その真価を存分に味わうことはできなかったが、きっとロングドライブになるほど、メリットを感じられることだろう。
■GVCの進化でドライバーの意のままに走る!

今回、新型マツダ3の試作車両を雪上でドライブしたのだが、そこで最も驚かされたのは、“GVC(Gベクタリングコントロール)プラス”と呼ばれる、マツダ独自の車両運動制御技術の進化だ。

GVCは、クルマが旋回を始める時などに、エンジン出力をドライバーが感じ取れないくらい、ほんのわずかに落とすことで、タイヤの接地力を高め、ハンドル操作に対するクルマの反応を、忠実にしてくれる仕掛け。その進化版であるGVCプラスでは、さらにブレーキへの介入も実施。旋回状態から直進状態に戻るタイミングでの、車体姿勢の回復力を高めているのがポイントだ。

今回の試乗会では、GVCプラスの作動をオン/オフできる特殊な開発車両に乗り、雪上で旋回性能を試す機会を得た。まずはGVCプラスがオンの状態で走行すると、ドライバーの操作に対し、素直に車体が反応してくれることを実感できた。

続いてGVCプラスをオフにしたところ、その違いは明らか。オンの際は動きが滑らかで挙動が乱れず、さらには、ドライバーがハンドルを切るとクルマが素直に反応。そのため「クルマがドライバーのいうことを効かず、スッと曲がらない」といったことがないのだが、GVCプラスをオフにすると、たちまちそうした挙動が顔を出す。雪上のような滑りやすい路面にとどまらず、舗装路などでも同じ挙動を再現してくれるはずだから、運転時の“疲れ”はかなり軽減されるに違いない。
■その気になればドリフトも楽しめる新4WDシステム

新型マツダ3は、4WDシステムも進化している。今回の試乗会には、「CX-3」にそのシステムを搭載した試作車両が用意されていて、気になる実力をチェックすることができた。

新システムは、4WDのコントロールユニットをエンジンコントローラーと統合したことで、それぞれの制御間の“ズレ”を解消。また、荷重がかかっているタイヤに重点的にトルクを送るようにしたことで、駆動ロスを軽減させている。さらには、4WDシステムをGVCプラスと連携させることにより、曲がりやすく、安定しやすいという、相反する挙動も両立できるようになった。

そうした考え方の根底にあるのは、タイヤの力を引き出すこと。開発担当者が「前輪駆動をベースとしたシステムであるものの、その気になればドリフト走行も楽しめる4WDです」と豪語するように、玄人ドライバーをうならせるフットワークの良さを実現。その一方、スラロームやワインディングで従来の4WDシステムと比較しながら走ると、新しいシステムのスムーズな挙動に驚かされた。いうなれば、ドライバーの思い通りに、まるで手足のようにしっかりと走る、といった印象。それを滑りやすい雪道においても実現しているのだ。
■新型マツダ3は、果たしてどれくらいの仕上がりか?

今回は短時間、しかもスタッドレスタイヤを履いた試作車両で雪の上で走ったに過ぎないが、そんな“チョイ乗り”でも感じられたのは、クルマが秘めたポテンシャルの高さ。GVCプラスも、進化した4WDシステムも、それぞれの“パート”でしっかりと高い実力を感じさせる。そして、それぞれの集合体となる新型マツダ3の実力は、かなりハイレベルであることが予想できた。

あえて力を逃がしてバランスを保つボディの設計思想や、従来とは異なる考え方でサスペンションとのマッチングを考慮した“柔らかい”タイヤ、そして、しっかり曲がるための高い剛性を求め、あえて導入されたトーションビーム式のリアサスペンションなど、新型マツダ3には、これまでのクルマ作りにはなかった、数々の新発想が盛り込まれている。

新型マツダ3は、同社渾身の第7世代、その初陣を飾る大事なモデルであると同時に、もしかすると、今後の日本車のあり方を変えていくエネルギーを秘めた、注目の1台になりそうだ。

(文/工藤貴宏 写真/マツダ)

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