スクーターだけど悪路だってイケる!ホンダ「X-ADV」は走るステージを選びません

スクーターだけど悪路だってイケる!ホンダ「X-ADV」は走るステージを選びません

スクーターだけど悪路だってイケる!ホンダ「X-ADV」は走るステージを選びませんの画像

気軽にスクーターと呼ぶには、あまりにメカメカしいすごみを感じさせるホンダ「X-ADV」。新世代ナナハン「NC750S」の、いわば変身バージョンです。

そのため、ボディ構造は一般的なスクーターで用いられるバックボーン形式ではなく、高い剛性が得られるダイヤモンドフレームタイプ。750cc直列2気筒エンジンと、DCTことダブルクラッチ式の6速ATを組み合わせたパワーパックも、ボディ剛性確保の一端を担っています。

また、一般的なスクーターとは異なり、リアサスペンションのスイングアームにエンジンやギヤボックス(CVT)を組み込むことなく、独立したパーツとして機能します。X-ADVのそれは、贅沢にもアルミ合金の一体型。そのため、通常のスクーターとは次元の異なる、走るステージを選ばない路面追従性を得られるのです。

■DCTがダイレクトで切れのいい変速を実現

X-ADVのベースとなったNC750Sは、NC(ニューコンセプト)の名の通り、2気筒エンジンを前方に大きく倒して搭載。燃料タンクをリアシート下に移し、見かけ上タンクの部分をラゲッジスペースにするという、斬新なアプローチを採ったモデルで、便利な実用ナナハンとして高く評価されています。また派生モデルとして、今回紹介するX-ADVのほか、アドベンチャー志向のロードバイク「NC750X」もラインナップされます。

早速X-ADVにまたがってみましょう。790mmのシート高はNC750Sのそれと同じですが、シートクッションの幅が広いこともあり、身長165cm(足短)の筆者だと、両足がつま先立ちになりがち。車重が238kgと重いこともあって、一抹の不安を覚えます。

初めてX-ADVに接して驚くのは、ハンドルバー回りのスイッチの多さ、物々しさ。ウインカー、ホーン、ライト、そしてハザードといったスタンダードなスイッチに加え、グリップヒーター、ギヤのアップ/ダウン、トラクションコントロール、ニュートラルやドライブモードを選ぶ“N-Dスイッチ”、AT/MTの切り替え、さらにオフロード走行時に使う“G-スイッチ”まで備わり、にわかライダー(←ワタシのことです)をおびえさせます。

先走って白状しますと、オンロードで普通に乗るに当たって使用したスペシャル機能は、ドライブモードの「S」くらいでした。通常の走行モードである「D」と比べ、Sモードではエンジンやトランスミッションの設定をスポーティに変更できます。しかも3段階に!

ダイレクトなフィールと切れのいいシフトが自慢のDCT。X-ADVのそれは、マニュアルモードではもちろん、オートマの状態でもシフトアップ/ダウンのボタンを使って任意にギヤを変えられます。例えば、カーブの手前でギヤを落としてエンジンブレーキを利かせるのも簡単。しばらくするとATモードに復帰するので「コレは便利!」。

…と思っていたのですが、先の3種類のSモードから好みのスポーツ度を選択すると、ほぼ望み通りに自動で変速してくれます。そのシフトプログラムの巧みさ具合は、ブッちゃけ「シフトボタン、いらないかも」と感じるほど。実際、すぐに使わなくなりました。

745ccの2気筒ユニットのアウトプットはNC750Sのそれと同スペックで、54馬力/6250回転の最高出力と、6.9kgf-m/4750回転の最大トルクを発生。「ズビズビ」と独特のビートを響かせながら、力強くX-ADVを押し出します。
■大容量の荷室を備えた豪華な高速ツアラー

先進機能満載のX-ADVですが、基本装備も充実しています。前輪は17インチ、後輪は小径化されますが、それでも15インチ。フロントダンパーは直径41mmの倒立タイプで、ブレーキはダブルディスクに4ポッドのキャリパー。しかも、ブレーキユニットの剛性を取りやすいラジアルマウントです。ビックリですね!

リアサスペンションは、前述の通り構造そのものが贅沢です。前後サスともプリロードの調整機能付き。細かいことですが、タイヤの空気圧を調整するバルブがL字型で外側に突き出す形なのもありがたい。ガスステーションなどで気軽にチェックできますからね。

日常的にスポーティな走りを楽しめるX-ADVはまた、シート下に21Lの荷室を備えた豪華な高速ツアラーでもあります。1580mmと長めのホイールベースを活かして、高速道路では高い安定性を誇ります。

ありがたいのは、フロントの大きなスクリーンが、5段階に高さを調整可能だということ。街乗りでは低い位置にしてスポーティルックに。高速道路で乗る時には、左手を伸ばしてダイヤルを回し、スクリーンを引き上げます。すると効果は抜群。ちょっと上体をかがめれば、前方からの風を直接的に受けずに済みます。

オフローダー感を醸す手元のナックルガードは風よけとしても機能する上、さらに! これまた段階に温度を変えられるグリップヒーターが標準で装備されます。寒い季節には、ありがたいかぎりです。
■スキッドプレート装着で未舗装路にも備える

X-ADVの価格は、127万3320円(マットビュレットシルバーは124万0920円)。単純計算で、NC750S(DCTモデル)の約5割増しです。小心者の自分などはちょっとたじろぐ金額ですが、その分、万能性はさらにアップ。

具体的には、オフロード走行も視野に入れられています。3段の切り替え式になっているトラクションコントロール“Hondaセレクタブルトルクコントロール”は機能をオフにでき、また、G-スイッチはDCTのレスポンスをさらに鋭敏に。いずれも積極的に姿勢をつくって、マシンをライダーの支配下に置こうとするものです。X-ADVは、跳ね石などを跳ね返すスキッドプレートを腹部に装着。未舗装路でのアグレッシブな走行に備えます。

オフをもこなす潜在力を持ちながら、オンロードをバリバリ走れる万能スクーター。メカメカしい外観を裏切らないX-ADVのオーバースペックぶりには、ホント、驚くばかりです。

<SPECIFICATIONS>
☆X-ADV
ボディサイズ:L2230×W910×H1345mm
車重:238kg
エンジン:745cc 直列2気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:54馬力/6250回転
最大トルク:6.9kgf-m/4750回転
価格:127万3320円

(文&写真/ダン・アオキ)

[関連記事]
【ヤマハ SR400試乗】不死鳥のように再復活!スタイルそのまま、排ガス性能の進化で現代にアジャスト

【スズキ GSX-R125試乗】弾ける加速がクセになる!原二でも侮れないGSXシリーズの末弟

国内唯一の400ccアドベンチャーバイク、ホンダ「400X」は間違いなく楽しい!