吉田由美の眼☆メルセデス対BMWの激戦!車載“AIスピーカー”はどちらが使える?

吉田由美の眼☆メルセデス対BMWの激戦!車載“AIスピーカー”はどちらが使える?

吉田由美の眼☆メルセデス対BMWの激戦!車載“AIスピーカー”はどちらが使える?の画像

最近は、Amazon EchoやGoogle Homeといった人工知能を駆使したAIスピーカー(スマートスピーカー)が、一般のご家庭にも浸透し始めています。

先日、うかがったお宅でも、奥さまがAmazon Echoに「ハイ、Alexa!」と語りかけ、エアコンの温度設定を変更したり、照明を点けたり。奥さまいわく「すごく便利なのでもう手放せない!」とのこと。人前で呼びかけるのは抵抗があるのでは? と懸念していたのですが、話しかける方も、それを回りで聞く私も、さほど抵抗はありません。それだけ一般的になったということでしょう。

そうした波は、すでに自動車の世界にも押し寄せています。いち早く市販車へ導入したのはメルセデス・ベンツ。対話型インフォテイメントシステム“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)”を、新型「Aクラス」に搭載しています。

■クルマの成長を感じられて愛着がわくMBUX

MBUXの最大の特徴は、AIによる学習機能で、特定のユーザーに個別対応できる能力を備えているところ。中でも注目は、自然対話式の音声認識機能を備えるボイスコントールで、呼びかける際のキーワードは「ハイ、メルセデス!」。ちなみにドイツなどでは「ヘイ、メルセデス!」なのですが、日本では「ヘイ!」という言葉はあまり使われないことから、「呼びかける際に抵抗があるのでは?」とのことで「ハイ! メルセデス」になったのだとか。ちなみにお隣の中国では、「ニーハオ、ベンツ!」なのだそうです。

MBUXは、自然対話型の音声認識機能だけあって、フレンドリーかつカジュアルな呼びかけにも応えてくれるのがポイント。ナビゲーションの目的地入力や電話のハンズフリー通話設定、音楽の選択、メッセージの入力/読み上げ、気象情報の読み上げに加え、車内の照明色やエアコンの温度設定を変更することができます。

例えば、エアコンの温度設定では、具体的な温度を伝えても対応してくれますし、「暑い」とか「寒い」といった、曖昧なリクエストにも対応してくれます。さらに、運転席、助手席それぞれに座る人の声に対応し、シートヒーターのオン/オフや温度設定なども、運転席、助手席それぞれで行えるのです。

インターネットにつながっていない場合はクルマだけで応答してくれますが、ネットとつながっている際は、クラウド上のソフトウェアが新たな言葉を覚えていくのもポイント。時代によって言葉の使い方は変わりますし、これまでのような定型文のコマンドではない、普段使いの言葉で対応してくれるので、こうした学習機能は使い勝手向上のためには欠かせません。

ちなみに、ユーザーの言葉をより正確に認識するために、音声入力からバックグラウンドのノイズを除去したり、車載コンピュータとクラウドを使い、入力された音声をできるだけ理解したりするといった工夫も導入されています。

ただし、認識しやすい声の帯域というものがあるらしく、女性の高い声は認識しづらいのだとか。また、聞き取りやすいようにと大きい声で話すのも逆効果。マイクの集音性能が高いので、普通の声で話す方が認識率は高まるようです。

私もいろいろ話かけてみたのですが、ちょっと難しい話になると、すぐに“メルセデスケア”へ通話されてしまいました(苦笑)。また、車載コンピュータとクラウドの双方で言葉を認識するため、家庭用のAIスピーカーに比べると、会話のテンポ、反応はちょっとゆっくり。せっかちさんは苦手かもしれません。この辺りはある意味、オーナーとの相性次第といえるでしょう。

ちなみにMBUXには、クルマの走行に関することや、駆動に関わる話題には対応していません。また、ちょっと意地悪して「BMWってどう思う?」と話かけてみると「あなたと同じ答えです」との応えが! たくさん話かけることで多くの言葉を覚え、それに合わせていずれ反応も変わってくるでしょうから、クルマの成長を感じられて、それはそれで楽しいかもしれませんね。
■BMWはコンシェルジュのような落ち着いた声質

先日上陸したBMWの新型「3シリーズ」にも、同様のシステムが搭載されています。BMWのそれは“BMWインテリジェント・パーソナル・アシスト”と呼ばれ、会話によるドライバーの指示や質問に対応。クルマがクラウドとつながり、言葉を収集して学習・成長していく辺りは、メルセデス・ベンツのMBUXと類似しています。

BMWインテリジェント・パーソナル・アシストは、「OK、BMW!」という呼びかけからスタート。ただし「ビーエムダブル」では反応してくれず、正確に「ビーエムダブリュー」と発音しなければなりません。人によってはいいにくいかも、とBMW側も認識しているのか、“BMW”の部分は、オーナーの好きな名称に変更することができます。この点が、MBUXとの大きな違いかもしれませんね。

また、MBUXは軽やかな女性の声で対応してくれるのに対し、BMWインテリジェント・パーソナル・アシストは、落ち着いた男性の声による対応。ベテランのコンシェルジュや秘書の方のような声質と話し方です。これは、ドイツ本国の仕様に合わせたもので、「男女ともに受け入れやすい声で、落ち着いたトーンの声優さんを選んだ」とのこと。

また、MBUXのそれと比べると、受け答えはきっちりしていて丁寧。カジュアルとかフレンドリーといった印象はありません。むしろ、かしこまっている感じ。今後、フラッグシップサルーンの「7シリーズ」など、BMWの上級モデルに展開されることを考えると、この声質や受け答えは、なるほど納得。

というわけで、同様のシステムを搭載しながらも、車格やメーカーの思想などが反映されている車載用AIスピーカー。現段階では、メルセデスのMBUXの方が一般的な会話の認識率は高いように感じました。ただしこの辺りは、オーナーの方がより多くの言葉を話しかけることで、クルマ側が言葉を覚え、どんどん学習していくもの。それぞれ今後の進化に注目したいところです。

(文/吉田由美 写真/村田尚之)

[関連記事]
吉田由美の眼☆ランボルギーニ、マクラーレン、コルベット!JAIA試乗会でスーパーカーを満喫

吉田由美の眼☆トヨタ副社長が激白!新型スープラはトヨタの壁を壊すための“挑戦の狼煙”!?

吉田由美の眼☆光岡自動車の新境地!レトロなアメリカン「ロックスター」に視線が釘づけ