新型「スープラ」の見逃せない事実!“初モノ”4気筒モデルの足さばきは6発を超えてる

トヨタのスープラが17年ぶり復活 歴代モデルに存在しない4気筒エンジン搭載モデルも

記事まとめ

  • トヨタのスープラが、BMWが基本設計を担う異例の形で17年ぶりに復活した
  • また、新型スープラは歴代モデルに存在しなかった4気筒エンジン搭載モデルも存在する
  • 4気筒モデルは6気筒モデルより安価で、ハンドリング性能は勝っているという

新型「スープラ」の見逃せない事実!“初モノ”4気筒モデルの足さばきは6発を超えてる

新型「スープラ」の見逃せない事実!“初モノ”4気筒モデルの足さばきは6発を超えてる

新型「スープラ」の見逃せない事実!“初モノ”4気筒モデルの足さばきは6発を超えてるの画像

17年ぶりに復活したトヨタ「スープラ」には、歴代モデルには存在しなかった“初モノ”が存在する。それこそが、新型のラインナップに加わった4気筒エンジン搭載モデルだ。

340馬力を発生する3リッターの直列6気筒エンジンに対し、2リッターの4気筒ターボは258馬力と197馬力を発生。前者は4気筒モデルのトップグレードである「SZ-R」に、後者はボトムグレード「SZ」に搭載されている。果たして、新型スープラの4気筒モデルは、どんな魅力を秘めたクルマなのだろうか?

■トヨタ基準を超えた先に存在する新型スープラ

4気筒モデルの印象をお伝えする前に、まずは新型スープラの興味深いネタを披露しよう。

何かと話題の新型スープラだが、その開発責任者であるトヨタ自動車・多田哲哉さんの車両解説は、いつも面白い。これまでうかがった話の中で興味深かったことのひとつが、「新型スープラにはトヨタ車の基準を外れている部分があるが、スポーツカーには社内基準よりも重要なことがある」という話。

そもそも新型スープラは、トヨタ車としては異例の存在だ。商品企画やデザイン、そして走りなどの味つけはトヨタ自身が行っているが、基本設計はBMWが担い、生産はオーストリアのマグナ・シュタイヤー社が請け負っている。

多田さんのいう、トヨタ車基準から外れている代表例が、“サイドシル”と呼ばれるドア開口部の敷居だ。新型スープラのそれはとにかく太く、雨の日にロングスカートをはいた女性が乗り降りする場合などは、かなりの確率で裾を濡らしてしまうだろう。しかし新型スープラは、あえて太いサイドシルをセレクトした。なぜならそうすることで、軽く頑丈なボディを作ることができるからだ。「こんなに太いサイドシルは、トヨタ車だったら認められないし、BMWの人たちからもかなり驚かれた」と、多田さんは振り返る。

また新型スープラは、最低地上高と呼ばれる地面と車体とのすき間が小さい。コンビニに入る場合など、道路の段差を乗り越える時には少し神経を使うが、「車体が低いほど重心が下がり運動性能は高まるし、見た目にもカッコいい。『86』のユーザーを見て、スポーツカーに乗る人はそういう部分を理解してくれることが分かった」と多田さんはいう。

もちろん新型スープラには、路面とのクリアランスが小さいことに対するフォローが盛り込まれていて、車体が接触する場合、フロントバンパー下部の奥(見えない部分)にあるふくらんだ部分が、まず路面に触れるよう設計されている。そのふくらみが「これ以上進んだら危ない」というセンサーの役目を果たすのだ(実はコレ、スーパーカーなどではよく見られる手法)。

実用性や使い勝手を左右する部分については、トヨタの社内基準を厳格に守ることよりも、クルマの魅力を高めることを最優先。新型スープラは、クルマの開発思想においても、そうした例外が見え隠れする。
■ワインディングの軽快さは4気筒モデルに軍配

さて、スープラの歴史上、初めて設定された4気筒モデルの魅力は、果たしてどこにあるのか?

まず第1は、6気筒モデルと比べて手の届きやすい価格にある。直6ターボを積む旗艦グレード「RZ」が690万円なのに対し、SZ-Rは590万円、そしてSZは490万円と、グッと身近に感じられる。現実的には、SZでも十分高額なので“気軽に買う”というわけにはいかないが、それでも「数年後に中古車となったら買えるかも」という気分にさせてくれるのだ。

ふたつ目の魅力は、操縦性だ。開発をまとめた多田さんがいうように、「スープラの伝統とDNAは6気筒モデル」にあることは、その歴史を振り返ってみても疑いようがない。しかし「4気筒モデルを単なる廉価版とは思って欲しくない。ハンドリング性能に関しては4気筒モデルの方が優れている」という多田さんの言葉も、また真理だ。

6気筒モデルは4気筒モデルよりエンジンの単体重量が重く、しかも、車体前部の重量が増すため、物理の法則からすると曲がり始めることを苦手とする。よって、右へ左へとハンドルを切り返しながら進む峠道などでは、鼻先の軽い4気筒モデルの方が、より軽快に走れると一般的には考えられる。

実際、新型スープラで乗り比べてみても、その差を明確に感じられた。確かに6気筒モデルも、フロントの重さを意識させず、コーナーをグイグイ曲がっていくが、4気筒モデルはさらに動きが鋭く、その時の車体の挙動も心地いい。峠道を走るのが好きなマニアは、“あえて”4気筒モデルを選ぶべきである。

ちなみに、クルマの運動性能を測る基準のひとつに“前後重量配分(前輪と後輪にかかる重さの比率)”があるが、スープラのそれは“50:50”と表記されている。しかし実際は、車両単体で50:50を実現しているのは4気筒モデルのみ。6気筒モデルは必然的に、前方が少し重くなっている。もちろん、前後重量配分の数値は記号のようなものであり、あくまで目安に過ぎないが、4気筒モデルの方がハンドリングに優れるということは、新型の大きなトピックだといえる。
■スープラの性能をフルに引き出せる4気筒モデル

スープラ4気筒モデルのもうひとつのメリットは、アクセルペダルを踏み込む喜びを、より深く味わえること。

340馬力を発生する6気筒エンジンに対し、4気筒エンジンはハイパワー仕様で258馬力、ベーシック仕様だと197馬力しかないため、絶対的な加速性能はどうしても劣る。しかし、公道においてもサーキットにおいても、パワーが少ない分、アクセルを全開まで踏み込む時間を長く取れるのは、4気筒の方なのだ。クルマの能力を使い切るということは、スポーティなドライビングを好む人にとって、大きな喜びとなるなず。それを堪能しやすいのは、6気筒よりも4気筒モデルの方だといえる。

もちろん、6気筒モデルに対してパワーで劣るとはいっても、258馬力/197馬力もあるのだから、動力性能としては十分。絶対的な速さを競うのでなければ、不満を感じることはなく、峠道でのドライビングを楽しみたい人ならば、あえて4気筒モデルを選ぶのも悪くない。

ちなみに4気筒モデルを選べるのは、現時点では日本だけ。今後、海外マーケットにも展開されると思われるが、“本国”である日本にまず投入されたのは、より多くの人に新型スープラに乗って欲しいという、開発陣の思いから。速さやエンジン音、回転フィールといった官能性能では6気筒の方に分があるが、とはいえSZ-RとSZのそれも、4気筒としては望外に良かったことをお伝えしておこう。

<SPECIFICATIONS>
☆SZ-R
ボディサイズ:L4380×W1865×H1295mm
車両重量:1450kg
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:258馬力/5000回転
最大トルク:40.8kgf-m/1550〜4400回転
価格:590万円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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