マイチェンで人気復活もこの先どうする?トヨタ「プリウス」の未来を考える

マイチェンで人気復活もこの先どうする?トヨタ「プリウス」の未来を考える

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世界初の量産ハイブリッドカーであり、ひと頃、爆発的なヒットを記録していたトヨタ「プリウス」。

2015年12月のフルモデルチェンジで現行モデルとなって以来、たびたび販売不振がささやかれていたが、ここへきて人気が復活している。

今回は“プリウス人気”回復のきっかけとなったマイナーチェンジでの変更内容を紹介しつつ、あらためてプリウスというクルマについて考えてみたいと思う。

■“奇抜から普通”へとデザイン変更した新型プリウス

販売台数が伸び悩んでいた現行プリウスの状況に異変が起きたのは、2019年4月のこと。乗用車(軽自動車を除く)の販売ランキングで、それまでトップを走っていた日産「ノート」や、それを追うトヨタ「アクア」を上回り、プリウスが首位の座を奪回したのである。その後、5月、6月、7月も快進撃が続き、2019年上半期のセールスでも、乗用車部門のトップに返り咲いている。

少し前まで「売れていない」といわれていた現行プリウスだが、それはあくまで、爆発的なヒットを記録した“かつて”と比べての話。しっかりとした販売実績を残しているのだ。

2019年に入りプリウス人気が回復したきっかけは、2018年末に大きなマイナーチェンジを受け、各部がアップデートされたため。中でも、今回のマイナーチェンジにおける最大のポイントといえるのが、スタイリングのリフレッシュだ。

フロント回りは、ヘッドライトやバンパーのデザインを変更。目から流れるひと筋の涙のように、バンパーへと食い込んでいたヘッドライトの一部が省略され、スッキリとした表情に。個性的ではあるものの、好みが分かれた従来モデルに比べ、多くの人が受け入れやすい意匠となった。それにしても、わずかに手を加えただけで、印象がこれほど変わるのは驚きだ。

リア回りも、バンパーとテールランプのデザインがガラリと変わった。従来、縦型の特徴的な形状だったテールランプは、リアゲート側へ食い込む水平基調の形状となり、大幅にイメージチェンジ。それに併せて、リアゲートや周囲のパネルまで新デザインとなっている。先進的な雰囲気こそ、幾分、後退したように思えるが、新型の方が落ち着くという評価があるのも理解できる内容だ。

ちなみにホイールのデザインもリフレッシュ。17インチ仕様は、樹脂の加飾部分にチタン調の塗装を採用。15インチ仕様は、スポークの形状を新しくしている。

一方、新型はインテリアデザインも変更。従来モデルは、一部グレードのセンターコンソールをホワイト仕上げとし、斬新かつ特別な雰囲気を醸し出していたが、「もっと普通の見た目がいい」という声に応え、ブラックへとカラーリングを変更。エクステリアと同様、インテリアも“奇抜から普通”になった。

個人的には、これまでの個性的なプリウスが好きだった。しかし、販売台数のトップを争う量販車種として考えた場合、多くの人の好みにマッチするベーシックなデザインの方が、より好まれるということだろう。個性を主張してみたが受け入れられず、よりプレーンな方向へと軌道修正した、というのが、新型のデザイン面における趣旨といえるだろう。
■コネクテッドカー化など先進性にも磨きを掛けた

軌道修正したデザインに対し、より先進的に進化した部分もある。その一例が、メーカーオプションとして用意されるナビゲーションシステムだ。この「Tコネクト SDナビゲーションシステム」を選ぶと、11.6インチという超特大の縦型ディスプレイが装着される(今回の試乗車には非装着)。プラグインハイブリッドカーの「プリウスPHV」や、プリウスの一部限定モデルには従来から採用されていたが、カタログモデルのプリウスとしては初の搭載となる。

さらに“DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)”と呼ばれる車載通信機が全グレードに標準搭載され、いわゆるコネクテッドカーとなったのも、先進性を語る上では外せないトピック。スマホと連動させ、出発前にあらかじめ目的地などを設定できるなど、これまでにないカーライフを実現してくれる。

そのほか、自動ブレーキなどの制御がアップデートされたほか、駐車場からバックで出る際に、左右後方より接近してくる車両を検知して注意を促す“リヤクロストラフィックアラート”を新たに設定するなど、安全装備も充実している。

一方、走りに関しては、各種変更のアナウンスはない。細かなバージョンアップは当然、行われているようだが、動力性能や走行フィールが一変するような大きな変更はないようだ。

とはいえ、新型プリウスをドライブすると、依然として“新しい乗り物”という感覚が濃密であることを再認識した。

トヨタのハイブリッド機構は、モーターとガソリンエンジンとをしっかり協調させ、エネルギーを効率よく使用。発進直後に始動したエンジンは、巡行状態になってアクセルを緩めると、スッと止まる。そこからモーターだけで滑走していく感覚は、エンジン車では決して味わえない。プリウス、そしてトヨタのハイブリッドカーは、依然として、クルマの未来を感じさせてくれる。
■さらなる先進性の提案こそ次期型プリウスの使命

マイナーチェンジで人気が復活したプリウスは、この先、どこへ行くのだろうか?

ハイブリッドカーの先駆けではあるものの、今となってはプリウス以外にも、ハイブリッドカーが存在する。例えば、先頃登場した新型「カローラ」は、プリウスと同じプラットフォームを採用。ガソリン車に加え、プリウスと共通のハイブリッド仕様も用意する。しかもボディ形状も、セダンとステーションワゴン、そして先行したハッチバックから選べるなど、選択肢が多い。

そんな状況において、カローラではなく、あえてプリウスを選ぶべき価値とは? それはやはり、先進性ではないだろうか。世界初の量産ハイブリッドカーという歴史的な栄光を掲げながら、他のトヨタ車と比べて一歩も二歩も先を行く先進性があれば、プリウスというクルマの個性は、この先も際立つと思う。

来たるべき未来を考えた場合、単なるハイブリッドカーのままでは、ほかとの差別化は難しい。そこで、例えば自動運転を今以上に普及させるように存在にするなど、次期型プリウスには他車より一歩進んだ先進性を盛り込みたいところだ。

自動運転を始めとする未来の技術を、ひと足先に普及価格帯で提供できれば、プリウスを選ぶ新たな価値が生まれる。そういった先進性を提案し続けることは、プリウスに課せられた使命だと思う。ハイブリッドカーが当たり前の時代になっても、プリウスにはまだまだ、果たすべき役割があるはずだ。

<SPECIFICATIONS>
☆A“ツーリングセレクション”(2WD)
ボディサイズ:L4575×W1760×H1470mm
駆動方式:FF
エンジン:1797cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:電気式無段階変速機
エンジン最高出力:98馬力/5200回転
エンジン最大トルク:14.5kgf-m/3600回転
モーター最高出力:72馬力
モーター最大トルク:16.6kgf-m
価格:300万6720円

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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