麻生「子どもを産まないのが問題」発言、海外に発信される。外国人の反応は?

麻生太郎副総理の「子どもを産まないのが問題」発言、CNNやNYタイムズも報じる

記事まとめ

  • 麻生太郎氏の出産巡る"失言"をCNNやニューヨーク・タイムズも報じた
  • ガーディアンは、二階俊博氏や加藤寛治氏、柳澤伯夫氏など自民党議員の失言も紹介
  • 「こういう年寄り(政治家)にこそ、さっさと死んでほしい」と、外国人から怒りの声も

麻生「子どもを産まないのが問題」発言、海外に発信される。外国人の反応は?

麻生「子どもを産まないのが問題」発言、海外に発信される。外国人の反応は?

photo by 大? via flickr(CC BY 2.0)

 もはや政治家の失言・暴言が当たり前となっている日本。一時的にはニュースで取り上げられるものの、うわべだけの謝罪や説明が行われるだけで、政治家が実際に責任を取ることはまずない。麻生太郎副総理の「子どもを産まないのが問題」発言も、「撤回する」の一言ですっかりなかったことになっている。

◆データで発言内容に反論

 しかし、アッサリと失言・暴言が時に流されてしまう日本国内とは対照的に、海外では「恥の上塗り」となっている。都合よく忘れてしまいがちなデータや過去の失言が再検証されているのだ。

 たとえば、CNNは今回の件について、『日本の副総理が人口減少で「子どもを産まない」女性を非難』という記事を掲載。麻生副総理の「誤解を与えたなら撤回する」という発言と併せ、「無意識のジェンダーバイアス」という見出しつきで日本社会の問題点を取り上げている。

“90年代から日本は出生率を上げるための政策を導入してきた。たとえば、育児サービスを高めたり、子持ち家庭への住宅や公共設備の改善を改善してきた。だが、構造的な問題は今なお働く男性と女性を仕事と家庭のバランスを崩している。最近の調査によると、30〜34歳の女性が出産後に職場復帰する率は、わずか30年間で50%から75%へと増えた。

 しかし、’17年経済開発協力機構のレポートによると、職場復帰する者の多くは減給や、出世するうえでの障害を受け入れなければいけない。世界経済フォーラムがジェンダー間の平等性を測った世界男女格差指数では、日本は149か国中、110位に位置している”

 データによって、問題は女性ではなく、それを取り巻く日本の社会的環境であることが強調されている。

『ニューヨーク・タイムズ』には「日本の人口減少で子どものいない人を非難したことを官僚が謝罪」との記事が。実際には謝罪するどころかお馴染みの「撤回」をしただけだが、それはさておき、中身を見てみよう。

“麻生氏の人々が子どもを十分に産んでいないという日曜日の発言は、出生率や高齢化、健康保険や定年などについて語ったスピーチで出たものだ。彼は発言を撤回する際に、報道によって文脈から外されたように感じたと話した。78歳の麻生氏は安倍晋三政権の保守的な政治家の一人で、国の人口問題について子どものいない女性を非難するなどしてきた。

 安倍氏は1月に日本では女性の67%が仕事をしており、これは歴代最高の数字だと自慢した。しかし、彼女たちの多くは職場で限られた役割に縛られている。日本では、男性が驚くべき長時間に渡って仕事をする一方、女性が子どもの世話を背負わされている。これらの要因は女性がより高給の仕事に就くことを妨げている。また、同時に雇用者が労働力確保に苦しむなか、経済を停滞させている”

 今まさに統計問題に揺れている国会。しかし、その数字も中身をしっかり分析しなければ意味がない。記事中で安倍総理は得意げに数字を強調しているが、中身が伴っていないとしっかり釘を刺されている。

自民党議員の失言史を振り返る記事も

 また、『ガーディアン』は、この発言を次のように取り上げた。

“78歳(の麻生氏)は、メディアが彼の言葉を文脈から外したのであって、彼は単に出生率の低下が日本の経済的繁栄にもたらす脅威を強調したかっただけだと主張した。しかし、彼は「撤回し、今後は発言に注意したい」と加えた。(中略)専門家は出生率の低さにはいくつかの原因があるとし、育児費用の経済的負担、保育支援の欠如、悪名高い長時間労働などがそれに含まれている。麻生氏は、その傾向をカップル、特に女性の責任であるとしてきた保守政治家の一人だ”

 うっかり放った言葉が自分の意図とは違った形で受け取られた……。本人はそう強調しているが、以前からそういった発言をしていることが、あらためて説明されている。

 同記事では、昨年6月の二階俊博氏による「子供を産まない方が幸せだと勝手なこと考える人がいる」という発言や、同年4月の加藤寛治氏の「ぜひとも3人以上、子供を産み育ててほしい」発言、さらには‘07年の柳澤伯夫氏による「産む機械」発言も紹介されている。これらを振り返ると、決して「文脈から切り取られた」のではなく、「出生率が低いのは女性が悪い」という考え方を持った政治家が多いことがよくわかる。

 さらに、こちらも日本ではすっかり忘れ去られているが、どう記事は麻生氏の過去の発言を引き合いに、以下の部分にも着目していた。

“同じスピーチで麻生氏は日本の驚くべき長寿を称えた。彼が生まれた40年代に比べ、30年ほど伸びているのだ。これは国の負担を減らすため、高齢者は「さっさと死ぬ」ことができるべきだという’13年の彼の発言とは対照的だ”

 膨れ上がる医療費について、「死にたいと思っても生きられる。政府の金でやっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」と発言したのは、6年前。このときも「マスコミに揚げ足を取られた」と擁護する声があったが、懲りずに失言を垂れ流す様子を見ていると、本心が漏れてしまったようにしか思えない。

 日本ではいつの間にか風化していく失言・暴言も、海外では積み上がり、悪名となっているのだ。

◆責任転嫁するのではなく、解決法を示すべき

 また、メディアだけでなく、一般人からの反応も外国人のほうが敏感に捉えているようだ。呆れるどころか、怒りに満ちた声が出ている。

「こういう年寄り(政治家)にこそ、さっさと死んでほしいよ。政治に限った話じゃないけど、人を非難することは問題の解決にはならない。もしこのバカ(Asshole)が本当に女性のせいだと思うなら、この人たちが悪いと指をさすんじゃなくて解決法を示すべきだ」(男性・37歳・アメリカ人)

「女性が悪い」「女性がこうするべき」といった発言が多いわりには、具体的な施策はまるで出ていない。本来、政治家の役割は国民の“ご意見番”でいることではなく、幸せに生きるための仕組みづくりをすることなのだが……。

「そもそも、子どもがほしくない人もいるし、そんなことを政治家が一方的に押しつけるのがおかしい。産みたいと思っている人が、安心して産める環境を作るのが仕事でしょ。オンナは子どもを産むべきかなんてことを議論している時点で的外れ」(女性・29歳・フィンランド人)

 もはや感覚が麻痺してきているが、今後も同様の失言・暴言は続くはず。なんとも心身に悪い作業ではあるが、そのたびに問題点にしっかり向き合い、政治家の責任を問い詰めていかなければ、この負の連鎖は止まらないだろう。なにより、社会が好転することもないはずだ。

「今はSNSも普及して、情報とか言葉の進んでくスピードが速くなってる。そのぶん、平気で暴言を吐く人もいるけど、『まあいっか』と思わずに、しっかり考えさせないとマズいんじゃないかな。特に責任ある立場の人が、ツイッターに書き込むような感覚で無神経な発言をするのは危ないと思う」(男性・35歳・アメリカ人)

 本人が問題ないと思っている以上、止めることができるのは周りの人間だけだ。はたして、暴言が止む日はいつくるのだろうか。

<取材・文・訳/林 泰人 photo by 大? via flickr(CC BY 2.0)>

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