沖縄県民投票で辺野古基地建設「反対」が7割、43万票。玉城知事、安倍首相やトランプ大統領との対話に意欲

沖縄県民投票で辺野古基地建設「反対」が7割、43万票。玉城知事、安倍首相やトランプ大統領との対話に意欲

県民投票の結果を伝える再訪米に、意欲を見せる玉城デニー知事

 辺野古新基地建設の賛否を問う沖縄県民投票が2月24日に投開票され、「反対」が72.15%の43万4273票となった。投票率は52.48%。去年9月の沖縄県知事選で玉城デニー知事が得た過去最多の39万6632票を超え、新基地反対の民意がさらに明確な数字として示された形となった。

◆玉城知事「早く上京し、結果を安倍首相に伝えたい」

 投開票を受けて玉城知事は25日未明に記者会見。まず投票資格者数(115万3591人)の4分の1である「28万8398人」を超えたことをから「県民投票条例の規定に基づき投票結果を尊重するとともに、投票結果を速やかに内閣総理大臣とアメリカ合衆国大統領に通知します」と述べたうえで、こう続けた。

「今回の県民投票によって、辺野古埋め立てに絞った県民の民意が明確に示されたのは初めてであり、極めて重要な意義があるものと考えています。

 県民投票での結果を受け、辺野古新基地建設の阻止に改めて全身全霊を捧げていくことを誓います。政府は、沖縄県民の辺野古の埋め立てを決して認めないという断固たる民意を真正面から受け止め、『辺野古が唯一』という方針を直ちに見直し、工事を中止するとともに、普天間飛行場の一日も早い閉鎖・返還という根本的な問題解決に向け、これまで再三求めてきた県との対話に応じるよう強く求めます」

 質疑応答で玉城知事は「できるだけ早い時期に上京、安倍首相に県民投票の結果を伝えたい」と語った。2月25〜28日は県議会の日程が入っているため、早ければ3月1日にも首相との面談が実現する見通しだ。

 また、トランプ大統領への通知について玉城知事は「アメリカ大使館経由が最も早い」と述べる一方で、訪米をして直接伝えることについては「今後、考えていきたい」と含みを持たせた。

 去年11月の訪米の際も「県民投票を受けて、また新たな訪米をして沖縄の民意を伝える考えはあるのか」との問いに「できれば訪米したい」と再訪米に意欲的だった。県民投票でより明確な民意が示されたことで、再訪米の可能性が高まったのは間違いないだろう。

◆ウーマン村本氏の訪問などを機に、県民投票への関心高まる

 今回の県民投票では、若い世代の精力的な動きが光った。全県での投票実施を求めて「辺野古県民投票の会」の元山仁士郎代表がハンストを始めた直後、お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔氏が沖縄を訪問して元山氏にインタビュー。それが地元紙などに報道されると、激励に訪れる人が相次いだ。このハンストがきっかけとなって、質問項目を3択に増やすことによる全県での実施が実現したのだ。

 投開票日の24日、再び村本氏は沖縄入りをして元山氏を激励。那覇市内で「沖縄県民、笑いにおいで」という独演会を開催した。そして村本氏はツイッタ―でも「ハワイから問題を他人事にできない人(注:ホワイトハウス嘆願署名を呼び掛けた日系4世のロバート・カジワラ氏のこと)が来てるのに、日本の本土の人は、県民投票がなにかすら知らない。東京中心で作られるメディアとはなんだろう。いま平和で幸せな人からしたら、沖縄ってなんだろう」と発信した。

◆一貫して「結果にかかわらず移設を進める」と菅官房長官

 県民投票の投開票を受けて与野党も談話を発表。立憲民主党の福山哲郎幹事長は、政府に工事中断を求めた。

「政府はこの結果を極めて重く受け止めなければならない。『沖縄県民に寄り添う』などの言葉とは裏腹に、累次にわたって示されている沖縄県民の民意を全く無視する基地建設の強行は、民主主義の何たるかに目を向けようともしない安倍政権の体質を如実に現しており、断じて許し難い。直ちに辺野古での基地建設工事を中断すべきであることは言うまでもない」

 一方、自民党の岸田文雄政調会長は「結果を真摯に受け止める。沖縄県及び県民に理解と協力が得られるよう最善を尽くしたい」というコメントを発表したが、これはリップサービスにすぎない可能性が極めて高い。県民投票の投開票前から政府は、その結果を無視する姿勢を示していたからだ。

 県民投票が告示された2月14日の会見で菅官房長官は「どういう結果でも移設を進めるか」との記者からの質問に対して、「基本的にはそういう考えだ」と回答している。「問題の原点は普天間の危険除去と返還だ」という常套句を繰り返すだけ。投開票日の2日前の22日の会見でも菅官房長官は『東京新聞』記者の質問に次のように答えていた。

――どのような結果であっても、投票結果は政府に対する沖縄県民の民意を示すものと考えられます。政府はそのように認識されているのでしょうか。

菅官房長官:まず県民投票については、地方公共団体が条例に基づいて行うものであり、政府としてコメントをすることは差し控えたいと思います。

 そのうえで申し上げれば、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点というのは、市街地に位置し住宅や学校に囲まれ、『世界でいちばん危険である』と言われている普天間飛行場の危険除去と返還だったのではないでしょうか。

 政府としては、普天間飛行場の危険除去と辺野古移設に関する政府の考え方や、沖縄の負担軽減に目に見える形で実現するという政府の取り組みについて、丁寧に説明をして地元の皆様に理解・協力をいただきながら粘り強く工事を進めていくという考えに変わりはありません。

――「県民は普天間の危険性除去も大切ということを含めて、悩みながら投票するものだ」と私は思っています。大変失礼な言い方で恐縮ですが、政府は投票結果を無視することなのでしょうか。

菅官房長官:「無視する」ということではなくて、この辺野古移設については手続きを沖縄県に申請し、そこから許可をいただいて工事をしております。いま申し上げたように、いちばんの原点は普天間飛行場の危険除去と固定化を避けることではなかったのでしょうか。残念ながら、今の危険除去を避けるためにどうするのかということが現知事からは語られていないことについては残念だと思っています。

◆玉城知事による政府への交渉に注目

 辺野古新基地予定地には、軟弱地盤が見つかって大規模な地盤改良工事が不可欠であることが判明。沖縄県は「2兆5000億円の税金投入と10年以上の年月がかかる」との独自試算を発表した。しかも前例のない大規模な難工事で、周辺の貴重なサンゴ群落が死滅する恐れも懸念されている。

 しかし、政府は県民投票前から一貫して「普天間飛行場の危険除去のためには辺野古基地建設が必要」という姿勢を崩していない。菅官房長官は県民投票翌日の2月25日の会見でも「普天間飛行場の危険除去」を何度も繰り返し、工事強行の姿勢を変えようとはしなかった。

 今後、沖縄県民の民意の後押しを受けた玉城知事と政府との交渉が、どういった展開になっていくのかが注目される。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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