日米地位協定が、ロシアとの北方領土交渉の足かせになっている!?

日米地位協定が、ロシアとの北方領土交渉の足かせになっている!?

安倍首相は2島先行返還に意欲を見せているが、交渉は難航

 日本と米国の間でかわされている「日米地位協定」。あまりに米国に有利な協定のため是正する必要性が叫ばれてきたが、一向にその不平等は解消されていない。そしてこの地位協定が、ロシアとの北方領土交渉にも影響を与えているという。

◆北方領土返還交渉にも足かせとなっている地位協定

「日米地位協定は、北方領土返還交渉にも悪影響を及ぼしています」と、『東京新聞』論説兼編集委員の半田滋氏は指摘する。

「日米地位協定では、米国は日本のどこにでも米軍基地を設置でき、それを日本側が拒むことができないうえ、基地の返還には米国の同意が必要なのです。そのことはロシア側も知っています。北方領土を日本に返還した際、そこに米軍基地を置かれたら、ロシアとしてはたまらない。もともとロシアには北方領土を返還するつもりはなく、日米地位協定が格好の口実となっているのです」

 昨年秋の日ロ首脳会談でも、プーチン大統領は北方領土に米軍基地が置かれる可能性について、安倍首相を問い詰めた。

 ジャーナリストの布施祐仁氏も「日本は、米国の了承なく『歯舞諸島・色丹島には米軍基地を置かない』とロシアに約束することはできません」と指摘する。

◆米軍基地を置く「権利」を認めているのは異例

「外務省の内部文書『日米地位協定の考え方 増補版』(1983年)には、“北方領土の返還の条件として『返還後の北方領土には施設・区域を設けない』との法的義務をあらかじめ一方的に日本側が負うようなことをソ連側と約することは、安保条約・地位協定上問題がある”と書かれているのです」

 こうした日米の関係は、国際社会において異例だと布施氏は語る。

「米軍基地が存在するほとんどの国では、基地として使用できる土地の範囲や使用条件、使用料、提供期限などを契約として結んでいます。日本のように、どこにでも米軍基地を置き、自由に使えることを米国の『権利』として認めている国はほとんどありません」

◆なし崩しになる在日米軍の活動範囲

 イラク戦争でトルコは、自国領内にある米軍基地を出撃基地として使わせなかった。日米安保条約では、いわゆる「極東条項」によって在日米軍の活動範囲は「日本とその周辺」に限るとされているものの「実際にはなし崩しとなっています」と半田氏は指摘する。

「ベトナム戦争以降、在日米軍基地から他国にある米軍基地へ『移動する間に』、在日米軍が極東条項の範囲外で米国の戦争に参加するということがまかり通ってきました。沖縄の海兵隊もイラク戦争やアフガン戦争に出撃しています」(半田氏)

 イラク戦争は国連安保理の武力行使容認決議を得ないまま、強行されてしまった。その戦争に在日米軍基地が使われたことは極めて重大な問題だ。日本は外交・安全保障政策で主権を自ら放棄しているうえに、ロシアとの交渉でも足下を見られているというありさまなのだ。

取材・文/志葉 玲

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