日本母親連盟の記者会見と決起集会、メディアも参加者もごくわずか

日本母親連盟の記者会見と決起集会、メディアも参加者もごくわずか

写真左側に着席している鈴木エイト氏を除いて、記者席は全員が日本母親連盟側のサクラ。会見終了後の拍手も全て彼らによるものだった

◆あの「日本母親連盟」の決起集会

 3月23日、東京・神保町の学士会館で、政治団体「日本母親連盟」による記者会見と政治資金パーティーが行われた。記者会見の取材に訪れたメディアは「やや日刊カルト新聞」(鈴木エイト主筆と藤倉善郎総裁=筆者)のみ。複数のメディアが同時に取材するのが通常の記者会見だが、この日は同紙による「独占取材」となった。

 また会見後に開かれたパーティーには、事前に申し込み参加料金を入金していた筆者と鈴木氏に対して、日本母親連盟側が入場を拒否。当初、定員を400名としていたものの100人程度の申し込みしか集まらなかった政治資金パーティーは、取材者を入れずひっそりと開催された。

 日本母親連盟については今年2月26日、参議院議員・山本太郎氏を招いた同連盟主催の講演会で、壇上の山本氏から同連盟の保守運動やニセ科学との関連性や共通点などを暴露され、幹部や会員たちが大混乱する騒ぎがあった。同連盟内ではこれを「226事件」と呼んでおり、今回の政治資金パーティーに関連して同連盟監事がFacebookで「いままで通り妨害があるかもしれませんが、粛々と進めてまいりたいと思います」などと投稿し、警戒していた。

◆平成最後の「226事件」

 日本母親連盟が「226事件」と呼ぶ騒動は、「山本太郎氏、日本母親連盟を支持者の面前でぶった斬り!」として既報の通り。まずは、それ以降、今回の政治資金パーティーまでの流れを整理しておこう。

 山本氏の講演会は、同連盟主催の講演会に招かれた山本議員が、「山本太郎の政治活動とは接点を持ちません」と語って、同連盟とともに選挙を戦う意思がないことを、その場で宣言したもの。東日本大震災を米軍が核兵器によって発生させたかのように語る同連盟関係者の発言、同連盟への支持を表明したホメオパシー業者の実態、同連盟の関係者と日本会議の構成団体である倫理法人会とのつながり、同連盟のマニフェストと山本氏の考えとの相違や問題点等々を約20分にわたってスライドで指摘した。

 山本氏から事前に通告されていなかった内容だったこともあって、同連盟の幹部や会員たちは大混乱。講演終了後に、同連盟の阪田浩子代表がステージ上でマイクを持って「補足説明」を行い、終了後には会場に残った会員たちが立ち話をしながら気を取り直そうと必死の様子だった。

 この講演の様子を山本氏の関係者が「ツイキャス」でネット中継。その動画を他のユーザーがYouTubeに投稿し、講演2日後にハーバー・ビジネス・オンラインで筆者による講演リポートが掲載された。このリポートには、「やや日刊カルト新聞」の鈴木エイト主筆による代表への直撃インタビューも含まれていた。

 これらがネット上注目されたことで、日本母親連盟側はさらに混乱する。

 同連盟は公式サイトに〈日本母親連盟は他の政治団体、宗教団体とは一切関係ありません〉などとする声明文を掲載(参照:日本母親連盟)。同連盟の幹事・内海聡氏は、Facebook上で〈やや日刊カルト新聞も入ってきているので、計画的であり共同作業での組織潰しです〉と断定したほか、阪田代表に直撃インタビューした鈴木氏について、このように書いた。

〈「やや日刊カルト新聞のインチキライター。日本のマイナー組織潰しで必ず出てくる輩たち〉

 講演についても、こう断定した。

〈完全なタッグ組んでヤラセでやってるからね。質問者も参加者も拍手もそう。打ち合わせ拒否のいわゆる講演テロ〉

 講演会の参加者や、講演会での山本氏への拍手まで「サクラ」だったかのような話になってしまっている。

 筆者と鈴木氏は、ともに「やや日刊カルト新聞」で活動する間柄で、山本氏の公演会も一緒に取材した。しかし筆者も鈴木氏も、講演での質問者が誰なのかは知らない。また講演前に山本太郎氏や事務所とは一切接触していない。山本氏の講演会後に秘書と名刺交換をしたのが、はじめての接触だ。筆者たちが山本氏側と共謀して報道した事実はない。

 筆者たちは、YouTubeに講演の動画を投稿した人物が何者かも知らない。その人物はTwitterで、こう説明している。

〈(山本氏の関係者による)ツイキャスをキャプチャーしてましたがこんな面白くて痛快な動画なので速攻でアップしました。編集はしてなく事務所にも許可取ってない〉

 ネット上で講演の内容を伝えた動きが山本氏側と連携していたとする証拠は一切示されず、むしろ全く無関係の動きであることを示す情報しかない。にもかかわらず母親連盟幹部は、これを組織的謀略であるかのように会員たちにアナウンスした。有り体に言えば「デマゴーグ」だ。

 やがて同連盟会員たちの間では、2月26日の山本氏講演会は「226」とか「226事件」と呼ばれるようになる。同連盟の3月8日付「本部メールマガジン<第9号>」には、こう書かれている。

〈226事件にはびっくりのマザリーメルマガ編集部でしたが、その後もバッシングが続く一方で、支援者も確実に増えています。フタッフ希望者、各地のイベントの申し込みも増えており、「太郎さん、宣伝してくれてありがとう!」と思っております〉

 今年、新たな元号がスタートする。平成最後の「226事件」である。

◆「記者会見」なのに独占取材

 では、「226事件」でむしろイベント申し込みが増えたという同連盟の記者会見や政治資金パーティー「日本母親連盟マザリー設立決起パーティー」はどれほどの盛り上がりになるのか。取材する身としては当然、気になるところだ。

 3月23日のパーティーを控え、前述の内海氏は日本母親連盟の支援組織である「日本父親連盟」のFacebookページに、こう投稿した。

〈3月23日に日本母親連盟の記者会見が学士会館であります。また、その後設立記念パーティーがあります。すでに226でサクラをやった人間たちや、妨害デマ記事を書いた人たちがいたことがわかっていますが、そのような人からパーティーの申し込みがあったりします。もちろん丁重にお断りしておりますが、母連の女性陣はいささか不安が強いようです。

 そこで募集したいのですが、父連で当日にパーティーのガードマン的仕事をしていただける方がいれば、私のほうに連絡をお願いします。パーティーには参加費が本来かかるところ、もちろん無料でパーティーにご招待いたしますが、時間外でガードマン的な仕事をしていただくことが条件です〉(参照:「日本父親連盟」Facebookページ)

「226事件」を受けて「戒厳令」が敷かれ、敕命が發せられたのである。

 筆者と鈴木氏は事前にパーティー参加を申し込み、前払いの料金1万円と懇親会費5000円を入金していた。ところがパーティー前日までに、2人には同連盟から〈本パーティーは日本母親連盟の関係者を対象としております〉〈おいでいただいても、ご入場いただくことはできません〉などとするメールが送られてきていた。

 筆者と鈴木氏は、同連盟の設立直後から「メルマガ会員」になっている。立派な「関係者」である。メールを無視して、当日、まずはパーティー前の記者会見場におもむいた。

 名前を告げると、受付担当者から「今日はこちらからお招きしたメディアの方のみとなっております」と、入場を断られた。

「政治団体の記者会見で、そちらが選んだメディアと記者しか入れないんですか」

 と筆者が食い下がる。単なる政治団体ではない。選挙での候補者の擁立や支援を表明している政治団体だ。それが、自分たちが指名したメディアにしか記者会見を取材させないのであれば、「国民の知る権利」を大きく損なう。

 奥から阪田代表が出てきた。

「じゃあ取材を受けますから、その代わりにパーティーのほうはご遠慮いただくということで納得いただけますでしょうか」(阪田氏)

「パーティーの話は後で。いまは記者会見の取材に来ているので」(藤倉)

 取材を受けるかどうかは、取材・報道の自由、国民の知る権利、政治団体としての説明責任等々に対する同連盟の姿勢の問題だ。パーティー参加の可否を条件とする取引などもってのほか。筆者たちは、パーティーについては「要望は承りました」とだけ答え、回答は保留。それとは関係なく記者会見を取材させてもらうことで話をつけた。

「記者の方たちは直接おいでいただけていなくて、(会見を)動画で撮らせていただいてそれを(メディア各社)にお送りするということになっているんです」(阪田)

 すでに会見場には十人強の人々がいたが、全員が日本母親連盟関係者。報道陣はゼロだった。

「質問とかはこの場ではなしですか」(藤倉)

「特にする予定はなくて、私たちのお話だけさせていただくことになるんですけど」

「わかりました」(藤倉)

 こうして、「記者会見の独占取材」という前代未聞の取材が実現した。

◆質疑なしの一方的「記者会見」

 会見では、まず阪田代表が語った。

「私たちの暮らしを守るための政治にきちっと訴えかけることが必要だということで、政治団体を設立しました」

 阪田氏はフードビジネスに関わる中で、国産食材についても農薬などをめぐる安全性に疑問を抱いたという。その中で、教育の問題、放射能の問題、日本を取り巻く外国企業の問題などを知るに連れて不安になり、社会運動に関わってきたという。そこで、日本母親連盟設立の話が持ち上がった際に参画。昨年8月1日、総務省に政治団体として届け出を行ったという。

 現時点で、「北海道まで沖縄まですべての都道府県を網羅する形」(阪田氏)で38支部を設立し、会員数は5292人になったという。

 また、阪田氏は「日本母親連盟マザリー憲章」を発表。「すべてのいのちを慈しみ、おおらかに育みます」「この星に生まれたことに感謝し、美しい地球を次世代に残します」など5項目の行動指針と、「ひとりの声を大きな声に! 国を変える力となる1000万人の同志を募ります」など3項目の活動内容を掲げる内容だ。

 続いて、広報部長の白河三來氏がマイクを握った。

 「もともとはブログとかセミナーを企画したりしまして、クスリに頼らないで健康になる、化粧品を使わないで美しくなるというポリシーのセミナーを開いていた。いろんな健康情報をブログやSNSで発信してきた」

 そう自己紹介した白河氏は、ブログ等で「美肌研究家、健康医療コーディネーター、アンチエイジング・コンシェルジュ」を名乗る人物。今年1月24日に日本母親連盟関係者が「ホメオパシー統合医療専門学校」学長・由井寅子氏を訪問した際に同行しており、それを報告する自身のブログでこう書いている。

〈ホメオパシーは波動療法のひとつですから、これからの時代、主流になっていくでしょう。動物にも効果があることから、プラセボではないことがわかっています。宇津救命丸みたいに小さいので、乳幼児にも飲ませやすく、ママたちの救世主になること間違いなしです。

そして、なんとマザリー会員には寅子先生の特別講義を受けていただくことができるかも?こちらは準備が出来次第、追ってお知らせしますね〉(白河三來氏のブログより)

 後日、この訪問の際に由井氏からもらった「お土産」として、レメディー(ホメオパシー業者が効能をうたって販売している、科学的効果が証明されていない成分)入り商品をブログで紹介するということもしている(白河三來氏のブログより)。

 由井寅子氏やホメオパシーは、「226事件」において山本太郎氏が日本母親連盟に疑問を呈したポイントの一つでもある。

 しかし記者会見で白河氏は、自身のこうした側面はお首にも出さず、農薬や抗生剤等をめぐる「食の安全」や医療改革、消費税廃止、原発ゼロなどを掲げた「マザリー宣言」(「日本母親連盟マザリー憲章」とは別)について説明した。

  2人による説明が終わると、司会者がこうアナウンスした。

「これより質疑応答に……」

 会見席から阪田代表が司会者を制止する。

「今日は動画だけなんで」

 当初は質疑が予定されていたのに予定が変更され、そのことが司会者に伝えられていなかったということなのだろうか。質疑がなかったこともあって、語られたのは日本母親連盟の公式サイト等を見ていればだいたいわかる内容ばかりだった。

◆「囲み取材」ならぬ「囲まれ取材」

 記者会見では通常、会見終了後に報道陣が会見者と個別に補足の質問などをする取材が行われる場合がある。それが、複数のメディアが会見者を取り囲む立ち話などになる場合は「囲み取材」と呼ばれる。

 筆者と鈴木氏が、この会見の終了後に囲み取材を試みたところ、阪田代表が快く応じてくれた。しかし何せ取材に来ているのは筆者と鈴木氏だけ。筆者たちのほうが日本母親連盟関係者たちに取り囲まれながら阪田代表らに話を聞くという、「囲まれ取材」になった。

「何社くらいのメディアに会見案内を送ったのか」(筆者)

「レターを配布させていただいただけで、1つ1つにアプローチはしておりません」(阪田代表)

 初っ端から話が噛み合わない。個別にアプローチしたかどうかではなく、何社に案内を送ったのか尋ねているのだが。

「記者会見をもともと予定していたのですが、よくご存知だと思いますけど、私達自身もちょっと不安に思うのが、せっかく私達の思いを伝えたくても、曲がって捉えられたりとか変なふうに面白おかしくされたりするのが嫌だなあと思ったんです。なので、あえて告知をしないで、ここで動画を撮って(メディアに)提供すると、それを採用していただけるということだったので、こちらからあえてアプローチをして呼ぶことはしなかった。レターは、一般的なプレスリリースは配布しましたけど、特に個人的に呼んだりとかそういったことはしないでおりました」(阪田代表)

 「アプローチはしていない」が「レターは送った」という、要領を得ない説明だ。メディアは興味を持てば、「個人的に」呼ばなくても来るはずだが。

「一つだけお伝えしておきたいんですが、(日本母親連盟監事の)内海さんとかが、たぶんぼくらのことを、山本太郎さんのあの(226事件の)件のサクラだみたいに書いているですけども。ぼくら山本太郎さんや事務所と事前に一切接触してなくて、逆に、ぼくらも母親連盟はどうなのかなと思っていまして。『山本太郎、こんなのに協力していいのか』と思って取材に行ったらああいうことが起こったので、びっくりして記事にした。ぼくらサクラじゃないんです。素で一緒にびっくりしてた側なので、(日本母親連盟と)仲間だとぼくは思っているんです」(筆者)

 その後に予定されているパーティーの件に話が移った。阪田代表等によると、パーティーは日本母親連盟の「正会員限定」なのだという。しかし、同連盟の公式サイトや「こくちーず」に掲載されていたパーティーの告知には、そのような説明は一切なかった。それどころか「会費 :10,000 円 (正会員 5,000 円)」と表記されており、正会員以外も参加可能なイベントであることは明白だ(参照:日本母親連盟サイトのWeb魚拓)。

 もともと「正会員限定」であったかのような説明は明らかに虚偽。筆者らに送られてきた入場お断りのメールの表記も「関係者のみ」となっており、正会員云々というルールは、この会見の場になって初めて告げられた「後出し新ルール」だ。

 事実上、彼らが気に食わない人物を入場させないための意図的な選別と言える。筆者たちが事前に支払ったパーティー参加料は、振込手数料分の金額もあわせて、その場で返金された。

「ちなみに倫理法人会の人の関係の方って、けっこう(日本母親連盟に)けっこういらっしゃるんですか?」(筆者)

「倫理法人会の人って、その辺歩いたら必ず倫理法人会の人に当たりますよ。そのくらいいらっしゃいますよ」(阪田代表)

 いちいち、質問の答えにならない言葉が返ってくる。

◆日本母親連盟と倫理法人会は一体でないと言いつつ……

「(倫理法人会の人は)6万7000人とかいらっしゃるみたいなので。山本太郎さんは(226事件で)、ああ、6万7000票失ったなと思いましたね」(白河氏)

 日本母親連盟と一緒に選挙はできないと宣言した山本氏が倫理法人会会員分の票を失うというなら、やはり日本母親連盟は倫理法人会と一体だと言っているようにも聞こえるが。

 この日のパーティーの定員は当初400人だったが、後から150人に減った。「こくちーず」上で表示されていた最終的な申込数は111人だった。当初見込んでいたほどの人数が集まらず、定員数を減らしてもなお定員割れ。

 前述の同連盟のメールマガジンの文面をもう一度見てみよう。

〈226事件にはびっくりのマザリーメルマガ編集部でしたが、その後もバッシングが続く一方で、支援者も確実に増えています。フタッフ希望者、各地のイベントの申し込みも増えており、「太郎さん、宣伝してくれてありがとう!」と思っております〉

 しかし実際には、設立記者会見で筆者たち以外の取材メディアはゼロ。パーティー参加者は当初見込みのおよそ4分の1。「226事件」による宣伝効果があってもなおこの有様とは、結成から半年で38支部を設立し会員数5292人と豪語する割には人望がない団体だ。

 日本母親連盟や関係者たちは、保守運動やニセ科学との関連性だけではなく、ウソをついたり誤魔化したり、批判的報道を排除したり中傷したりする傾向も目につく。これが果たして信頼に値する政治団体と言えるのか。今年の統一地方選や参院選では、政治家や候補者とこの団体との関わりを注意深く見ていく必要がありそうだ。

<取材・文・写真/藤倉善郎(やや日刊カルト新聞総裁)・Twitter ID:@daily_cult3 取材協力/鈴木エイト Twitter ID:@cult_and_fraud>

ふじくらよしろう●1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)

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