北海道知事選、与党候補の鈴木直道・前夕張市長が自民党の常套手段、“争点隠し”の選挙戦を展開

北海道知事選、与党候補の鈴木直道・前夕張市長が自民党の常套手段、“争点隠し”の選挙戦を展開

北海道知事選告示日の3月21日、被災地の安平町で第一声をあげた鈴木直道候補(左端)

◆菅官房長官&創価学会佐藤副会長コンビ再び

 統一選地方選唯一の与野党激突の構図となった「北海道知事選(4月7日投開票)」が3月21日に告示され、“菅(義偉官房長官)チルドレン”の異名をとる鈴木直道・前夕張市長(自民・公明・新党大地推薦)と野党統一候補の石川知裕・元衆院議員(立憲民主・国民民主・共産・社民・自由推薦)の一騎打ちが始まった。

 重要な選挙で安倍自公政権の“司令塔役”をしてきた菅官房長官と創価学会の佐藤浩副会長コンビは北海道知事選でも、地元自民党道連から候補選考権を奪い取るような形で鈴木氏擁立を既成事実化した。

◆新潟県知事選・沖縄県知事選を担当した選挙プランナーの影

 鈴木候補の選挙参謀役をしていたのが、菅官房長官の“懐刀”として知られる選挙プランナーの三浦博史氏だ。泉田裕彦・元新潟県知事(現・自民党衆院議員)が全国最年少知事となった知事選でも選挙参謀を務めていた。去年6月の新潟県知事選や9月の沖縄県知事選でも自公推薦候補で現地に張り付いていた。

 鈴木・前夕張市長はトーク術も抜群で「夕張ではジャニーズ並の人気」(地元市議)という。知事選でも使うキャッチフレーズは「ピンチをチャンスに変える」だが、高校時代に父親が離婚して出て行き大学進学を断念、18歳で都庁職員となるが、仕事をしながら法政大学夜間部の卒業後、財政破綻をした夕張に派遣されたことが成功物語の第一歩となった。

 8年前の夕張市長選への出馬を決意して全国最年少市長になると、2期8年の間に財政再建に取り組みながら同じ法政大学卒で苦学生でもある菅官房長官との太いパイプを築き、官邸主導で与党系知事選候補になったのだ。

 まさにピンチ(逆境)を乗り越えてチャンスに変えたといえるが、同時に官邸主導で産み落とされた“菅チルドレン”としての宿命を背負ったともいえる。

◆北海道にとって大きな争点であるカジノ、泊原発、JR北海道には触れず

 実際、政府が推進する「カジノを含むIR誘致・泊原発再稼動・JR北海道の鉄道存続問題」については北海道にとって大きな争点だが、鈴木氏はこれに異議申し立てをすることはない。告示日(3月20日)の出陣式でも第一声でも、鈴木氏はこれらの争点についてまったく触れなかった。

 地震被災地の安平町での第一声を終えた鈴木氏に対して、筆者は「(これらの点に)触れない理由は何でしょうか」と声をかけたが、無言のまま街宣車で走り去った。

 この鈴木氏を後方支援するべく北海道入りしたのが、小泉進次郎・厚生労働部会長だ。3月23日に札幌市内で鈴木氏と並んで応援演説。小泉氏は、3回現地入りした沖縄県知事選では辺野古の「へ」の字も口にしない”争点隠し演説”で自公推薦候補を応援したが、この北海道知事選でもIR・JR・原発にはまったく触れていない。その代わりに「鈴木氏が浴びせられている」という3大批判(若さによる経験不足・北海道生まれでないこと・宴席でお酌をしないこと)に対する反論をしていったのだ。「“菅チルドレン”の鈴木氏が当選した場合、元官僚だった高橋はるみ知事以上の、官邸言いなりの国策追随型知事になるのではないか」と地元記者は懸念する。

◆石川氏は立場を明確に表明

 一方、野党擁立の石川氏は「北海道独立宣言」をキャッチフレーズに「カジノ反対」「脱原発」「鉄道存続」の立場を表明、国策に追随しない独自路線を目指すと訴えている。石川氏の応援団長である上田文雄・前札幌市長が「中央に”すが(菅)る”のは止めよう」と訴え、横路孝弘・元知事も「菅官房長官の鶴の一声ならぬ狼の一声で、自民党北海道連の多くが推す国交官僚ではなく、鈴木候補に決まった。戦前に戻ったかのようだ」と官邸主導の選考過程を厳しく批判していた。対照的な両候補が激突する北海道知事選の今後の展開が注目される。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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