拡大する格差、分断する社会。「劇場型政治」がもたらした負の産物<「言葉」から見る平成政治史・第5回>

拡大する格差、分断する社会。「劇場型政治」がもたらした負の産物<「言葉」から見る平成政治史・第5回>

平成の会社開業率/廃業率の推移

◆「メディアと政治」の共犯関係が構築された2000年代

 日本社会が本格的に変化し始める「移行と試行錯誤の時代」と評したが、ポスト昭和、つまり平成の時代が本格化するための試行錯誤がなされていた2000年代。

 この時期は、小泉純一郎に代表される「劇場型政治」と「ワンフレーズポリティクス」によって、政治とメディアが共犯関係となった時代だと言える。

 果たして、そんな時代に何が語られたのか。

 前回は、「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン 新語・流行語大賞」のサイト内の「過去の授賞語」について、2003年までの「政治の言葉」を取り上げたが、今回は2004年以降について言葉を選評とともに取り上げて論評する。

◆「サプライズ」政治でスポイルされたメディアと大衆

●2004年

(トップテン)サプライズ/武部勤(自由民主党幹事長)

”英語 surprise は「びっくりさせる」の意味だが、小泉首相に関しては単なる「サービス」の意味で使われる。第1次内閣から田中眞紀子外相など組閣にあたって意外な女性を採用。このコトバは拡大解釈され2004(平成16)年7月の参院選前に突然訪朝してジェンキンスさんを返せと金正日総書記に迫った行動なども、小泉流サプライズ。同年9月の第2次組閣ではついに「ノーサプライズ」とがっかりされる始末。〜『現代用語2005』社会風俗用語より〜”

 政治のサプライズはメディアにとって蜜の味といわんばかりに、小泉の一挙手一投足にメディアは注目した。劇場型政治のひとつの完成形を見る郵政選挙まであと1年。小泉の打ち手を官房副長官、自民党幹事長、官房長官と間近で見ていたのは安倍晋三その人であり、いまも周辺を固める人々だ。

 我々の社会はいつの間にか、政治をサプライズなしに眺められない体質になってしまった。サプライズがなければ物足りなく、サプライズがあれば喝采する我々の体質を政治はじっと見ているはずだ。人々の反応の一歩先を行くことができれば、生き残ることができるだけに彼ら彼女らは感じのよい笑顔の裏で必死だ。インターネットやソーシャルメディアはそれぞれの陣営にとって耳に心地よい言葉ばかりを届ける傾向にある。政治の言葉を冷静に咀嚼できる成熟した社会へと至る途はいかにして可能か。改めてそんなことを考えてみたい。

(トップテン)自己責任/該当者なし

”本来はリスクをとって行動した者が自ら「結果責任」をとることをいうが、最近では責任を転嫁する際にしばしば用いられている。特に自己責任という言葉が頻繁に用いられたのは、2004(平成16)年4月、戦闘が続くイラクで発生した武装グループによる日本人人質事件のときだった。3人の日本人人質に対して自己責任という言葉が向けられたのだ。政府の勧告を無視してイラクに向かったのだから、自業自得だという議論だった。彼らが果たそうとしたイラクの子供たちへの支援や真実の報道という尊い目的は無視され、政府に迷惑をかけたことだけがクローズアップされた。全体主義の下で、自ら考え、独自の行動をした人を切り捨てるための言葉が自己責任となってしまった。〜『現代用語2005』くらしと経済用語より〜”

 イラクで武装勢力に拉致された日本人人質事件に対して、総じて人々は冷ややかな眼差しを送った。その後、幾度も繰り広げられることになった同種の事件では複数の死亡者が出たにもかかわらず概ね同様の世論が定着してしまっている。無事帰国することができた当時の人質の一人今井紀明氏は、帰国後、まちなかを歩いていたら知らない人に殴られたこともあると述べている(参照:「後ろから突然殴られた経験も」イラク人質事件の今井紀明さんが改めて語った"自己責任"|AbemaTIMES)。

「自己責任」のレッテルは溜飲を下げ、一瞬のカタルシスを得られるのかもしれないが、多くの社会問題の解決にはつながらない。社会学者のアンソニー・ギデンズは『左派右派を超えて――ラディカルな政治の未来像』(松尾精文・立松隆介訳、而立書房、2002年)において、保守派は従来市場に委ねなかった(≒護持すべきだと思われていた)対象まで語義矛盾だが革新的に市場依存に陥っているという。本質的に区別なく擁護すべき対象であるはずの国民に対して恣意的な選別を行う国家はいずれあなたを擁護の対象外と恣意的に判断しかねないということを、安易な自己責任論を口にする前に想起すべきだ。

◆思いつきで新規参入募集。でも新参者は冷遇するマッチポンプ政策

(トップテン)新規参入/堀江貴文(ライブドア社長)

”近鉄・オリックスの合併で5球団となったパ・リーグに、新たにライブドアと楽天が参入を表明。業種は両者ともIT関連の情報産業。おまけにライブドアが仙台・宮城球場を本拠地と定めたのに続き楽天も同球場を指名したためにNPB側は受け入れる1社をどちらかに決めなくてはならず、公開ヒアリングを開き選定を急いだ。結果は2004年11月2日のオーナー会議で楽天に決定となった。〜『現代用語2005』野球の問題用語より〜”

 日本社会では予定調和と皆が慣れ親しんだ基準に立脚した分配が好まれ、肯定されがちだ。堀江はこの時期、本業のみならず球団買収、放送事業、政治と手広く新規参入を仕掛けた。既得権益の壁は分厚く、いずれも成就したとは言い難い結果に終わった。のち、2006年に堀江と村上ファンドの村上世彰が相次いで逮捕され、日本社会の新規参入者に対する風当たりの強さを見せつけた。堀江は今も宇宙、健康、オンラインサロンと新規参入を続け、若年世代のオピニオンリーダーになった。

 社会と政治はどうか。人手不足が常態化し、大学新卒の就職率は過去最高の水準になった。だが、各種人気ランキングに並ぶのは、銀行証券、航空関係、商社、観光と以前と大きくは変わらない企業である(強いて言えば、マスメディアの地位低下は目立つ)。

 また一般社団法人全国高等学校PTA連合会と株式会社リクルートマーケティングパートナーズが合同で実施した第8回 「高校生と保護者の進路に関する意識調査」 2017年報告書 によると、「高校生が就きたい職業ランキング」で安定した職業の代名詞である公務員は2位に位置している。ちなみに1位は教師だが、こちらも正規職で採用されれば安定職と考えられるし、全体3位、女子1位となったのは看護師だ。看護師も引く手数多の手堅い専門職の代名詞だとみなすことができる。興味深いのは、同調査の「保護者が子どもに将来就いてほしい職業」という項目でも、ほぼ同様で公務員が1位、看護師2位、5位に教師と当事者、保護者ともに安定した職業に対する人気が本人、保護者ともに高くなっている。

 新規参入とリスクを象徴する起業はどうか。

 平成を通して、会社開業率と廃業率の推移を見てみると、会社開業率はバブル崩壊とともに一気に4.0%前後の水準に半減し、以後若干の変動は認められるがほぼ横ばいで推移している。加えて会社廃業率が会社開業率を上回る年が近年増加している点も注目すべきか。

 日本は中小企業大国といわれるが、開業、つまり新規参入は廃業を下回り足元が揺らいでいる。同白書や定評ある国際比較調査の『Global Entrepreneurship Monitor』などでも、開業率の低さは世界最低水準であることが知られている(先進国の開業率はあまり高くないことを考慮しても、そのなかでも低位に位置する)。日本生産性本部が定期的に実施している調査「2018年2018年度 新入社員 春の意識調査」を見ても、加盟企業の新入社員のなかで「将来への自分のキャリアプランを考える上では、社内で出世するより、自分で起業して独立したい」という質問に対して、「そう思う」という回答は13.7%。2003年から導入された質問だが、質問導入の2003年に31.7%を記録して以来、ほぼ一貫して低下の傾向にある。対して、「そう思わない」という回答は2018年に86.3%、こちらはほぼ一貫して高い値で推移している。

 政治の不人気と新規参入の乏しさも相変わらずだ。地方選挙にはいよいよ担い手不足が深刻化し、無投票やイレギュラーな統治の仕組みの模索も続くが切り札に欠く。「岩盤規制の緩和」とそれに伴う多分野における新規事業者参入は第2次以後の安倍内閣の切り札に思われたが、盛り上がりに欠く。それどころか、民泊を促進するはずの住宅宿泊事業法には利益相反関係にある旅館業法の事業者らからの巻き返しで、事業者に対して営業日数の上限規制(180日)がついた。

 地方自治体が創意工夫と試行錯誤しながら、自ら稼ぐ存在になる競争を促すのがふるさと納税制度だったはずだ。だが、総務省の意に沿わない派手な振る舞いをする自治体が出てくるや否や、総務省は返礼品の上限規制を設け、ペナルティを課そうとするなど強硬な姿勢を見せている。海外の動向などを横目で見ながら、思いつきのように新規参入者を募ってみつつ、集ってきた見知らぬ新参者を冷たくあしたいながら、昔なじみに適度に新しいふりをさせたうえで新規参入の少なさを嘆いてみせる。まさにマッチポンプ的だが、そんなことを平成を通して、各所で何度繰り返してきたのかといえば、数えきれないほどである。

◆しぶとく残る「中二階」麻生。でも考案者のほうが「中二階」化

(トップテン)中二階/山本一太(参議院議員)

”次期リーダーのポジションにいながら、いまひとつ影がうすい自民党の有力者、具体的には平沼赳夫前経済産業相、古賀誠元幹事長、高村正彦元外相、麻生太郎総務相のビミョーさを表現したことば。小泉首相が使って脚光をあびたが、考案者は自民党若手で世代交代の切り込み隊長、山本一太参院議員。実に言い得て妙。〜『現代用語2005』さまざまなことば用語より〜”

 ここで名前が挙がった自民党議員らはどうなったのだろうか。平沼は郵政選挙を機に自民党を離党。たちあげれ日本や日本維新の会、次世代の党と保守政党を転々としたのち、自民党に復党して政界を辞任した。宏池会の流れを汲み、道路族の一人だった古賀もまた小泉と対立を深める。平沼のように離党こそしなかったものの、2012年末の衆院選には出馬せず政界を引退した。麻生はその後、総理の座に就くが相次いだ失言などで政権は迷走。2009年の総選挙で敗北を喫し民主党政権誕生のきっかけとなった。だが、安倍を支え、有力派閥の長として第2次以後の安倍政権を支え、自身も長く副総理の座に着いたという意味においてもっとも順調な政治家人生を送ったといえそうだ。高村は第2次以後の安倍内閣で自民党副総裁を担い、政権を引退した後もとくに得意の改憲論議などで存在感を見せている。

 ところで当時「中二階」などと口にした山本一太はどうか。その後、外務副大臣、内閣府特命担当大臣、参議院予算委員長など、政府自民党、国会の要職を務め、メディアの露出も多いはずだが、どこか華に乏しいところがある。最近も国会議員を辞して、地元群馬県の次期都道府県知事選挙に立候補すると報道されているが、平成末には本人自ら「中二階」に上がってしまった感は否めない。

◆いよいよ開幕した「劇場型政治」

●2005年

(年間大賞)小泉劇場/武部勤(自由民主党幹事長)ほか

”2005年9月の衆院選は、小泉首相の意図するせざるに関わらず「造反」「刺客」「くのいち候補」の登場、郵政民営化問題に絞られた単純な争点などにより、さながら「小泉劇場」の態をなした。その結果「小泉一人勝ち」。”

 第44回衆議院議員総選挙において、小泉純一郎率いる自民党は296議席を獲得した。以後、地方政治や住民投票も含めて、わかりやすい単一争点を設定し、その是非を問う手法は多用される。大阪都構想の是非、普天間から辺野古への米軍基地の移転もそうだし、国民投票法が定める憲法改正の是非を問う国民投票も実現に至れば同様の構図になるはずだ。本来の多様な民意を、二項対立の図式に収斂させたうえで勝利するには、耳目をひく仕掛け――革新的に見える手法とそれらを形容するキャッチーなネーミングが重要だ。

 その点、小泉は凄まじいまでのセンスを見せつけた。連日テレビカメラは小泉の一挙手一投足を追いかけた。彼の口数は少ないが、しかし短く切れ味のよい言葉は耳に残り(サウンドバイト)、立ち居振る舞いは画になったからだ。いまでもテレビ制作の現場では、政治の季節になると当時の制作陣たちの反省が共有されることがある。メディアの世界には第44回総選挙で、政治の言葉を本来チェックすべき自分たちが小泉の政治の言葉を安易に流通させてしまったのではないかという懸念が残り続けている。郵政民営化に反対する自民党現職の選挙区に、小泉らは有力な対抗馬を送り込み、メディアはその候補者らを「刺客」と呼んだが、この言葉もまたこの年の「トップテン」に入っている。

 いま、確かに政治の言葉はかつてより形式的にはコストが投入され形式面では洗練されているが、これほどまでにメディアの熱狂を生み出すには至らない。改めて小泉の凄みを想起させるが、結果として派閥政治を弱体化させ、自民党の多元性、多様性を減少させたことの功罪も考えるべきだろう。

◆齎され始めた「小泉政治」の負の部分

●2006年

(トップテン)格差社会/山田昌弘(東京学芸大教授)

”これまでの「一億総中流」が崩れ、所得や教育、職業などさまざまな分野において格差が広がり二極化が進んだといわれる。市場原理を重視し、改革・規制緩和を進めた小泉政治の負の側面との指摘もある。”

 中流の崩壊や格差を巡る議論が論壇を賑わせたのもこの時期である。社会学者佐藤俊樹の『不平等社会日本――さよなら総中流』(中央公論新社、2000年)、山田昌弘の格差社会を巡る一連の著作(『希望格差社会――「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』の単行本本発売は2004年)や、経済学者橘木俊詔の『格差社会――何が問題なのか』(岩波書店、2006年)など、中流崩壊や格差を巡る議論が多く戦わされるようになった。なかでも、かつて日本社会に存在したのは実際に格差がない社会という意味での実体としての中流社会ではなく、富裕層も貧困層も中流意識を持つことができた社会であったという指摘は、実際には所得税の最高税率の引き下げ等の制度の変化はあったものの、いっそうの分断可能性にさらされている現代においても一読の価値があるのではないか。

●2007年

(トップテン)(消えた)年金/舛添要一(厚生労働大臣)

”5000万件ともいわれる基礎年金番号に統合されていない記録のこと。元経済誌記者の調査能力を活かし、年金問題を徹底して追及していた“ミスター年金”長妻昭議員が国会で質問し、大きくクローズアップされた。”

 「消えた年金」問題は、小泉内閣の2004年頃から与野党問わず相次いで発覚した政治家の国民年金未納問題ともあわさって社会から大きな注目を集めた。政治家の年金未納は小泉内閣当時、閣内にも多数の未納者が発覚し、当時の福田康夫官房長官は大臣を辞任した。だが同時にこの問題を厳しく追求していたはずの野党からも同様の問題が発覚し菅直人が民主党代表を辞任するなど、政界を揺るがす大問題に発展した。また年金に関する個人情報への不正閲覧の常態化等の当時の社会保険庁の不祥事が相次いで発覚し、多くの職員がその積を問われ、500人を上回る免職者を出すことになった。同庁は消えた年金問題の影響もあり2009年をもって廃止されるが、既に年金と政治に関する厳しい世の中の雰囲気が存在した。

 そのなかで新たに発覚したのが、納付の有無が定かではなく、一元化して入力されてさえいない検証困難な大量の年金記録の存在であった。後継の日本年金機構によれば2013年時点で「約5,095万件の持ち主不明の年金記録のうち、約2,961万件の記録が基礎年金番号とむすびつきました」という(参照:日本年金機構「年金記録問題とは?2」)。

 しかし言い換えれば、半数の照合はできておらず、問題の根本的解決がなされていないともいえそうだ。結果、政権に対する強い不信感に結びつき、2007年7月に実施された第21回参議院議員通常選挙を経て自公は議席数を減少させ、民主党は議席数を伸ばし、参議院第一党の地位を獲得し、衆参で第一党が異なるいわゆる「ねじれ国会」が発生し、のちの民主党による政権奪取への重要な足がかりとなった。

(トップテン)ネットカフェ難民/川崎昌平(「ネットカフェ難民」著者)

”働いてはいるものの、事情によりネットカフェに寝泊まりする人たちがネットカフェ難民として報道された。日本複合カフェ協会では「難民」という言葉の使用を控えることを求める緊急アピールを発表した。”

 先の「格差社会」同様、センセーショナルな新たな貧困の形態が次々に告発されるようになった。この年、朝日新聞社がかつて発行していた論壇誌『論座』2007年1月号に、フリーライターの赤木智弘が「「丸山眞男」をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」という論考を発表し、話題を読んだ。将来が見えない非正規雇用のフリーターとして働く/働かざるをえなかった身を振り返れば、むしろ戦争という金持ちもそうでないものも、正規雇用者も非正規雇用者もある意味では公平に死に直面しうる時代のほうが望ましいようにも見えると丸山眞男に代表される戦後民主主義や平和主義に対する批判を展開し話題を集めた。就職氷河期に直面した世代も、活発に言論活動を行い「ロスジェネ論壇」や日本における「プレカリアート」言説としてもまた注目された。

◆社会・政治・経済の先行きに対する不信感が増した2008年

●2008年

(トップテン)埋蔵金/中川秀直(元自民党幹事長)

”「埋蔵金」論争のきっかけは、「自民党財政改革研究会」が2007年にまとめた報告書にある。特別会計の積立金を埋蔵金にたとえて、特別会計を見直せば数十兆円単位で金が捻出できるという議論である。”

 特別会計とはなにか。予算単一の原則が存在するものの、財務省によると「1 特定の事業を行なう場合」「2 特定の資金を保有してその運用を行う場合」「3 その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」には法律によって特別会計を設置可能で、2017年時点で13本の特別会計が存在するという(出典:財務省「特別会計」より)。

 この特別会計が少子高齢化や長く続く不景気などで財源が逼迫し始めるなかで、まさに埋蔵金として「有効活用」できるのではないかという期待が高まった。後の、民主党政権でも財源の目処がたたない政策の新規財源になりうるのではないかと思われたが、実際には行政のムダを省く事業仕分けなどと組み合わせてもそうは機能しなかった。現在では、予防線を張るためか、財務省は平成31年度予算で特別会計の歳出総額が389.5兆円だが、会計間の相互の重複等を除くと197.0兆円で、国際償還費や社会保障給付金、地方交付税交付金、復興経費を除くと、6.1兆円しか残らず、それらも雇用安定事業等の保健事業が4割、石油備蓄等のエネルギー関連が2割にのぼる旨をかなり詳しく紹介している(参照:財務省「特別会計の歳出予算額」、「「6.1兆円」の内訳について(平成31年度予算)」等)。政治の過剰期待に対する予防線にも見えてくる。

 他にもトップテンとして「後期高齢者」「蟹工船」「あなたとは違うんです」など、社会、政治、経済の先行きに対する不信感を表現した語が複数選出されている。変革の流れが政治的に具現化するのが2009年の第45回衆議院議員総選挙であり、当時の民主党はその受け皿となった。

<文/西田亮介 Photo via Good Free Photos>

にしだ りょうすけ●1983年、京都生まれ。慶応義塾大学卒。博士(政策・メディア)。専門は社会学、情報社会論と公共政策。立命館大学特別招聘准教授等を経て、2015年9月東京工業大学着任。18年4月より同リーダーシップ教育院准教授。著書に『メディアと自民党』(角川新書)、『なぜ政治はわかりにくいのか』(春秋社)など

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