原田環境大臣、就任前に杉田水脈議員との講演会で韓国大統領を「文鮮明」と失言<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第12回>

原田環境大臣、就任前に杉田水脈議員との講演会で韓国大統領を「文鮮明」と失言<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第12回>

保守系団体の集会で講演した3人の国会議員。左から原田義昭、杉田水脈、中山成彬

 2018年10月2日に発足した第4次安倍改造内閣。環境大臣に抜擢されたのは統一教会(世界平和統一家庭連合)と昵懇関係にある代議士だった。この議員は初入閣直前、杉田水脈議員らと出演した講演会で韓国の大統領の名前を「文在寅」ではなく統一教会の教祖である「文鮮明」と言い間違え、教団との親密さを伺わせた。筆者は講演後の失言代議士を直撃、その際に現環境大臣が見せた意外過ぎる反応とは。

 そしてこの時期に同教団の青年大会に連続して来賓出席し「文鮮明先生に感銘し学習をさせていただいておる」と挨拶した恥ずべき政治家も判明した。

◆厳戒態勢の杉田水脈講演会

 2018年9月19日、筆者は保守系団体『南京戦の真実を追求する会』の主催する講演会に赴いた。登壇者は杉田水脈、中山成彬、原田義昭という3人の代議士。講演会の題目は「外務省目覚めよ!南京事件はなかった」というもの。

『新潮45』2018年8月号に掲載された杉田の寄稿文『LGBT支援の度が過ぎる』の中の「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がないのです」との記述が社会問題となって以降、公の場での発言をほとんどしていなかった杉田が登壇するとあって、会場は厳戒態勢。講演に先立って司会者から撮影や録音を禁止するとの旨が告げられた。

 しかしながら、入場料を徴収するイベントで講演する国会議員に関し、そのような制限を課すのはおかしなことだ。筆者は主催者サイドのアナウンスを聴き流し、取材活動を行った。

 杉田に関しては今年4月、当連載の第10回で言及した国際勝共連合のダミー組織・熊本ピュアフォーラムが主催した会で講演し、自民党の地方議員らとパネルディスカッションを行っている。その経緯については杉田事務所の見解を含め、今後の記事で取り上げる。

◆目的は杉田水脈ではなく原田義昭

 但しこの段階、つまり2018年9月の時点で筆者が取材対象としていたのは杉田ではなかった。筆者の目的は、登壇者の一人である原田義昭衆議院議員(自民党・福岡5区)だ。

 自民党の歴史認識問題を担う「国際情報検討委員会」委員長という役職にあった原田だが、筆者は歴史認識問題で原田を追ってきたわけではない。予てから原田が統一教会・家庭連合と昵懇関係にあることを掴み、直接問い質す機会を狙っていたのだ。

 原田は数年来、教団が安倍政権礼賛と憲法改正の後押しのため2世信者に行わせている政治組織・勝共UNITEによる福岡での集会に複数回来賓として参加している他、2018年8月、教団が開催した『PEACEROAD』なるプロジェクトの九州大会の全体会議で演説もしている。

 また、同月上旬ブラジル・サンパウロで教団やそのフロント組織が開いた『UPFラテンアメリカサミット2018』『中南米希望前進大会/中南米ファミリィフェスティバル2018』に自民党衆議院議員の穴見陽一や田畑毅(当時)らと参加している。

 そんな原田だが、9月19日の講演、同教団と昵懇関係にある彼は直近の世界情勢に触れた場面で痛恨の言い間違いを犯す。

「先日、金正恩(キムジョンオン)と文鮮明(ブンセンメイ)さんが会談しまして」

 韓国の文在寅大統領を統一教会の教祖・文鮮明と混同、言い間違えてしまったのだ。その後は「金正恩と文在寅(ムン・ジェイン)」と、そつなく発言していた。

◆統一教会昵懇議員を直撃

 講演終了後、ロビーには著書の購入者にサイン会を行う原田の姿があった。著書といっても原田の公式サイトの活動ブログを転載しただけのものだ。書籍を購入し、サイン会の列に並んだ。筆者の前に並んでいた人物が原田に渡した名刺には「幸福実現党広報本部主任」とあった。

 ほどなくして筆者の番となり、購入した書籍にサインを書き入れる原田に話しかけた。

――文在寅(ムンジェイン)のことを文鮮明(ブンセンメイ)と言い間違えませんでしたか?

「え?」

――金正恩と文鮮明って

「ありゃ、ずっと言ってた?」

――いえ、最初だけ

「ははははは」

――「文(ぶん)」と言ったらやっぱり「鮮明」ですか?

「そうそうそうそう」

――原田さんは統一教会関連のイベントに出てますが、統一教会との関連はありますか?

「そうそうそうそう」

 教団側からのアプローチについて質すと「まあ、選挙やってるとね」と認め「いろんなお世話にはなってるんでしょうね」「付き合いもあるし」と続けた。

 あっけらかんと教団との関係を認める原田。

取材動画:杉田水脈「見ての通り私大丈夫」原田義昭「金正恩と文鮮明が会談」講演会で発言

◆新閣僚に親統一教会議員が多数抜擢

 第4次安倍改造内閣で原田は、やはり統一教会と昵懇関係にある中川雅冶参議院議員と入れ替わる形で環境大臣に任命された。

 ここ数年来、同教団への貢献度が閣僚人事に影響しているかのような任命事例が続いている。中でも環境大臣のポストは統一教会枠のような扱いとなっている。

 環境副大臣には、安倍晋三が2010年2月に講演を行った教団関連団体『世界戦略総合研究所』において、同時期に講演し、3か月後の同年5月に統一教会から依頼を受けて国会質問をしたとされる秋元司衆議院議員(自民党)が登用されている。

 その他、当連載の第11回で触れたように同教団の岡山一万人大会に来賓出席した山下貴司が法務大臣に、勝共UNITEをSNSで宣伝し『PEACEROAD』四国実行委員長を務める平井卓也が科学技術大臣にそれぞれ任命されるなど、親統一教会議員の抜擢が目立つ人事となった。

◆幕張メッセ青年信者大会「提言2050」に2人の衆議院議員

 2018年9月9日、統一教会は千葉県の幕張メッセで青年イベント『提言 JAPAN 2050 ユース・フェスティバル』を開催、2名の衆議院議員が来賓として挨拶した。教団サイドは各メディアに対しプレスリリースで「主催者側からの要望」として、来賓議員の撮影や報道を控えるよう伝えていた。

 筆者とやや日刊カルト新聞の藤倉善郎総裁は会場への潜入取材を試みるも、各所に配置された対策チームの信者係員に見咎められ会場内へは入れなかった。対策チームの一人はこう語った。

「国会議員の挨拶があるので見せるわけにはいかない」

 その後も、対策チームは共用部から見えるモニターに映った来賓議員の姿を撮影させまいと必死の妨害を続けた。モニターが見えないように暗幕まで張る周到ぶりだ。

 イベント参加者によると、来賓として挨拶したのは2人の自民党衆議院議員。うち一人は横浜のいちょう団地が選挙区と発言。該当する神奈川5区の選出議員に照会したが確証は得られなかった。もう一人の代議士については翌月、誰であったか判明する。

◆「文鮮明先生の話に感銘を受け学習」自民党代議士が来賓挨拶

 10月21日午後、統一教会は愛知県武道館に約4000人の2世信者らを動員、文?娥(ヨナ)世界平和女性連合会長(当時)を主賓に迎え『神日本家庭連合 第3地区 HJ未来フェス 未来を動かすチカラ』を開いた。主催はYSP/世界平和青年学生連合(旧称・世界平和青年連合)、完全な教団イベントだ。このイベントに自民党の国会議員が来賓出席した。

 来賓として挨拶したのは自民党の神田憲次衆議院議員(愛知5区落選、比例東海ブロック復活)。神田は壇上で深く御辞儀をした後、こう述べた。

「文鮮明先生、そして韓鶴子総裁、さらには今日お見えの文ヨナ様、そして世界平和連合、青年の皆様」「わたくし自らも皆さまのお仲間と共に定例の家庭集会をさせていただき、そして日々、文鮮明先生のそのこれまでの話等々に感銘を受け学習をさせていただいておる一人でございます」

 さらに神田は、前月の幕張大会にも来賓として出席し審査員をしていたと発言、思わぬところから幕張イベントの来賓議員が判明した。

 神田議員の国会事務所の秘書によると、土日祝祭日の神田議員のスケジュール管理は地元の愛知事務所の管轄だという。国会事務所と地元事務所に同教団やその関連機関との関係などを問う質問書をFAX送信したが回答は得られなかった。

◆国家復帰に関する仰天内部文書

 次稿では、新たに入手した教団内部資料から、統一教会を日本の国教にするという“国家復帰プロジェクト”に関する新たな内部通達を検証する。

 そこには、韓鶴子が広島に原爆が「落ちた」ことを引き合いにして日本へ「悔い改め」を迫り、日本の幹部に対し「国家復帰」のために「日本の最高指導者」を「屈服」させ「教育」する指令が書かれていた。(文中敬称略)

<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:@cult_and_fraud>

すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表〜主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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