相次ぐ維新議員の失言。背景に「党や支持者による甘やかし」

相次ぐ維新議員の失言。背景に「党や支持者による甘やかし」

衆議院インターネット審議中継より

 日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員の“失言”が報じられた。丸山議員は5月11日、酒に酔った状態で「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と国後島の元島民に質問。さらに「戦争しないと、どうしようもなくないですか」と発言したという。

 維新の松井一郎代表は14日、丸山議員を除名処分にする意向を示した。その後、丸山議員本人が離党届を提出している。

 維新の会に所属する議員の失言が問題になるのはこれが初めてではない。過去には足立康史衆議院議員や松井代表も失言が報じられてきた。なぜこのようなことになるのか。

◆丸山議員、過去にも酔って一般男性とトラブル

 丸山議員は過去にもトラブルを起こしている。2015年12月、酒に酔って、東京都内の路上で一般の男性と口論になり、手を噛んだという。翌2016年1月には、ツイッターに「あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません」と投稿している。それにもかかわらず、今回も飲酒し、失言したことになる。

 なぜこのようなことが起きるのか。維新の会の取材を続け、6月1日に『緊急検証 大阪市がなくなる』(140B)を出版予定のジャーナリスト・吉富有治さんは、「実は維新の問題は失言よりも、政府活動費の不正使用が多い」と前置きしつつ、「丸山議員は東京大学を卒業し、経済産業省に入省したエリート。少々うぬぼれていたのではないか」と指摘する。

「うぬぼれから自己が肥大化し、自分は偉く周囲の人が馬鹿に見えるのではないでしょうか。

今回の失言について、ツイッターでも謝罪していましたが、リプライには『応援しています』『頑張ってください』というものばかり。維新の支持者は『あの議員は頑張っている』といった情緒的な理由で支持することが多く、一部の冷静な人を除いて政策に注文をつけ、また暴言を諌めることは少ない。その甘やかしの結果として丸山議員を助長させたのでしょう。以前も酒に酔って一般人に噛みついていましたが、酒癖も悪いのだと思います」(吉富氏)

 公式サイトのプロフィールには、資格欄に剣道2段と書かれている。剣道2段は普通に部活をやっている中学生なら取れる資格だ。うぬぼれるほど優秀な人物であるなら、もっと取得が難しい資格は持っていないのだろうか。

◆国会議員に課せられている憲法尊重擁護義務違反?

 しかも丸山議員の失言は、憲法第99条で国会議員に課されている「憲法尊重擁護義務」に違反する疑いがあると指摘する。

「言うまでもなく、憲法9条では『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と定められています。武力で北方領土を奪回しようという発言は、それを無視するものです。さらに憲法99条では国務大臣や議員、すべての公務員には憲法尊重擁護の義務を課しています。丸山議員はこの義務を軽んじたと見られても仕方がなく、あの発言そのものが憲法違反の疑いさえあるものです。

もはや議員としての資質がないといっていいでしょう。維新の会を離れましたが、他の党派だろうと無所属だろうと国会議員になるだけの資質がありません。改憲をしようと考えるのは自由ですが、現行の憲法がある以上、それを蔑ろにしてはいけないのです」(吉富氏)

 丸山議員の発言はロシアでも報じられ、上院のコサチョフ国際問題委員長は5月13日、「もし(発言が)本当なら、日ロ関係にとって最低だ。そうした発言をするのは、問題の本質的な解決を望まない人物だけだ」と批判したという。朝日新聞によると、ロシア国内で大きな反発は起きていないというが、日ロ関係に悪影響を及ぼしたことは間違いないだろう。

「武力で領土問題を解決しようというのは近代民主主義国家にはあるまじきことです。あんな発言をしたら、ロシアや国際世論がどんな反応をするのかわからなかったのでしょうか。何より北方領土の島民の人たちが武力による解決なんて望んでいませんよ」(吉富氏)

◆足立議員は目立つために無理をしている?

 失言が目立つのは丸山議員だけではない。足立康史衆議院議員は、これまで何度も失言をし、そのたびに炎上してきた。2016年11月には、トランプ米大統領がメキシコとの国境に壁を作り、犯罪歴のある200〜300万人の不法移民を強制退去させると発表。それを受けて足立議員は「犯罪歴のある国会議員も強制送還すべきだ。民進党の…」とツイートした。

 2017年11月には、朝日新聞の社説「『加計』開学へ これで落着とはならぬ」に対し、「朝日新聞、死ね。」ともツイート。2018年2月には「立民は北朝鮮の工作員」と根も葉もない誹謗中傷をツイートした。

 吉富氏は「足立議員の場合は、わざとやっているのだと思います」と話す。

「きっと炎上して注目を浴びるという戦略なのでしょう。実際に何度か会って食事をしたこともありますが、素顔は常識があり、とても腰の低い良い人です。恐らく無理をしているのではないでしょうか。維新の中ではやや一匹狼的な存在なので、“炎上商法”で存在感を示したいのかなと想像しています。ただ、丸山議員もそうですが足立議員も暴言や失言を過去に繰り返しており、党が甘やかしてきた責任もあると思います。本当は支持者も注意しないといけないのに、諭すような人が少ないから図に乗る議員が絶えないのです」

◆松井一郎代表も豪雨の最中に「旨い酒と肴で充電中」とツイート

 今回丸山議員を除名処分にする意向を示した松井代表自身も過去には失言があった。2016年10月、大阪府警の機動隊員が沖縄県に派遣され、米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事に反対する市民に対して「土人」と発言。これに対して松井代表は、「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」と警官を擁護していた。

 また大阪府が豪雨に見舞われ、1人が死亡、多数の床上浸水、床下浸水の被害がでた2012年8月。松井代表は福岡県にある妻の実家から「世間は騒がしいようですが、ここは、本当に静かです。旨い酒と肴で充電中」とツイートした。

 吉富氏は、松井代表については、「少し軽率なんでしょうね。本当に沖縄の人を「土人」だと思ってるわけではないし、暴言を吐いた警官を擁護したわけではないと思います。これからは一呼吸おいてから発言するようにした方がいいでしょう」と注文をつけた。

<取材・文/HBO取材班>

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